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2012-06-09(Sat) [長年日記]

_ 『遠い町から来た話』(ショーン・タン)

遠い町から来た話(ショーン タン/岸本 佐知子)

ひさしぶりに更新。書評を書かないで、もくもくと本と読んでいると、すいすい読めるもんですな(ぉ。

そんな訳で特に記録もつけずに、読書にいそしむ毎日なんだけど、とてもいい本だったので紹介。

作者はオーストラリアのイラストレータ/絵本作家で、アニメーション映画の監督もしているとのこと。本の方は世界幻想文学大賞、ヒューゴ賞に輝き、映画は2011年のアカデミー賞の短編アニメーション賞を受賞したというのだから、すごい実力の持ち主なんですな。

本書の内容は、挿絵つきのショートショート集。どれもちょっと不思議な作風で、星新一が好きな人は気に入るんじゃないかと思う。

話もいいけど、イラストもとても味わい深くていい。

個人的に気に入った作品は「エリック」、「遠くに降る雨」、「底を流れるもの」、「お祖父さんのお話」、「ペットを手作りしてみよう」、「備えあれば」、「葬送」、「ぼくらの探検旅行」。って、収録作のほとんどだ(笑)。

庭先に立つ大陸間弾道弾が犬小屋やピザ焼き窯に(勝手に)改造されてしまった世界になんて、本当にいいな。

翻訳については岸本佐和子の名前しか載っていないんだけど、デザインの人の努力もすごかったのではないかと思う(「底を流れるもの」のタイポグラフィは必見)。

ずっと手元に置いておいて、たまに開きたくなる一冊だ。

Tags: 書評

_ 『南極点のピアピア動画』(野尻抱介)

南極点のピアピア動画 (ハヤカワ文庫JA)(野尻 抱介/KEI)

ボカロもニコニコ動画も全然興味なくて、なんとなくスルーしていたんだけど、野尻さんの作品ということで読んでみた。

っていうか、野尻さんの本が出るの『沈黙のフライバイ』以来、5年ぶりか。twitterでは野尻さんのつぶやくよく見るんですけど、できれば、もうちょっと作品が読みたいかも。

さて、感想から先に書くと、しっかりSFしています。

「南極点のピアピア動画」と「コンビニエンスなピアピア動画」はSFマガジンで既読だったんだけど、なるほど、こういう風に繋がっていくんですなー。

各話で張られた伏線が最終話「星間文明とピアピア動画」できれいに回収する手腕は見事。

オープンソースムーブメントをちょっと過大に評価しすぎかなーというのと、「星間文明〜」では○○をちょっと無批判に受け入れすぎだろうっていう気もしないでもないけれど、まぁ、これは充分、許容範囲でしょう。SFには夢がないとね!

それにしても巻末に付けられたドワンゴの川上氏が皮肉たっぷりで苦笑してしまった。「野尻さんがちゃんとしたSF作家だったというのは驚きだった」とか、「ちょっと野尻さんの文章力が不足していて」とか(笑)。

ボカロにもニコ動にも興味がなくても楽しめる一冊。ちゃんとしたSF作家の野尻さんの姿を知ることができます。

Tags: 書評