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2012-05-05(Sat) [長年日記]

_ 竜崎に理想の上司像とハッカー魂を見た──『転迷―隠蔽捜査〈4〉』(今野敏)

転迷―隠蔽捜査〈4〉(今野 敏)

〈隠蔽捜査〉シリーズ第4弾。あいかわらずの安定した面白さで一気読了。エンタメ警察小説のひとつといっていいんじゃなかろうか。

家族の不祥事から左遷され、大森署署長を勤めることになったエリート警官、竜崎。前巻までで単なるお飾りではなく、自他ともに認める大森署の指揮官となった竜崎だが、殺人、轢き逃げ、放火、麻薬捜査を巡る厚生省麻薬取締部との確執という数々の事件・トラブルが一気に飛び込んできて翻弄されることになる。

さらに娘、美紀の婚約者がカザフスタンで飛行機事故に遭ったという知らせが届いて……と、今回はモジュラー型ミステリ色が強くなっている。

読みどころは、やはり、竜崎が積み重なる難題を鮮やかに解決していく部分だろう。組織のしがらみに囚われず、原理原則を旨とし、すべてを合理的に見る竜崎の姿勢は理想の上司像であるとともに、ハッカー魂に通じるものもあって、とても共感できた。

個人的には、もう少し凝った文体の方が好きなのだが、ストーリーテリングの巧さはさすがの一言に尽きる。

ラストの一文も素晴らしい。本当に痺れますぜ、これは。

難点をあげると、あいかわらずの苦しいタイトル。漢字2文字っていう流れだから仕方ないんだろうけど、今回もストーリーとの関係がほとんどないですね(笑)。

Tags: 書評