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2012-04-29(Sun) [長年日記]

_ 『ミラー衛星衝突』(ロイス・マクマスター・ビジョルド)

ミラー衛星衝突 上 (創元SF文庫)(ロイス・マクマスター・ビジョルド/小木曽 絢子) ミラー衛星衝突 下 (創元SF文庫)(ロイス・マクマスター・ビジョルド/小木曽 絢子)

本が好き!経由で献本いただきました。

SF者にはいわずと知れた、ロイス・マクマスター・ビジョルドの代表作〈ヴォルコシガン・サーガ〉。なんだかマイルズ君の話を読むのひさしぶりだなー、なんて思ったら、なんと6年ぶりの邦訳ですよ! 邦訳を出版をしながら、じりじり待つのが(英語が読めない)SF者の宿命とはいえ、ちょっと長すぎる気もしますな。

まぁ、それでも出版されただけで喜んじゃうのが、SF者なんだけどね。

今回の舞台は惑星コマール。皇帝とコマール人女性の結婚式という重大イベントを前に、テラフォーミング用ミラー衛星に貨物船が衝突するという事件が起きる。事故なのか、それともテロなのか──原因を究明するために、皇帝直属の聴聞卿となったマイルズは同僚ヴォルシスとともにコマールを訪れる。

マイルズらはヴォルシスの姪、エカテリンの家に滞在することになるのだが、しかし、テラフォーミングを担当する局の責任者を勤める彼女の夫、エティエンヌにはひた隠しにする秘密があった。夫の秘密を知るエカテリンはひとり悩みを抱えていたが……というのが冒頭のあらすじ。

読むはじめて、いきなり「あれ? マイルズ君、いつの間に軍辞めて、聴聞卿になったんだ……?」なんて思ったりしたんだけど、ググってみたら、なんと、前作『メモリー』を読み飛ばしていたことが判明。ブックオフでシリーズものを揃えたりすると、こういうミスがあったりしますね!

マイルズが聴聞卿になった経緯がよく分からなかったりしたんだけど、まぁ、それでも楽しく読めた。

ストーリーは、事件を調査しつつエカテリンに魅かれていくマイルズと、夫の束縛に苦悩するエカテリンという、ふたつの視点で描かれていく。

これまでのシリーズでは、マイルズが舌先三寸で危機を乗り越えていくというものが多かったのだが、今回は聴聞卿という大きな権力を手にしたマイルズがどうその権力と折り合いをつけていくかが、かなり大きなウェイトを占めている。そのせいか、ビジョルドのストーリーテリングの妙はさすがと思いつつも、ハラハラドキドキ感がかなり薄くなったというのが正直な感想。

どうやら、これまで数々のヒロインたちの踏み台にされてきた(笑)マイルズ君もいよいよ次作でゴールインするらしいので、その助走と捉えておいた方がいいかもしれない。

早めに次作を読めることを祈りつつ(今度は6年かかりませんように!)、それまでに『メモリー』を読んでおこう。

ちなみに、タイトルの『ミラー衛星衝突』は、原題のままの『コマール』とか『コマールの○○』みたいなものにした方がよかったんじゃないかなー。あんまりミラー衛星関係ないし。

Tags: 書評 SF