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2012-04-14(Sat) [長年日記]

_ 日本軍と火星人がガチンコ勝負──『宇宙戦争1941』(横山信義)

宇宙戦争1941 (朝日ノベルズ)(横山信義/高荷義之)

1941年12月8日、真珠湾を奇襲すべく第一航空艦隊を発進した攻撃隊がハワイで見たものは、正体不明の三脚機械に蹂躙される真珠湾と米太平洋艦隊の姿だった──という冒頭からはじまるタイトルそのままな直球勝負の『宇宙戦争』オマージュ作品。

作者である横山信義は架空戦記作家の大ベテラン。狂ったように架空戦記を読んでいた時期があるので、当然、横山信義作品も読んでいたのだが、ここ10年くらいはご無沙汰だった気がする。架空戦記もすっかり縮小しましたね。

Amazonのレビューも高評価なのでかなり期待して手に取ったのだが、うーん、SFファンが読むとちょっとどうかなーという感じかもしれない。

時代を太平洋戦争開戦時に持ってきたのは、なかなかいいアイデアだと思うのだが、やたらと戦闘シーンが長いのが正直、かなりかったるい。さらに日本軍も米軍も火星人の兵器にはまったく歯が立たず、延々とボロ負けする様子を読ませられるのもストレスが溜まる。

だが、負けまくるのも当たり前。41年前にも火星人はロンドンに侵攻している──つまり『宇宙戦争』のこと──のだが、イギリスがそれを隠蔽していたため、どの国も通常兵器しか持っていないという設定なのだ。

しかし、その肝心のイギリスも全く火星人に対する備えをしていないというのが意味不明。おまえら、41年間もなにやっていたんだ(笑)。だいたい、当時の世界の中心ともいえるロンドンが壊滅的な危機に陥ったのに隠し通せるものだろうか、なんて疑問が浮かぶ。

さらに火星人が侵略を開始した日が1941年12月8日という歴史の転換点だったり、真珠湾からフィリピン、マレー半島となぜか日本軍の先回りをするように侵攻していたりと、ちょっと「たまたま」では説明がつかない点も気になった。ロンドン、ベルリン、モスクワにも侵攻しているのだが、ワシントンDCや東京には手を付けていないのも不自然といえば不自然。

著者がSFを書き慣れていないせいか、どうも設定の粗が目立った。まぁ、SFというよりはSF風味の架空戦記として読めば及第点かもしれない。

ストーリーは、人類同士の戦争どころじゃなくなった各国が手打ちにして、どうやら統一軍を創設しようと動き出すようなので、次巻『宇宙戦争1943』に期待しておきたい。

ちなみに、もしかして、ヒトラー総統、火星人との同盟とか考えてないですよね? そのネタは手垢がつきまくっていますぜ。

著者がオマージュしたと挙げている小松左京の『見知らぬ明日』は未読なので、そのうち読んでおこう。

Tags: 書評