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2012-02-26(Sun) [長年日記]

_ 『バフェットとグレアムとぼく インドの13歳少年が書いた投資入門 』(アリャマン・ダルミア )

バフェットとグレアムとぼく インドの13歳少年が書いた投資入門(アリャマン・ダルミア/Aryaman Dalmia/前田 俊一)

13歳の少年が書いた投資入門というとことで話題になった本。いやー、世の中には早熟の天才がいるもんですなー。

本書は、投資に興味がない人でも名前は聞いたことがあるに違いない「株の神様」ことウォレン・バフェットと、その師匠というべき、ベンジャミン・グレアムの投資哲学と投資手法を軸に、自分自身の経験を加えて、バリュー投資とはなんぞやを語った一冊。

バリュー投資と書くと、なんだか難しそうだが、13歳の少年らしく、平易な言葉で書かれているので初心者にも分かりやすい。

ただ、内容自体は骨太。

「複利のパワーを発揮させるためにコストは最小限に抑えるべし」や「投資すべき価値のある株を見つけるには財務諸表を脚注まで含めて丹念に読むべし」、「買った株は長期保有すべき」といったポイントを示しつつ、最後には投資を通じての人生哲学まで語っている。

なんとも、すごい少年だなと思っていたら、それもそのはず、著者はインドの財閥の一員で、父とおじは高名な投資家というのだから、まさにサラブレットといっていいお子さんなんですな。きっと、俺の年収の何百倍も稼いでいるんじゃなかろうか。

個人的には

みんな、医療行為や建築工事は片手間ではできないと言いながらも、一方で、投資については片手間でもできると思いこんでいるから、本当に驚きだ。(p.49)

という言葉には深く同意。だから、おれはインデックス投資しているんだよなー。

ちなみに、著者はインデックス投資家なら信奉者も多いであろう効率的市場仮説には反対と書いている。人間はそれほど合理的ではないというのだ。

ちょっと前の日本株のPBR(株価純資産倍率)が軒並み1倍割れになるまで売られた時のことを考えると、さもありなんという気がする。

内容自体には目新しさはないが、200ページでバリュー投資について掴めるということで、手軽な一冊といっていいだろう。アクティブ投資家はもちろんのこと、インデックス投資中心のパッシブ投資家にとっても面白く読める本ではないかと思う。

Tags: 書評

_ 『裏返しの男』(フレッド・ヴァルガス)

裏返しの男 (創元推理文庫)(フレッド・ヴァルガス/田中 千春)

本が好き』から献本いただきました。

フレッド・ヴァルガスの〈警察署長ジャン=バチスト・アダムスベルグ〉シリーズの第2弾が本書。実は前作『青チョークの男』は未読なんだけど(というか存在を知らなかった)、この本から読んでも全然問題なし。

本書の前に読んだヴァルガス作品といえば、『論理は右手に』だが、もう4年も前だ。なんとも感慨深い。

原著は1999年の出版。邦訳の出版まで12年かかったというのにはあれこれ考えてしまう。やっぱり、色々と大人の事情で大変なんでしょうな……。

閑話休題。

本書のストーリーだが、舞台はアルプスの村。そこでは羊が山から下りてきた巨大な狼に次々に噛み殺されるという事件が起きていた。頻発する事件に村人たちは山狩りをするものの、収穫はなし。そして、狼の正体は狼男だと言いはじめた女牧場主が遺体で発見される。その首には巨大な噛み跡が……。

女牧場主の友人だったカミーユとその恋人でグリズリー研究者のカナダ人、ローレンスは狼男と目される人物を探るが、彼は姿を消していた。カミーユはひょんなことから復讐を誓う女牧場主の息子と羊飼いの老人とともに、狼男を追うことに──というのが冒頭のあらすじ。

登場人物のセリフの中に幾度か「ロードムーヴィー」という言葉が登場するが、ストーリーはその通り、悪臭ぷんぷんの羊運搬トラックを駆る運転手のカミーユをはじめとする3人組の珍道中を描いたロードムーヴィーものへと発展していく。そこにカミーユの元恋人がアダムスベルグが関わってくるわけだ。

このアダムスベルグというのが、捉えどころのない男なのである。いつもぼんやりしているが、なんとなく真実が分かってしまうという、とんでもない特殊能力を持っている。なんとなく分かってしまうがゆえに、推理もなにもあったもんではなく、事件の真相をぽんと提示するのだが、それでいて、ちゃんとミステリになっているのは、さすが。

ただ、本書の真相については、うーん、かなりバカミスっぽい気がw

それにしてもフランス人ってそんなに臭いんでしょうか。

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