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2011-12-30(Fri) [長年日記]

_ 『夜を希う』──ウィスコンシンの森林と湖を背景に、血飛沫と硝煙が舞う傑作冒険小説。二転三転するストーリー運び、緻密なアクション、キャラクタを描く見事な手腕と何拍子も揃った一冊

夜を希う (創元推理文庫)(マイクル・コリータ/青木 悦子)

著者、マイケル・コリータは1982年生まれ。21歳の時に〈私立探偵小説コンテスト〉で最優秀賞を受賞してデビュー。現在までに8冊の作品を上梓している。代表作〈リンカーン・ペリー〉シリーズの第一作だけは邦訳されているが、それ以降、邦訳されず、日本ではあまり知られていない作家だが、本国アメリカでは人気作家とのこと。

そんなコリータの初めてのノンシリーズが本書『夜を希う』だ。2008年度に、あのトム・ロブ・スミスの『チャイルド44』を抑えて、見事に〈LAタイムズブックプライズ〉最優秀ミステリ賞を受賞したことからも面白さ折り紙つきである。

ストーリーは25歳の青年、フランク・テンプル三世が留置所から出るシーンからはじまる。フランクがトラ箱に入れられるまでに飲んだ原因は、ある男がウィスコンシンに戻ってくることを告げる一本の電話だった。男の名はデヴィン。父を裏切り、自殺に追いやった男だった。

7年前、フランクは、デヴィンが帰郷することがあれば殺すことと誓った。その誓約を忘れようとしていたフランクだったが、作家になる夢に破れたことも重なって、ついにデヴィンを対決するため、ウィスコンシンの人里離れた氾濫湖(ザ・ウィロー)へと車を走らせる。

ところがその道中、フランクは思わぬ追突事故を起こしてしまう。故障した車を回収するためにレッカー車を運転してきた自動車修理工場店の経営者、ノーラの美しさに心奪われるフランクだが、一方で追突した相手の運転手の不自然な態度にも警戒感を覚える。謎の男が現われ、田舎町に不穏な空気が流れはじめる──というのが本書の冒頭。ネタバレになるので詳しくは書けないが、ここからウィスコンシンの森林と湖を背景に、血飛沫と硝煙が舞う展開が読者を待ち受けている。

本書の特徴はなんといっても、主人公フランクの人物造形にある。見掛けはごく普通の青年ながら、実はFBI捜査官だった父に徹底的に鍛えられ、高い戦闘能力を持つ。自分を育ててくれた父を愛し尊敬しながらも、犯罪者として最後を迎えた父への苦悩を抱えている。

父への苦悩というものは、そのままヒロインであるノーラへ通じるものだ。主人公のふたりが父を愛しながらも、同時に縛られているように感じていることに留意されたい。

ローラーコースターのように二転三転するストーリー運びはもちろんのこと、アクションシーンを描く筆致は緻密、さらにフランクとノーラ、エズラといったキャラクタを描く手腕も見事。何拍子も揃った傑作冒険小説である。強くオススメしたい。

創元文庫のコリータ近刊は、本作とは打って変ってホラー・ミステリーとのこと。あのジョー・R・ランズデールやダン・シモンズ、スコット・スミスが太鼓判を捺した傑作らしい。今から刊行が楽しみだ。

Tags: 書評

_ 2011年KPT

ちょっと早いけど、今年のKPT(あんまりKPTじゃないけど)。

Keep

  • 震災があって、原発事故があってと大変な年だったけど、家族は特に大きな病気もすることがなく過ごせてよかった。
  • 電力事情で開催むりかなーと思っていたスピッツのライブ「とげまリーナ(@さいたまスーパーアリーナ)」に行けたのは良かったなー。来年も行きたい。
  • 筋トレが習慣化できたのもいい感じ。
  • 10月くらいから週4、5冊くらい本を読めるようになってきたので、これは2012年もつづけたい。目標は250冊読むことかなー(まぁ、読んだからなんだって訳じゃないんだけど)。
  • Ticket Driven DevelopmentとTest Driven Developmentが、もうちょっと修行が必要だけど、ほぼ習慣化できたのもいい感じ。
  • 今年に入ってからちょこっと投資をしはじめた。経済に興味が出ていい感じ(欧州危機と円高で損出てるけどw)。
  • 上記と関連してきちんと家計簿をつけるようにした。むだ使いが把握できていい感じ。
  • α55を買って皆既月食撮ったりしたのは、宝のもち腐れ感がなくていい感じ。

Problem

  • 震災からちょっとの間、なんだか気力がなくて書評が書けなかった。読んだ本の記録も録らなかったので、何の本を読んだかもはっきり分かっていない。これはよくなかったなー。
  • ランニングもしようと思いつつ、帰るのが遅くてできなかった。シューズへの投資がムダになるのでなんとかしたい。

Try

  • レガシーコード撲滅。10年くらい前に書いて、細々と書き直しつつ使っていたレガシーなPHPコードを12月に入っていじりはじめたので、テストをばりばり書いて、少しはモダンな形にもっていきたいところ(本当はSinatraか、Railsで書き直したかったんだけど、時間的にムリだった)。
  • CIと1クリックデプロイあたりの環境整備をして、もっと楽したい。
  • 1クリックデプロイでサーバ管理も楽したい。
  • 社内にDVCSを浸透させる。Gitは敷居が高くて、なかなかデザイナさんといった非プログラマな人に使ってもらうのが大変で社内に広められていないのだけど、来年こそはMercurialとかなんかでどうにかしたいところ。
  • アジャイルサムライ』でアジャイル熱が燃え上がってきたので、アジャイル開発を本格的に実施したいところ。
  • 積読消化。
  • 読んだ本の書評を書く。
  • 関数型言語にも手をつけたい。Clojureかなー。