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2011-12-20(Tue) [長年日記]

_ 『11 eleven』──2010年日本SF傑作選にも収録された「五色の舟」は必読のデキ

11 eleven(津原 泰水)

短編では何度も読んでいるのだが、津原泰水オンリーの本を読むはこれがたぶん初めて。

タイトル通り、11篇の作品が収められている。

全体としての感想は、いまひとつかなーというのが正直なところ。悪くはないのだが、どうもモヤモヤ感が残る作品が多くて、いまいち肌に合わない感じが強かった。軽いホラー系の作風が好きな人には合うんだろうなぁ、とは思うのだが。

ただ、そんな中でも、語り手を含む見世物小屋を営むフリークス一家に、小松左京の「くだんのはは」に登場する未来を予言する妖怪「くだん」を絡めた「五色の舟」は文句なしの傑作。初出である『NOVA2』と2010年日本SF傑作選『結晶銀河』(書評はこちら)で既読なので、読むのは3回目になる訳だが、それでも面白かった。未読の方はぜひ。SF者には必読と言い切ってしまってもいいだろう。

その他、延長コードを継ぎ足していくという行為から、なんともいえない心の暗闇が浮かび上がってくる「延長コード」、語り手がかつての妻の顔を幻視するようになるというくだりから、読者が思ってもいなかった展開を迎える「微笑面・改」がいい。

ちなみに収録作「キリノ」の意味が全然分かなくてなんのことかと思ったら、「小説新潮 別冊 桐野夏生スペシャル」に収録されたと知って笑ってしまった。まんまやんw

Tags: 書評 SF