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2011-12-17(Sat) [長年日記]

_ 『機龍警察』──パワードスーツが実用化された至近未来を舞台にした警察小説。アニメを思わせる設定とリアルな警察ものという水と油な要素をまとめあげた手腕は見事

機龍警察(ハヤカワ文庫JA)(月村 了衛)

大規模破壊兵器の衰退とともない、市街地での近接支援を主眼として台頭してきた二足歩行型軍用有人兵器「機甲兵装」──いわゆるパワードスーツが実用化された至近未来。

機甲兵装を使用した犯罪やテロが頻発するようになり、日本警察は警視庁内に「龍機兵(ドラクーン)」と呼ばれる新型機甲兵装を装備した特捜部を新設した。しかし、実働要員として外部から雇用した元傭兵をはじめとするパイロットを抱え、トップも外務省から出向者である特捜部に対して、既存の警察組織は激しく反発する。

そんな中、密造機甲兵装による地下鉄立て籠り事件が発生。特捜部が出動するものの現場で、SATと激しく対立する。結局、SAT主導の突入が行なわれるものの、SATは犯人グループの罠にかかり全滅してしまう。事件を警察への挑戦とみた特捜部は、独力で事件の黒幕を追いはじめるが……。

ベテランのアニメ脚本家である著者の小説デビュー作。

警察に配備されたロボットや、新設された部署が警察のはみだしものといった設定はパトレイバーを思わせるが、異分子である特捜部と既存部署の対立がパトレイバーとは比較にならないくらいひどい。

前述の通り、トップや龍機兵パイロットが警察外な人間な上、様々な部署から引き抜かれた特捜部の刑事たちも特例として二階級昇進しているため、身内からの嫉妬を一身に受けている。特捜部は他の部署からの捜査協力を得られないどころか、ガセ情報まで流される始末。はっきりいって特捜部にとっての敵といってもいいレベルなのである。

物語が進むにつれ、パイロットたちの過去や龍機兵自体の謎が浮かび上がってくる構成や、様々な圧力を受けつつ捜査にあたる刑事たちの姿を描く筆力は分野は違えど、さすがはベテランと感じさせるもので、ぐいぐい読ませる。

アニメやライトノベルを思わせる設定とリアルな警察ものという、水と油な要素をまとめあげた手腕も見事だ。

残念なのは、様々な未回収の伏線を残しつつ、本書が幕を閉じること。ぜひとも続編を希望したい。

書評について

去年の8月に書いていて、すっかり日記に載せるのを忘れていた。

続刊『機龍警察 自爆状況』を読んだので改めて掲載。

Tags: 書評 SF