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2011-11-20(Sun) [長年日記]

_ 『MM9 -invasion-』──巨大美少女が東京を舞台に宇宙怪獣とガチンコバトルを繰り広げる本格怪獣SF第2弾。今年読んだSFの中でもベスト級な一冊!

MM9―invasion―(山本 弘)

怪獣が存在し、自然災害の一種と見なされている世界を舞台にした本格怪獣SF第2弾。

前巻がきれいに収束していたので、「Webミステリーズ!」で連載がはじまったと聞いた時には、いったいどんな話になるんだろう、なんてちょっと心配していたのだが*1、前作に勝るとも劣らない傑作に仕上がっていて、大満足の一冊。

「気象庁特異生物対策部」──通称「気特対」の怪獣対策のプロフェッショナルたちに代わって、少年少女が主人公になったため、前巻よりもジュブナイルSF色が強くなっている点は好みの分かれるところだが、個人的にはとても楽しめた。今年読んだSFではベスト級といってもいい。

ストーリーは、眠りについていた少女型怪獣ヒメを移送中のヘリに謎の火球が激突、ヘリは墜落するものの、ヒメには宇宙監視員ジェミーが憑依していた──というウルトラマンへのリスペクト爆発な導入から、ヒメ==ジェミーに助けを求められる高一の少年とその幼馴染の少女という黄金設定を経て、宇宙怪獣 vs (ほぼ)裸の巨大美少女が東京を舞台に激闘を繰り広げる、燃える展開へと雪崩れ込んでいく。

改めて感心させられたのは「怪獣==自然災害」という設定だ。本書の元になった連載は東日本大震災の前に完結しているが、怪獣に蹂躙される町の様子に、思わず被災地を重ね合わせてしまい、目頭が熱くなってしまった。

もちろん、SF的要素もおさおさ怠りない。怪獣が存在できる理由として用いられた多重人間原理と、ビックバン宇宙と神話宇宙のせめぎ合いという宇宙観を軸に、なぜ宇宙人が相対性理論をものともせず、何百光年も離れた星から地球を侵略するのかという問いに、華麗に回答をつけている。

時には青臭く感じられる山本弘色も薄く*2、誰にでもオススメできる良質なSFとなっている。前巻が未読な人はぜひそちらから読んで欲しい。

現在、「Webミステリーズ!」に連載中の続編『MM9―destruction―』が単行本にまとまるのが楽しみだ。

MM9 (創元SF文庫 )
山本 弘
東京創元社
¥ 903

Tags: SF 書評

*1 連載ものは一冊にまとまってから読む派なのだ。

*2 ロリコン趣味は別としてw