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2011-08-21(Sun) [長年日記]

_ 当事者たちへのインタビューと綿密な取材をもとに、ボスニア紛争を巡るPR戦争を浮き彫りにする──書評『戦争広告代理店』

ドキュメント 戦争広告代理店 (講談社文庫)(高木 徹)

当事者たちへのインタビューと綿密な取材をもとに、ボスニア紛争を巡るPR戦争を浮き彫りにした一冊。

[email protected][email protected][email protected][email protected][email protected]間違いないだろう。

1992年から95年まで続いた旧ユーゴスラビアのボスニア紛争は、勃発当初は「ヨーロッパの裏庭で起きたほんの些細な出来事」にしかすぎなかった。しかし、紛争の片方の当事国であるボスニア・ヘルツェゴビナ共和国がアメリカのPR企業、ルーダー・フィンに助けを求めたことにより、世界の耳目を集める紛争へと変化していく。

「独立を求めたモスレム人(ボスニア・ヘルツェゴビナ共和国)を弾圧するボスニア人(ボスニア共和国)」というストーリーは当時広く流布し、今でも通じるものとなっている。だが、実際は「3人のジム」と呼ばれたルーダー・フィンの担当者たちが作り上げたものだった。

当時のイーグルバーガー米国務長官はバルカン半島で起きた民族紛争について「バルカンには、ボーイスカウトなんていないんだよ」と述べている。つまり、ボーイスカウトのように無垢で行儀のいい人間など存在せず、セルビア人、モスレム人、クロアチア人が三つ巴となり互いを殺し合っているという意味だ。

「3人のジム」は様々な戦略を活用し、被害者としてのモスレム人のイメージを作り上げていく。その一環として、ハンサムで英語がうまいという点に着目し、ボスニア・ヘルツェゴビナのシライジッチ外相を徹底的にトレーニング、国際社会に通用する一流のスポークスマンに教育している。本書の主人公は「3人のジム」とシライジッチといっても過言ではない。ラストで描かれる、彼らが決裂することになったエピソードも非常に読ませる。

ちなみに、「3人のジム」によって教育されたシライジッチは、その後、明石康・国連旧ユーゴ問題特別代表をメディア戦略で手玉に取っていたそうだ。

驚かされるのは、今では完全に定着した「民族浄化」という言葉も、PR企業が流布させたものだったということだ。最初、民族浄化を表す英語には「ethnic purifying」と「ethnic cleansing」のふたつがあった。後者を「より、ぞっとさせる響きを持つ」という理由から選んだという「3人のジム」の深慮遠謀には舌を巻く。

本書で描かれるPR企業のやり方は、どう贔屓目に見ても倫理上の問題が残る。彼らが作り上げたストーリーのため、NATOによるセルビア空爆が行なわれ、民間人の犠牲者を生んだ。それでも彼らを100%の悪とすることはできない。本書で描かれる「3人のジム」の働きは、善悪を超えた、まさにプロフェッショナルの仕事といっていいものだからだ。

翻って、日本の状況はどうなのか。本書の単行本が初めて上梓されたのは2002年である。それから9年経った現在でも情報戦における日本の実力はお寒いと言わざるをえない。特に原発事故を巡ってのPRの稚拙ぶりは、国民でさえ眉を顰めてしまう。他国がどう感じるかは言わずもがなだろう。

血を流すことのない、情報を武器とした戦いは常に存在している。本書の価値は些かも減じていない。

Tags: 書評 軍事

_ コマンドラインでバッファの中身を使った補完機能を有効にしてくれるCmdlineCompleteをインストールした

CmdlineComplete

コマンドラインでC-p、C-nを押すと、開いているバッファの文字列を使って補完をしてくれるプラグイン。ちょっと面倒くさかった置換がとても便利に。

ちまちまキーを叩いていたのがバカらしくなる。というか、なんで今までググって探そうと考えなかったんだろうw

Tags: vim