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2011-05-08(Sun) [長年日記]

_ レニングラード包囲戦を背景に、一人の少年の成長を描いた小説『卵をめぐる祖父の戦争』を読んだ

卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838)(デイヴィッド・ベニオフ/田口俊樹)

『25時』も『9999』を持っているにもかかわらず、積ん読になっているデイヴィッド・ベニオフの第3作。

これは最高に面白かった! ジャンル問わず、今年読んだ小説の中では、今のところ、ベストといっていい作品だ。

物語は、作家である書き手に、祖父が第二次世界大戦の経験した5日間の冒険を語るというメタ・フィクション形式になっている。

時は1942年。17歳の祖父はドイツ軍に包囲されたレニングラードにいた。少年消防団長だった祖父は、落下傘で落ちてきたドイツ兵の死体を発見する。飢えていた祖父がドイツ兵の死体の所持品を漁るが、運悪く警邏兵に見つかり、略奪の罪で監獄送りになってしまう。

銃殺刑を覚悟した祖父だが、監獄で知り合った脱走兵コーリャとともに、なぜか秘密警察大佐の前に引き出される。大佐は告げる──「木曜日の夜明けまでに卵を持ってこい」。大佐が要求した卵の数は1ダース。しかし、包囲下にあるレニングラードでは、卵どころか、ありとあらゆる物資が欠乏している。どこで卵が見つかるというのか? しかし、卵を見つけなければ、待っているのは死のみ。祖父は、やたらと饒舌なコーリャととともに探索の旅へ──。

というのが冒頭のあらすじ。なんとなく寓話を思わせるような出だしだが、ストーリーが進むにつれ、飢えたレニングラード市民、対戦車用地雷犬、立ったまま死んでいるロシア兵、パルチザン、ドイツ軍の過酷な占領政策、悪名高き特別行動隊と、悲惨な戦争の姿が浮き彫りにされていく。

しかし、人類史上、最大の犠牲者を出した独ソ戦の一端を描きながらも、祖父と相棒コーリャの軽妙なやりとりに代表される、登場人物たちの会話が作品に光を与えている。それは戦争という愚行の中にあっても、人間には、また希望や賢さもあることを示しているかのようだ。

戦争という巨大な歴史の暴力装置を背景に、一人の少年の成長を描いた一作である。強くオススメしたい。ちなみに、青春ものには欠かせない、ボーイ・ミーツ・ガールな要素もありますよ。

さて、『25時』と『9999』を積ん読タワーから掘り出すとするか。

Tags: 書評

_ GW最終日

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飛び石なので、連休といっていいのかどうか微妙なところだけど、GW最終日。

午前中は書評書きと家の掃除。昼食を挟んで、午後はハナを風呂に入れてから買い物と図書館に出掛けて、帰宅後に草刈りと筍掘りと、なかなか充実した一日だった。

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まぁ、おおむね良い連休だったんじゃないでしょうか。

Tags: 日常