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2011-03-07(Mon) [長年日記]

_ 『クトゥルー神話全書』──リン・カーターによるクトゥルー神話体系と論考、そしてクトゥルー神話を創造したH・P・ラヴクラフトの評伝ともなった一冊

クトゥルー神話全書 (キイ・ライブラリー)(リン・カーター/朝松 健/竹岡 啓)

リン・カーターによるクトゥルー神話体系と論考、そしてクトゥルー神話を創造したH・P・ラヴクラフトの評伝ともなった一冊だ。

ちょっと年季の入ったクトゥルー神話ファンは、神話小説の作者としてのリン・カーターの名前を一度ならずとも見たことがあるに違いない。しかし、評論を読んだことがある人は、よほどコアな人だけだろう。

私も小学校5年生(なんと20年以上前だ!)の山本弘の『ラプラスの魔』を読んで以来、クトゥルー神話にずっと憑かれて生きてきた──と書ければ、カッコいいのだが、単に神話ものが好きなだけで作品を拾い読みしてきただけだ。リン・カーターが評論を書いていることさえ知らなかった。そんなヌルい私だが、本書は心から読んでよかったと思える一冊だった。

本書の帯には「クトゥルー神話とは、20世紀最大級の驚くべき文学的現象である」なんてぶち上げてあるので、どうせラヴクラフトを礼賛した内容だろうなんて予断を持ちつつ、ページを開いてみたところ驚いた。ラヴクラフトに対して手厳しいのである。

たとえば、文章力については、「キャラクターを創造する能力が皆無」で「会話文を書くことも上手では」ない上に、「文体は大袈裟で、わざとらしく、気障」で「書き方が凝りすぎているし、冗長で、形容詞が多すぎる」。ここまで言わなくてもいいだろうという感じである。

さらに、その人物像についても、実際は経済的に困窮しているのに、やたらに紳士ぶっていることや、原稿が一度、雑誌(〈ウィアード・テールズ〉のことだ)に不採用を食らうと諦めてしまい、他の雑誌に売る努力をしないというプロ根性に欠ける点を批判している。

「しかし」とカーターはつづける。ラヴクラフトが生み出したクトゥルー神話はそれまでの怪奇小説とは違うものをもらたした。それはホラーSFという革新性である、と。

ラヴクラフトは47歳の若さでこの世を去った。オーガスト・ダーレスがいなければ、ラヴクラフトはごくごく一部の愛好家たちが知るだけの作家になったことは間違いない。ラヴクラフト没後にダーレスが私財を投入して設立した出版社、アーカムハウスのことである。

ラヴクラフトを師として敬愛していたダーレスは、ラヴクラフト作品を書籍として出版するとともに、自身も神話作品を書き、クトゥルー神話の火を絶やさぬように尽力した。「宇宙とは無慈悲であり、人間は蟻ほどの価値もないちっぽけな存在である」というラヴクラフトの世界観に善悪二元論や、火・水・地・風の四大要素を持ち込んだとして、ダーレスを指弾する意見も読んだことがあるが、それがいかに的外れなものであったかということは本書を読めば分かる。ダーレスがいなければ、今日、我々が「クトゥルー」という名前さえ見ることがなかったであろうことは間違いない。

本書に書かれているのは、クトゥルー神話の基礎を作り上げたラヴクラフトとその仲間たちと、それを絶やさぬために努力したダーレスの姿だといっても、決して大袈裟ではない。

本書を読んでいて現在に通じると感じたことが2つある。

ひとつめは、ラヴクラフトの手紙癖。ラヴクラフトは寡作といっていい作家だったが、その原因のひとつに、仲間たちとの手紙のやりとりがあまりにも多かったことがあるそうだ。今でいえば、作家がTwitterやFacebookに熱中するあまり肝心の原稿が疎かになる、といった感じだろうか。

ふたつめは、アーカムハウスの出版でダーレスが学んだこと。クトゥルー神話小説のような、いってみれば「ニッチ」な作品には旬がなく、何年経とうが売れつづけるという。つまりはロングテールなのである。

本書が上梓されてから40年、カーターが亡くなってから既に20年以上が過ぎた。本書の最後にカーターは「ラヴクラフトの最後の使徒はまだ現われていないに違いない」と書いている。さすがのカーターも、ラヴクラフトが創造したクトゥルー神話が世界中に広まり、遥か東洋の日本でもホラーには欠かせない要素となるとは想像もしなかっただろう。

21世紀に入って、既に11年が過ぎた今もラヴクラフトの使徒たちは生まれつづけている。

クトゥルー研究の第一人者である訳者および監訳者による註も豊富で、ファン必読の一冊といっていいだろう。

Tags: 書評 CofC

_ SPITZ ON-LINEとスピッツファンクラブは違うものだった

去年あたりからスピッツにハマっていて、今年はライブに行きたいなーということで、チケットの先行抽選予約ができるSPITZ ON-LINE MEMBERSに「月800円は高いなぁ」と思いつつ入った。

あとで気付いたのだが、実はスピッツファンクラブ(スピッツベルゲン)は別物だったらしい。

まぎらわしー!!

後者は

入会金500円+年会費 3,500円=初年度4,000円

ということなので、こっちの方がよっぽど安いし、さらにチケットの先行予約もこちらの方が早かったみたい。

色々と権利問題がごちゃごちゃする世界なので仕方ないとは思うのだが、なんだがもやもやする。

今回はSPITZ ON-LINEでチケットの申し込みをしてしまったので、抽選が外れたら、SPITZ ON-LINEは止めて、ファンクラブに入る方向だな。

Tags: spitz 日常