«前の日記(2011-02-14(Mon)) 最新 次の日記(2011-03-05(Sat))» 編集

[email protected]



2011-02-27(Sun) [長年日記]

_ 『死ねばいいのに』──京極夏彦作品としては、少々、期待はずれだった。登場人物たちに感情移入できなかったのが、いまいち乗れなかった一番の理由だ。

死ねばいいのに(京極 夏彦)

iPad版も発売されて商業電子書籍の先駆けとしても話題になった京極夏彦の連作集。今回は従来の紙の書籍で読んだ。

ストーリーはいたってシンプルだ。

語り手たちのもとに、一人の若い男が訪ねてくる。アサミのことを聞かせてほしいンすけど──。

態度の悪い男が口にするのは、死んだ若い女のことだ。語り手たちは、男の無礼な態度に怒りつつも、死んだ女──アサミについてごくごく平凡な答えを返そうとする。しかし、そんな語り手たちに、男は決定的な言葉を突き付ける。狼狽する語り手たち。みっともなく自分を正当化しよう彼らに男は告げる──死ねばいいのに。

結論から書けば、京極夏彦作品としては、少々、期待はずれだったというのが正直なところ。オチも悪くはないし、ストーリー運びもスムーズで、ベテランの仕事といっていいだろうと思う。ただ、登場人物たちに感情移入できなかったのが、いまいち乗れなかった一番の理由だ。

それほど他人に興味をない、かつ、ストレートな性格をしているせいか、自分だったらこういう風には感じないなー、と登場人物たちの心理について思うことが多々あった。京極夏彦の同じような系統の作品でいうと、2009年に上梓された『厭な小説』の方がずっと自分と重ね合わせて読めたように思う。

Tags: 書評