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2011-02-13(Sun) [長年日記]

_ 『旧友は春に帰る』──『探偵はバーにいる』のモンローが再登場する〈ススキノ便利屋〉シリーズ第10作目。ラストの1行が心に染みる一冊だ。

旧友は春に帰る (ハヤカワ・ミステリワールド)(東 直己)

東直己の代表作である、ススキノに住む便利屋の〈俺〉を語り手にしたシリーズもついに10作目を迎えた。52歳となった〈俺〉は今日も元気に暮らしているようだ。実は本書が出版されたのは一昨年。出ているのに気づかず、すっかり読むのが遅くなってしまった。

今回、〈俺〉が事件に巻き込まれることになるきっかけは、旧友モンローからの一通の手紙だった。かつて、ススキノでナンバー1のデート嬢だったモンロー。25年前、ある事件の結果、沖縄に逃げたはずの彼女がなぜか夕張にいるという。「お願い。助けて」──。モンローからの助けを乞う言葉を受けて、夕張に向かった〈俺〉だが、モンローが滞在するホテルのロビーにはヤクザがたむろしていた。

すっかり老けたモンローと再会した〈俺〉。しかし、モンローははぐらかすばかりで、事情を話そうとしない。本州へ逃げたいというモンローを連れて、〈俺〉は夕張を脱出するが……。

「モンロー」という名前を読んで、とても懐しい気分になった。「シリーズの初期に出てきたと思うけど」とググったところ、シリーズ第1作『探偵はバーにいる』の登場人物だった。『探偵をバーにいる』を読んだのは、たしか中学生の頃だった。25年とはまではいかないまでも、20年は経っている計算になる。歳をとる訳だ、と、なんとなく作中の〈俺〉と同じような感慨に耽ってしまった。

ストーリーは、あいかわらずの安定度。シリーズを読んできた東直己ファンであれば、楽しく読めるはずだ。逆にシリーズ未読の人は、本書から読むなどという無謀なことはやめた方がいい。10冊もあることにひるまない向きは、『探偵はバーにいる』からどうぞ。

ラストの1行が心に染みる。

ちなみに、シリーズの2作目の『バーにかかってきた電話』が今年映画化されるとのこと(それでいてタイトルが第1作の『探偵はBARにいる』というんだからややっこしい)。主演が大泉洋ということで、個人的には〈俺〉とはイメージが違う気もするが、この機会にシリーズを読みはじめるのも一興ではないかと思う。

Tags: 書評