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ぽっぺん日記@karashi.org


2010-01-20(Wed) [長年日記]

_ [読書感想]COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)2010年2月号

COURRiERJa pon

COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)の2010年2月号を レビュープラス 経由で献本いただきました。 今号もいつも同様、非常に楽しんで読むことができました。 感謝いたします。

今号の表紙には、POWERスイッチの透かしがうっすらと入っていて、なかなかカッコいいです。

印象に残った記事をピックアップ。

次の、ITライフ。

今月号の特集では、TwitterやiPhone、Kindleなどの記事を通して、我々の生活を変えたITを描き出している。

私にとって、Googleも、Twitterも、iPhoneも今では日常生活に欠かせないものになっている。 しかし、10年前を考えると、特集の中で取り上げられている技術の、ほとんどは存在しなかった。 それらのテクノロジーがすべてインターネットを基盤となっていることを考えると、インターネットが与えた影響の大きさを改めて思い知らされる。

iPhoneを持つまで電子書籍には懐疑的だったのだが、iPhoneのi文庫というソフトを使いはじめてからは、完全に肯定派に鞍替えしてしまった。 画面の小ささが少々ネックであるが、フォントは綺麗で、操作性もよく、「これだったら電子書籍でも問題ないな」と感じた。

そんな訳で、特集の中でも、一番興味深かったのが、Amazonの電子書籍端末、Kindleに関する記事。 記事には、これまでAmazonで平均8冊の本を買っていた読者が、Kindleを買って以降、平均24.8冊を買うようになっているという、ちょっと驚かされることが書かれている。 日本では出版不況が深刻となっているが、電子書籍が日本でも読まれるようになれば、もしかすると出版業界にとって福音となるかもしれない。 ただ、一方で、従来の書店は一層大変になるかもしれないが……。

個人的には、電子書籍によって、これまで本が占めていたスペースを圧倒的に減らせらせるかもしれないという期待がある。 日本の土地代・家賃を考えた場合、大量の本を家に置くということは、コストがかかりすぎる。 電子書籍であれば、端末1台あれば済むのだから、山のように本を抱えて、ついでに経済的・家庭的問題*1も抱えた本読みにとっても、また福音になるかもしれない。

一昨年からMacBookとiPhoneを使いはじめた身として面白かったのが、ジョブズ後のAppleについて書かれた「天才ジョブズなきアップルが世界を変えられるか?」。 Appleの徹底した秘密主義(なんと情報漏洩を探るため、社内の一部に誤報を流す!)や、強烈なジョブズの天才ぶりを伝えている。

正直なところ、Apple製品を使いはじめたのがごくごく最近なため、ジョブズにもAppleにも思い入れはない。 ただ、製品としては、本当によく練られたものだとは、日々、MacBookやiPhonewo触りながら感じている。 ジョブズの健康状態がこの先どうなのかが分からないが、良い製品を出し続けて欲しいとは思う。

「量産される"つぶやき"の分析がツイッターに巨万の富を生む」では、Twitterの成功原因を探っている。 記事によれば、Twitterの成功原因は

  1. 徹底して簡潔にしたこと
  2. 発言者とフォロワーの関係を非対称にしたこと
  3. 当初よりAPIを提供したこと

の3つだそうだ。なるほどー。 当たり前とはいえ、Twitterが一社の独占サービスであること、サービスが不安定であることには、個人的に少々危なっかしい思いを抱いたりもするのだが、Twitterが世界に与えたインパクトが大変なものであることには同意。 しかし、記事では、Twitterの5年先の展望が書かれているが、今後1、2年先まで、Twitterの人気が続くかどうかは疑問だ。 どんどん加速している世界の常で、Twitterを超える新しいサービスが出てくるのではないかと思っている。

面白く読めた特集なのだが、少々残念なのが、特集からは記事のタイトルにもなっている「次の、ITライフ」が、うっすらとしか見えてこなかったところ。 かなりの読者が興味を持っている分野だと思うので、もう少し、ページ数を増やしてでも掘り下げて欲しかった。

WORLD NEWS HEADLINE

クーリエ・ジャポンが誇る世界中のニュースを集めたコーナーである。 その中でも興味深かったものをあげておこう。

「私は、本当のアフガンを知らなかった」。 アフガニスタンでタリバンに拘束された経験を持つNYタイムズ記者の手記の第2回である。 今回は拘束された著者と見張りとのやりとりや、米軍の無人攻撃機により攻撃を受けたこと、身代金を要求するビデオにむりやり出演させられたことなどが生々しく描かれている。 完結編である第3回にも期待したい。

「汚職と腐敗に塗れたイラク 国会議員の月給は4万ドル!」は、自分たちの利権を得るかばかりを追求している「イラク国民議会」の国会議員たちに関する記事。 イラク国民議会の上には、大統領評議会があり、国会で可決された法案を差し戻す権限が与えられているそうだ。 しかし、その回数は2回までに制限されている。 そのため、国会議員たちは3回目に、自分たちの好きな法案を可決してしまうという、むちゃくちゃな事態に陥っているらしい。 国会議長には大統領と同じ、副議長にも副大統領と同じ権限を与え、国会議員も首相と同じ権限を持っているというのだから、呆れてしまう。 ちなみに、現在、国会議員の給料は4万ドル、議員とその家族には8年先までの外交官パスポートが支給されるようになったとのこと。 イラクが「普通の国」になるのは、まだまだ先と言わざるをえない。

フランスといえば、生活を謳歌する国というイメージがあるが、『「週35時間労働」のツケを払わされるフランス人」によれば、週35時間という法定労働時間によって、企業の人件費が10%近く膨らみ、法人税が減っているそうだ。 国家予算の歳入が02年度と比較して、2兆円減少というのは、日本よりマシとはいえ、大変な事態なはずだ。 仕事か生活か。 どっちを取るにしても、完璧という答えはないのだろう。

「アフリカの権力を監視する! 戦う携帯電話ジャーナリズム」では、インターネットに接続できる携帯電話と手帳サイズの折りたたみ式キーボードだけで、腐敗した政府と警察に対抗して、権力を監視し民主主義を守るために活動しているニュースサイト「ボイス・オブ・アフリカ」を取り上げている。 ITが持つ力と希望を感じさせる記事だ。

2010年を決める10大ニュース

注目されたなかったが、実は今後の世界情勢を左右する重要な出来事10個に、光を当てた記事である。

その中でも目を引いたのが、次の3つ。

まず、『地球温暖化で「北極海航路」が開通』。 地球温暖化によって北極海の氷が減少しているという報道は、さかんにされているが、実はそれによって、船乗りの間での「夢のルート」だった北極海航路が開通したとの記事。 当然、良いことばかりな訳でなく、環境問題を別にしても、北極海に眠る資源を争うパワーゲームが近隣各国で加熱しているそうだ。 物事には様々な面があることを再認識させられる。

二つ目が「イラクで新たな民族間紛争の兆し」。 アメリカが進める対テロ戦争の主眼は、イラクからアフガニスタンに移ったように思われているが、イラクもまだ紛争解決からほど遠い状態にあることを明らかにしている。 最大の懸念は、イラク北部のヌーナワー州において、アラブ系とクルド系住民の間で新たな衝突が起きるのではないかということだそうだ。 既にクルド系住民の村で車爆弾を使ったテロも発生しているとのことで予断を許さない情勢らしい。

そして、三つめが『失速する米国の「文民増派」戦略』。 2011年に予定しているアフガニスタンからの米軍撤退と、「真の自立」を果たすため、アメリカが計画した多くの文民職員を現地に送り込むという計画が揺らいでいるという記事。 原因は、結局のところ、アフガニスタンの専門家の数が圧倒的に不足しているということらしい。 先日読んだそして戦争は終わらない 〜「テロとの戦い」の現場から(デクスター フィルキンス/有沢 善樹)では、いかにアメリカにイラク専門家がいないかが、浮き彫りにされていたが、アフガニスタンでも、やはり、同じ状況のようだ。 アメリカ主流主義の終焉をまざまざと思い知らされる記事だ。

「IQの高いバカ」にサヨナラ!? 本当の思考力は「RQ」で測られる。

IQは高いのに、思考力や判断力に問題がある人がいるという記事。 ちなみに、例としてはジョージ・W・ブッシュ元大統領が挙げられている(笑)。

一昨年前に読んだ『予想どおりに不合理—行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』(ダン アリエリー/Dan Ariely/熊谷 淳子)に通じる内容だけに、興味深く読んだ。

記事が伝えるのは、「知能」と「合理的思考能力」は違うというもの。 IQは「知能」しか測っていないというのだ。 「合理的思考能力」を測るために考えられているのが、RQ(合理性指数)テストとのこと。 マネジャーやリーダーを選ぶ際に、将来RQテストが使われるかもしれないということなのだが、面白いのが、RQテストは、訓練を受ければ誰でも比較的簡単に点数を上げること──つまり、誰でも訓練次第で合理的思考能力を身につけられるということだ。

記事には「愚かな判断をしないための6ヶ条」が掲載されている。

  • 雑念を取り除く
  • 言葉にとらわれない
  • 感情に左右されない
  • 事実を根拠に考える
  • 長期的な影響について注意深く考える
  • 誰にでも思いつく解決法以外の解決法を考えてみる

記事を参考に、合理的思考をしたいものだ。

「そろそろ現実の話をしないか?」第33回

翻訳家、評論家である山形浩生氏が英「エコノミスト」を読み解く連載。

コペンハーゲンで開催されたCOP15は、結局、本格的合意に至らなかった。 エコノミストの記事では、二酸化炭素を減らすのは難しく、コストもかかり、下手をすれば対策をすることにより被害を拡大してしまうから、もっと費用対効果のある防止策を進めるべきだと主張している。

記事によれば、農業が生み出すメタンや窒素酸化物は人的温暖化の10%ほどを占め、そのほとんどはウシやヒツジの腹から出るそうだ。 これを抑えるには、ガスが出にくい食事で可能とのこと。

また、ディーゼルエンジンや、薪やウシの糞を燃やす旧式のストーブから出る黒色炭素は、温暖化の原因の1/8〜1/4を占めるが、二酸化炭素と違い、数週間でなくなる。 途上国に安くてきれいなストーブを配るだけで、かなりの効果が上がるそうだ。

さらに、全然知らなかったのだが、二酸化炭素の1440倍もの温暖化効果をもたらすものに、HFCという工業気体があるとのこと。この排出を減らすのも安くて簡単だそうだ。

エコがブームとなっている昨今だが、本当に地球温暖化を防止することを考えるのならば、地に足を着いた合理的思考をもって考えたいと思わせられる良記事だった。

まとめ

今号も高いクオリティーの記事ばかりで、日本のメディアでは取り上げられないニュースを読みたい人に満足感を与えてくれる内容だった。 特に、IT系の特集もあるので、IT系の人も含めてオススメしたい。

*1 主に配偶者や同居人との間などに。

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_ Pingback (2010-01-21(Thu) 00:03)

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