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ぽっぺん日記@karashi.org


2009-11-15(Sun) [長年日記]

_ 失敗から学ぶ勇気を与えてくれる一冊──失敗の科学 ~世間を騒がせたあの事故の’’失敗’’に学ぶ(池田 圭一) 失敗の科学 ~世間を騒がせたあの事故の’’失敗’’に学ぶ(池田 圭一)

技術評論社より本が好き!経由で献本御礼。

ひとつの真理がある。「どんな人間でもミスや過ちを犯す」。 仕事や学業に限らず、人生を歩む上で、失敗は最も避けたいことのひとつではあるが、残念ながら我々は必ずそれに直面する。 しかし、失敗を恐れ、過去の失敗を振り返るばかりでは進歩はない。 前に進む以上、我々は失敗と上手に付き合っていかないといけないのだ。 本書は、失敗から学ぶ勇気を与えてくれる一冊だ。

本書は「未知への挑戦」、「公共事業の失敗」、「小さな失敗、大きな失敗」、「身近な失敗」の4章立てとなっている。 スペースシャトル・コロンビア号爆発事故、アポロ13号、H-II打ち上げ失敗、諫早湾干拓事業、高速増殖炉「もんじゅ」ナトリウム漏れ事故、みずほ証券取引入力ミス、不飽和脂肪酸の自然発火──。宇宙開発から我々の身近で起きたものまで、多岐に渡る失敗を取り上げ、その原因を探っている。

本書の中でも印象的なのは、宇宙先進国のアメリカと比較すれば1/20程度、大型ロケット開発では欧州と比較して1/3未満と、開発資金に大きく水をあけられている、日本の宇宙開発に携わる人々の不屈の精神だ。

「失敗は成功を尊い」を合言葉に、ペンシルロケットから始まった日本のロケットをH-IIAまで育て上げた。 また、火星探査には失敗したものの、火星探査機「のぞみ」では、失敗の中からでも、科学調査、スウィングバイを多用した複雑な軌道、1ビット通信を成し遂げた。 そして、現在、地球に帰還途中である「はやぶさ」では、数々のトラブルに見舞われながらも、イトカワ探査を実現させた。 それらの失敗を糧としてきた努力の結晶が、9月に行なわれたHTV(宇宙ステーション補給機)のミッション成功に繋がるのである。

「はやぶさ」については、イオンエンジンに異常が発生したとのニュースが先日報道された(小惑星探査機「はやぶさ」のイオンエンジン異常について)。 地球へ帰還できるかどうか大変微妙なところとなっているが、もし、帰還ができなかったとしても、「失敗」の烙印を押すのではなく、ここまでのことを成し遂げたということを評価してほしい。 それが新たな「はやぶさ」を再び宇宙に送り出すことに繋がれば、と心から願う(はやぶさリンク:はやぶさ2の現状について: 松浦晋也のL/D)

いささか手垢のついた言葉だが、「失敗は成功の母」といわれる。 しかし、それにはひとつ条件がつく。 失敗を失敗と認め、それを次の成功に結びつくように努力することだ。 まさに日本の宇宙開発に携わる人々が行なったように。

もし、失敗が隠されたとすれば、それはなんの教訓ももたらさない、単なる「惨めな失敗」に終わってしまう。 本書にも、その事例がふたつ取り上げられている。 ひとつは、動燃(動力炉・核燃料開発事業団)に「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故隠し。 もうひとつが、学校で起きたトップライト破損による転落事故が公にされなかったことだ。

前者は「もんじゅ」に投入された税金、1兆6000億をドブに捨てた結果となり、後者は児童の尊い命を今でも失わせる結果となっている(驚くべきことに、東京都内で限っても、2005年~2008年の間だけで同様の事故が15件起きている)。

情報公開と失敗を繰り返さないよう努力すること。 それらこそ、失敗を恐れず、前に進む勇気を与えてくれるものなのだ。


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書評/サイエンス

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