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2009-08-17(Mon) [長年日記]
_ [読書感想][SF]『時間封鎖』の待望の続編が登場だ──
どデカいスケールのアイデアと過去のSF作品へのオマージュを詰め込み、SFファンから大絶賛された、ヒューゴー賞・星雲賞を受賞作『時間封鎖』。 本書はそれにつづく、待望の続篇である。
前作のラストから30年後。 40億年に渡って地球を封鎖した〈仮定体〉という謎の存在がインド洋に投下した宇宙を超える門、〈アーチ〉。 その先にある新世界が本書の舞台となる。
夜空から星が消えるという衝撃的な幕開けから、地球を襲った異常現象の数々を、主人公が現在と過去の回想のふたつの軸から語るのが前作のスタイルだったが、本書では一転、様々な背景をもつ登場人物たちが権力からの逃避行をつづけながら〈仮定体〉の謎に挑むというものになっている。 畳み込むような異常現象によってディザスター小説としての面が強かった前作から、より落ち着いた雰囲気の作品へ転化したといっていいだろう。
ただ、その分、SFとしても少々、落ち着いてしまったのが残念なところだ。 1億倍の時間加速とそれを逆手にとった火星テラフォーミング、異星からの客など、SF者の感性を刺激するネタに溢れた前作と比較すると、本作のSFネタは〈仮定体〉の死骸とおぼしき灰が降るという、かなりこじんまりとしたものなっている。
また、ラストでその一端が明かされる〈仮定体〉の正体にしても、前作を読んだ読者には予想の範囲内だろう。
とはいえ、本書は3部作の中間にあたる第2部。 多少、中途半端に感じられるのも仕方のないところかもしれない。 前作よりは落ちるとはいえ、作品単体として見ても、中盤以降は一気通読確実な面白さであることには太鼓判を捺しておきたい。
神を巡るSFとなることを示唆するラストから、俄然、第3部への興味がかきたてられるが、訳者あとがきによると、第3部は依然、執筆段階にあるそうだ。 なんとも残念だが、首を長くして一日でも早く完結編を読めることを望むしかなさそうだ。
- ロバート・チャールズ・ウィルソン/茂木 健
- 東京創元社
- 1302円
書評/SF&ファンタジー

