ぽっぺん日記@karashi.org
2009-06-01(Mon) [長年日記] この日を編集
_ [読書感想][SF]悪役が大活躍の〈翼のない少年アズの冒険〉第2弾──
東京創元社様より本が好き!経由で献本御礼。
大異変後、人間が地表から数キロの柱の上に立てられた空中都市群スカイシティで暮らす翼を持つ〈エアボーン〉と地上に暮らす〈グラウンドリング〉へと分かれた世界を舞台に、翼を持たないエアボーンの少年、アズが活躍するジュブナイルSFシリーズ第2弾が本書。
アズの活躍により二つの世界の衝突が回避されてから1年。 お互いの存在を知った両者の間では協定が結ばれ、地上からスカイシティに送られる資源は、以前のような貢ぎ物ではなく、商取引の対象として扱われていた。 新たな信頼関係が築かれたかのように思えたが、エアボーンの間ではこれまで無償で手に入っていた資源に代金を支払うことに対する不満が広がり、その結果として、エアボーン至上運動〈フェザー・ファースト!〉が燃え上がりはじめていた。 そんな中、エアボーンの過激な集団が存在しないはずの飛行船ベヘモスを駆り、地上の油田採掘施設に海賊行為を働くという事件が起きる。 事態を重く見たスカイシティの行政府シルバーサンクタムは、アズに飛行船セルリアンによるベヘモス追撃命令を下す。 一方、アズのグラウンドリングの恋人キャシーのグラブダラー一家でも新たな事件が起きていた。 長男を亡くして以来、無気力だった父親デンが失踪してしまったのだ。 残されたキャシーたち兄妹はマークコマー〈バーサ〉で父親を追いかけるが──。
いやー、これは面白かった。 前巻『スカイシティの秘密』は
その理由のひとつがストーリーがあまりに平坦であること。
全体的な雰囲気は悪くはないのだが、盛り上がる場がほとんど見られず、だらだらと続いているような印象を受ける。
それなりに魅力的な主人公たちに対する悪役がキャラ立ちしていない点もその印象を強めている。
[スカイシティの秘密—翼のない少年アズの冒険 (創元推理文庫 F エ 5-1)(ジェイ・エイモリー) - ぽっぺん日記@karashi.org(2008-06-26)より引用]
とかなり酷評してしまったが、続篇である本作はぐっと良くなっている。
海賊を追うアズと父親を探すキャシーという二つの並行して走るストーリーが徐々に収斂していくのだが、どちらも息も吐かせぬローラーコースターばりの山場ばかり。 前作から引き続いて登場するミスター・モーダドサンや新婚ほやほやのアズの兄ガブリエルとオーロラ夫妻、グラウンドリングのコリンといったキャラクラー達もうまくストーリーに絡んできて読み応え充分だ。
本作で強調しておきたいのが、悪役もキャラ立ちしていること。 黒いレザースーツに身を包み、麻薬の力を借りて*1シルバーサンクタムのエージェントであるミスター・モーダドサンを圧倒するほどの格闘能力を見せる女海賊ナオウタ、自分を差し置いてセルリアン船長になったアズに憎しみを抱く副官ワリムサン、言葉巧みに相手を丸めこむ話術とナイフ技に長けた助祭ハードスクリーなど、なんとも悪の魅力に溢れた面々が揃っている。
面白いのが、海賊行為を働くのがエアボーンであるということだ。 従来、搾取する側と搾取される側の構図があれば、海賊なり盗賊なりの行為を働くのはそれまで搾取される側というのが通例だった。 しかし、本作ではそれまでユートピアともいえるスカイシティで不自由なく暮らしていたエアボーンが地上を襲うのである。
ユートピアに住む人々 == ひ弱
というステレオタイプを崩していて、著者の先の読める物語にはしないという意気込みを感じられる。
ジュブナイルSFらしく大団円で幕を閉じる本書だが、ラストではあっといわせる強烈な引きが用意されている。 次巻の邦訳出版がとても楽しみなシリーズだ。
『移動都市』が面白く読めた人であれば楽しめること請け合い。 オススメです。
- ジェイ・エイモリー/圷 香織 訳
- 東京創元社
- 1575円
書評/SF&ファンタジー
*1 「オーバードーズ」なんで言葉、最近の少年少女は分かるんでしょうか?
_ [rubykaigi2009][ruby]定額給付金の使い道=RubyKaigi2009に決まってるじゃん!
定時退勤しようと思ってところ、んやかんやの用事が入って、ずるずると仕事をしていたら、wassrのTLで、すっかり忘れていたRubyKaigi2009のチケット販売が19時から始まるというので、これもなにかの縁ということで購入。
@hsbtさんにも誘われていたし。 アイマスのコラボしようってね!(Rubyと関係ない)
懇親会のチケットも買ったので、計11,000円(本編:6,000円、懇親会:5,000円)の出費。 残金1,000円あるけど、これで定額給付金が飛びました。イェイ。
あとはPSPとアイマスか……(マテ
2009-06-04(Thu) [長年日記] この日を編集
_ [日常][物欲][散財]Amazonプライムの無料おためし期間が終わった
先月おためし入会したAmazonプライムが終わっていた。
1,500円未満でも送料無料というのはなかなか便利だったので、今度発注する機会にもう一度入会するかな、元は取れそうだし。
2009-06-06(Sat) [長年日記] この日を編集
_ [読書感想]上海に生きた、ある「英僑」の生涯──
かつて地球上の様々な場所に植民地を保有していたイギリスは、植民地経営のために自国民を大量に海外へ送り出していた。 と書けば、貴族など上流階級の人々のことが思い浮かぶが、彼ら以上の数の中下層階級の人々も職を求めて植民地へと渡った。 著者は海外へと散らばり大英帝国を支えていた人々のことを華僑ならぬ「英僑」と呼ぶ。
本書はそんな英僑のひとりで、上海共同租界の行政機構、上海工部局の無名の警察官ティンクラーの生涯を追ったノンフィクションだ。 著者は彼が本国へ送った手紙や中国に残る上海工部局警察時代の資料、本人を知る人々の証言などから、ティンクラーという一人の英国人男性を浮き彫りにするとともに、その姿を通してかつて存在した上海租界の有り様を描き出している。
ティンクラーは短期間で流暢に中国語を操るなど優れた能力を持つ人物であったが、一方で喧嘩っぱやい、極端な人種差別主義者でもあった(ただ、その時代には差別主義はそれほど特異な考え方ではなかった)。 友人といえる友人もいなく、彼の同僚や部下であった人々にティンクラーを誉める人間はほとんどいない。 ティンクラーは警察である程度出世するものの、人種差別主義が災いし、警察を辞職するはめになる。 その後、空白期間を経て英系企業に管理職として就職するが、その喧嘩っぱやさゆえに、日本海軍陸戦隊との間で生じた事件により命を落とす。
優秀ではあるもの粗暴な人物の生涯とまとめてしまうこともできるが、その背後には大英帝国の偉大さを信じつつも、母国との繋りが徐々に希薄になっていく孤独が透けて見えてくる。
軍閥が割拠する内戦下での上海の様子や、日本軍によって統治された上海で英国人たちが行政府を運営したという事実、そして大戦が終結し共同租界が中国側に返還された後に、上海の英僑が辿った道など、読み応えのある一冊となっている。
原著が刊行されたのは2003年だが、2008年に追記された最終章でこれまで知られてこなかったティンクラーの新たな一面が明らかにされていて驚かされる。 人間は誰しも一面で語れるほど単純ではないことの証左だろう。
訳者あとがきによれば、著者の英語は「翻訳者泣かせの文体」だったそうである。 そのせいか、かなり読みにくい文章になっているのが玉に瑕だ。
2009-06-07(Sun) [長年日記] この日を編集
_ [Plagger][Perl]為替を取得するCustomFeed Scriptを書いた
Perl初心者だけど、Plaggerで為替を監視したくなった。
Perlでやりたいことがあれば、まずCPANを探せということらしいので、検索してみたところ、Finance::Currency::Convert::WebserviceXを発見。 これを利用して、CustomFeed Scriptを書いてみた。
http://github.com/poppen/plagger/blob/master/assets/plugins/CustomFeed-Script/currency.pl
使い方はこんな感じ。
/path/to/currency.pl usd jpy # ドル相場を知りたい時
相場はいくつでも検索できるので、
/path/to/currency.pl usd jpy \
gbp jpy \ # 英ポンド
eur jpy # ユーロ
みたいな感じにできる。
取得日時の処理が実は適当なので、あとでFinance::Currency::Convert::WebserviceXの中身を読んで考えてみる。
_ [物欲]為替を監視したくなった理由
別にFXで一攫千金! とかいう訳じゃなくて、ポンド安になった時に、Amazon.co.ukからBle-rayディスクを安く輸入するためだったりする(参考:Blu-ray Disc 輸入盤 @ wiki - トップページ)。
これだから金が貯まらんのだよなー。
_ [読書]先週読んだ本
「今週読み予定の本」を書き忘れていたので実績版。
戦争サービス業―民間軍事会社が民主主義を蝕む
日本経済評論社
¥ 2,940
ウォーター・ビジネス――世界の水資源・水道民営化・水処理技術・ボトルウォーターをめぐる壮絶なる戦い
作品社
¥ 2,520
おやじがき―絶滅危惧種中年男性図鑑
にんげん出版
¥ 1,365
連日外回りだったせいか、帰宅→BTNQな毎日だったので少なめ。
イチオシは『戦争サービス業』。 新自由主義が軍事をどう変え、どう民主主義の根幹を揺がしているかを描いている。 軍事に興味がない人にも読んで欲しい一冊。 感想はあとで書く。
2009-06-08(Mon) [長年日記] この日を編集
_ [読書]今週読む予定の本
ヒトラーの特攻隊――歴史に埋もれたドイツの「カミカゼ」たち
作品社
¥ 1,890
今日の購入本(2009.1.24):MURAJIの戯れ言so-net blog版を読んで入手した一冊。 今日読み終えたけど、これはいい本だ。 感想はあとで書く。
アッチェレランド (海外SFノヴェルズ)
早川書房
¥ 2,415
以下は先々週からの読み残し。
_ [github]Githubでの最新版ファイルへのリンク方法
Githubに入れたあるファイルの最新版へのリンクの仕方を昨日初めて知ったのでメモ。
だったら
http://github.com/poppen/plagger/blob/master/assets/plugins/CustomFeed-Script/currency.pl
というように、ハッシュ値をmasterにすればいいらしい。
_ [物欲]PSPとアイマスを買うことを断念した(とりあえず)
PSPでアイマスをやるためにRubyKaigi2009のチケットを買ったんだけど(違、肝心のPSPもアイマスも持っていない。
で、値段を調べたところ、新品で買うと23,000円くらいかかると知ってチャイ噴いた。 これはネタでは出せん価格だなー。
@hsbtさんによると、PSPはゲームを除けば、iPhoneとかなりかぶるらしいので、ゲームをほとんどしないオレとしては正直なところ、iPhoneだけで充分だったりする。 ま、iPhoneじゃ、アイマスできないけどな!
そんな訳でPSPとアイマスを買うことは断念。 PSPの新品未開封で安いものを見掛けたら思わず買ってしまうかもしれないけど(ぉ
2009-06-09(Tue) [長年日記] この日を編集
_ [物欲]WWDC2009で発表された新製品の感想
iPhone 3G S
バッテリー時間が延びたのはいいなぁ。
ただ、今のiPhone 3Gには大枚をはたいたので(iPhone for everybodyがはじまる前だったので)、また6万円近く払えるかというと、かなり キツイものが。
父親にiPhoneを見せたら興味津々な様子だったので、父親にiPhone 3G Sを新規で買ってもらって、オレのiPhoneとSIMカードを交換すると いう外道なことも考えたりw
MacBook
ユニボディなMacBookは、Proに格上げ。
「ただ、Proってつけただけじゃないんか?」なんて疑問も浮かぶが、素直に13インチ・モデルは欲しくなったり。 Snow Leopardモデルが出たら買い替えを検討しようかな、と思った。
しかし、SDカードスロットがついただけで「よくやった、Apple」的な話になるあたりには苦笑。 遅すぎるって。
一方、MacBook Airが値下げになったのは嬉しいけれど、あいかわらず、メモリの最大容量が2GBなのは、個人的には×だなー。 VMware Fusionを動かす時には、これではキツイ。
Snow Leopard
Leopardからのアップグレードが$29と安くて嬉しい(ただ、日本では1 Apple Dollarがいくらになるんだろう? って疑問も)。
今使っているMacBookをSnow Leopardにアップグレードして様子を見てから、MacBook Proへの買い替えについて考えるかなー。
2009-06-10(Wed) [長年日記] この日を編集
_ [Plagger][Perl]為替取得CustomFeed Scriptをアップデート
http://github.com/poppen/plagger/blob/master/assets/plugins/CustomFeed-Script/currency.pl
こないだ書いたcurrent.plの日付処理が適当だったので、Finance::Currency::Convert::WebserviceXが返すHTTP::Responseオブジェクトを参照するように変更した。
2009-06-13(Sat) [長年日記] この日を編集
_ [日常]ひかりTVを解約した
去年の12月に送られてきて、繋げないままずっと放置していた、ひかりTVのセットボックスだが、とうとうしびれを切らしたのか、NTTぷららから「繋げなくても、9月から請求するぞゴラァ」ってなハガキが来た。
BS世界のドキュメンタリーの録画を消化するだけでも手一杯で、普通のテレビ番組なんて全然見ないので解約することにした。
hsbtさんのそろそろひかりTVについて一言言っておくかを読んでいたのでゴネられるかも、と覚悟していたんだけど、比較的スムーズに解約できた。 まぁ、多少引き止められはしたけれど。 消費者センターあたりからのお叱りがあったんかねー。
セットボックスは7月半ばに佐川急便が取りにくるとのこと。 送料がかからないのはいいけど、ずいぶん先が長くね?
2009-06-14(Sun) [長年日記] この日を編集
_ [読書感想][軍事]知られざるドイツ空軍の体当り攻撃に光を当てる──
これはスゴイ本。 今年読んだ軍事本の中でもベストなデキ。 それでいて非軍事マニアでも読めるリーダビリティをそなえた一冊だ。
ドイツ第三帝国の敗色が濃厚となった1945年。 猛威を奮っていた英米爆撃隊に対して精神的なインパクトを与える邀撃作戦がハヨ・ヘルマン空軍大佐によって具体化される。 それは日本の神風攻撃に触発された体当たり攻撃だった……。
東京新聞の現役記者がこれまで詳細が知られてこなかったエルベ特別攻撃隊とオーデル川作戦というドイツで行なわれた体当たり攻撃に、生き残った関係者の証言から光を当てている。 燃料不足から飛行訓練を積めず、座学だけで「死ぬことが前提」の作戦に出撃しなければならなかった若者たちの姿に胸が衝かれる。
本書の優れている点は四つある。
まず、冒頭に書いたようにリーダビリティに優れていること。 この手の軍事本になると、予備知識がないとまとも読めないものが多いのだが、本書は一般読者向けに平易な言葉遣いで書かれていて、とても読みやすい。 それでいて、探照灯の反映で爆撃機を邀撃した「ビルデ・ザウ」戦法という濃い話題も提供されていて、バランスの取り方が絶妙である。
次に、神風攻撃に拘泥しないこと。 ドイツが日本の神風攻撃に影響を受けたとなれば、日本人としては強調したくなるものだが、著者は距離をおいている。 体当たり攻撃は第一次世界大戦中やソ連軍によっても行なわれており、特殊なものではないという視点を貫いている。
三つめが、体当り攻撃そのものだけでなく、なぜ、それらが広く知られてこなかったのか、ドイツの戦後処理にまで踏み込んでいること。 極右に言論の自由がなく、弾圧までされるという、日本とはまったく違うドイツ社会の背後にあるものをも描き出している。
そして最後の四つめが、一時資料を提供していること。 著者は、巻末に本書の元となった関係者たちのインタビューを再録している。 読者は本文とインタビューを読み比べ、自身の考えを展開することができる。 邦書では一時資料はもちろんのこと、下手をすると参考文献まで掲載しないことがあるので、高く評価したい。
著者が取材した中には、エルベ特別攻撃隊を創設、指揮したハヨ・ヘルマンその人も含まれている。 95歳の今でも若々しい外見を保ち、ネオナチをはじめとした極右を弁護する現役の弁護士であるという彼の良くいえば強烈な、悪くいえばアクの強い個性はインタビューからも伝わってくる。 ヘルマンが英雄であったことは間違いないところだが、戦局が傾くと、彼のような英雄が周囲を巻き込み暴走していく構図を本書からも読み取ることができる。
体当たりという十死零生に限りなく近い攻撃手法を、日本は責任の所在を曖昧にすることによって、ドイツは闇に埋もれたままにすることによって、どうにか直視しないようにしてきた。 歴史的事実を掘り起こすとともに、敗戦国の戦後処理の難しさを改めて感じさせる書である。
イチオシです。
関連
本書はMURAJIさんの書評を読んで購入しました。 いつも面白い本を紹介していただき、ありがとうございます。 > MURAJIさん
また、a-parkさんの書評も大変参考になります。
未読の方は、どちらの書評もぜひ読まれることをオススメします。
_ feed meterではじめて人気度が2になった!
feed meterを使いはじめて人気度が2を超えたので記念撮影。
しげふみさんの
を参考に、2年近く前から動かしているPlaggerのfeed meter通知がはじめて役に立ったw
しかし、なんで急にランキング上がったのかなー。不思議だ。
2009-06-15(Mon) [長年日記] この日を編集
_ [読書感想]ナンシー、アリゾナに飛ぶ──
ナンシーは休暇をとるため、アリゾナ州フェニックスを訪れた。休暇の間、親友のベスとジョージとともに、彼女たちの叔父夫婦が経営するシャドー牧場に滞在するのだ。 しかし、空港にナンシーを出迎えたベスとジョージによれば、牧場では施設が壊されるといった事件や、殺されたアウロトーの幽霊馬が走り回るという幽霊騒動など、奇妙な事件が続発しているらしい。謎の男からシャドー牧場に関わるなとの警告を受けたナンシーだが、逆にシャドー牧場の秘密を解くために闘志を燃やしはじめる──。
少女探偵ナンシー・ドルーが活躍する〈ナンシー・ドルー・ミステリー〉シリーズ第五弾が本書。 これまでナンシーの住むリバーハイツ周辺が舞台だったが、本書では一転、アリゾナ州フェニックスが舞台となる。 それにともなって脇役も一新。ナンシーの助手役も友人のヘレンから代わって、ベスとジョージの二人が加わる。 なにかとトラブルに巻き込まれやすいタチらしい(笑)ナンシーの父、カーソンはもちろんのこと、ドルー家の家政婦ハンナは名前のみ登場である。
ナンシーたち三人娘が挑むのは、シャドー牧場に数々の破壊工作をしかける犯人だ。 犯人の目的は、牧場に伝わる伝説のアウトロー、ダーク・バレンタインが残したという財宝なのか……という感じなのだが、本シリーズの特徴であるスピード展開なストーリーにより、あっという間に怪しい人物が分かってしまいます。
まぁ、そこらへんは目くじら立てずに「うんうん。アメリカの子供たちはこれを読んでミステリーファンになるんだろうな」と、まったりと読んでいくのが本作の楽しみ方だろう。
犯人探し以外の本書の読みどころは、ふたつある。
ひとつはダーク・バレンタインが遺した財宝探し。財宝の背景にバレンタインと保安官の娘の悲恋も織り込み、ストーリーに彩りを添えている。
もうひとつが牧場をはじめとして、カウボーイたちやロデオ大会、激烈な砂嵐、ゴールドラッシュ後の打ち捨てられたゴーストタウンなど、アメリカ西部特有の舞台設定を大量に盛り込んでいること。 児童向けであっても(または、だからこそ)、マンネリに陥ることを避けようとする強い精神を感じさせられる。
本書の解説は翻訳家の青木純子氏。 青木氏によれば、『E・S・ガードナーへの手紙』(スーザン・カンデル:著)につづく、〈伝記作家シシー・カルーソー〉シリーズ第2弾では、ナンシー・ドルー・シリーズを制作したストラテマイヤー工房が取り上げられるとのこと。 本作の続篇ともども楽しみだ。
- キャロリン・キーン/渡辺 庸子 訳
- 東京創元社
- 735円
書評/ミステリ・サスペンス
2009-06-17(Wed) [長年日記] この日を編集
_ [iPhone]iPhoneのMMSアドレスの取得失敗
OS3.0の公開に先駆けて、一足先にMMS用の@softbank.ne.jpの取得ができるようになったとwassrで知ったので、試してみた。
iPhone でMMSのアドレス(@softbank.ne.jp)を取得/変更する方法にある通り、SoftBankモバイルのMy SoftBankにログインして、そこからさらにメール設定にログインするらしいのだが、肝心の購入時に送信されてきたはずの940001からのSMSがない!
どうやら消去してしまったらしいので、参考サイトにあった通り、157に電話して再発行手続きをしてみた……まではよかったのだが、なにをどう連絡が行き違ったのか、@i.softbank.ne.jpのパスワードがリセットされてしまった。 メールの受信ができなくなって焦ったぞ。
どうやら解禁日の明日になれば、手続きに関するMMSが送られてくるらしいので、もう明日でいいや。
ってことでふて寝。
2009-06-19(Fri) [長年日記] この日を編集
_ [iPhone]iPhoneのMMSアドレスの取得成功
前回のつづき。
157に電話したところ、SMSのパスワードの再送の代わりに、Eメールのパスワードをリセットされてしまったのだが、wassrに流れていた話によると、SoftBankのiPhoneテクニカルサポートセンターに電話すれば、スムーズに話が進むということでTEL。
OS3.0リリースの影響か、混んでいたのだが、10分ほど待って、サポートの人に「940001のパスワードを再送して欲しい」と伝えて簡単に終了。 最初からこっちに電話しておけばよかったよ!
2時間ほどして、パスワードが書かれたSMSが送られてきたので、事前にwassrで情報を入手していた通り、PCからMy SoftBankを開いて*1@softbank.ne.jpのアドレスを変更した。 目当てのアドレスが取れて満足。
で、肝心のOS3.0だけど、とりあえず1週間ほど様子見。 iPhoneがオレの持っている唯一のケータイなどで、電話かけられなくなると困るんだな、これが。
*1 iPhoneからではうまく行かないらしい。
2009-06-20(Sat) [長年日記] この日を編集
_ [読書感想]ミツバツを通して自然界の異変を描く──
これはスゴイ本。 今年の私的ノンフィクション部門の上位にランキングすること間違いなしの一冊だ。
これまでも畑で野菜をちょぼちょぼと育てていたのだが、最近、本格的にはじめた。 趣味の家庭菜園なので、どうせなら有機・無農薬栽培をしてみようと思い、いくつか本を読んでみた。 その中で改めて気付かされたことがある。
受粉しないと野菜や果実はできないのだ。
なにを当たり前のことを言われるに違いないのだが、野菜や果物がなる過程がこれまですっかり頭から抜け落ちていた。
花が受粉する際の花粉の担い手は虫たちである。 その代表格ともいえるものがミツバチだ。 これまでほとんど意識されることのなかった農業の要石というべきミツバチ。 そのミツバチが消えていっている。 本書はアメリカの状況をレポートしたものだが、日本もまた昨年から働きバチが大量死し、農業に深刻な影響が出るのではないのかと懸念されている。 決して座視できる問題ではないのだ。
アメリカで起きているミツバチの大量死は蜂群崩壊症候群(CCD)と名付けられた。 しかし、その原因は不明。 著者は最新の研究を織り込み、その原因を探っていく。 ウィルスや農薬から携帯電話の電磁波まで様々な犯人が挙げられていくが、本書ではCCDの原因を特定するまでに至らない。 だが、その過程で明らかにされるものは恐るべきものだ。
商業ベースの養蜂では抗生剤やダニ駆除剤、殺菌剤、栄養剤など、様々な薬品が使用されている。 しかし、単体で使われた場合の影響は調査されていても、それらが複合的に使用された際の悪影響は誰も調べたことがないのだ。 農業における農薬や除草剤、化学肥料も然り、である。
同時に著者は、アメリカの農業ビジネスに組込まれてしまったミツバチの悲劇も浮き彫りにする。 ミツバチたちは金の成る木であるアーモンドをはじめとする農作物を受粉させるため、トラックに乗せられ北米大陸を横断させられる。
本書から強く立ち上がってくるものは、著者が自然に対して抱く尊敬の念だ。 集団知性としてのミツバチの魅力、自然界が本来持つ復元力など、 著者が描く事象は声高な警鐘といった浅薄なものを超え、読者に迫ってくる。 本書を名著たらしめているものは、著者のこの姿勢にあるといっていいだろう。
余談だが、本書を読んでミツバチを飼いたくなった。
幸いなことに、田舎にある我が家の庭には空きスペースだけはある。 隣近所とも間が空いているので一声かけておけば、迷惑になることもなさそうだ。 そんな訳で、妻にミツバチを飼いたいと言ったところ、返ってきたのは強烈な「ダメ」のひとこと。 刺されたらどうするの、という意見らしい。 まずは妻に本書を読ませて、ミツバチの魅力を知ってもらおう必要がありそうだ。
_ [Gmail]Gmailのフィルタに「迷惑メールにしない」オプションがあった
Gmailのコンタクトに登録されていれば、SPAM扱いされないと聞いていたのだが、コンタクトに入っているにもかかわらず、どうしてもSPAMにされてしまうメールアドレスがあった。
「面倒くさいなー」と思いつつ、たまにSpamフォルダを覗いていたんだけど、 Gmail フィルターの「迷惑メールにしない」オプション « 鵺的:想空間を発見。
フィルタの設定でSPAM判定をオフにすることができるとのこと。 オレは英語環境なので、フィルタの"Never send it to Spam"にチェックを入れればOKだった。
2009-06-21(Sun) [長年日記] この日を編集
_ [読書感想]白人社会を笑いとばした架空の日本人留学生──
日本人移民への排斥運動が激化していた1900年代、アメリカの新聞や雑誌で人気のコラムがあった。 著者は白人家庭で下僕としながら働き大学に通っているという日本人留学生、ハシムラ東郷。
白人と黄人はごいっしょできるか? 答えはハイです。そういう色っぽい事があるの、私ご存知ですから。
というようなヘタクソな英語を操り、慣れぬアメリカ社会の常識に戸惑うという内容だが、その裏には白人社会を笑いとばすという批判精神があった。
しかし、どちらが苗字が分からない、日本人から見れば奇妙としかいいようのない名前から分かる通り、ハシムラ東郷は架空の人物だった。 ハシムラ東郷の作者は白人の諷刺作家ウォラス・アーウィン。
著者は、なぜアーウィンがハシムラ東郷という、今となっては忘れさられてしまったイエローフェイスの仮面をかぶるようになったのか。そして、黄禍論による日本人排斥から太平洋戦争に至る日米の緊張状態の中で、どのようにハシムラ東郷が変化していったのかを丁寧に浮き彫りにしている。
奇妙に感じられるのは、映画が制作されるまでになったハシムラ東郷のヒットを受け、20世紀初頭に日系の作者によるという触れ込みのコラムや小説がアメリカ社会で広く読まれたという事実だ。 しかし、そのすべてが日系人ではなく、アーウィンと同じく、日系人に偽装した白人や中国系アメリカ人だったという。 差別意識の複雑さが透けて見えてくる。
アーウィンによってその姿を描写されなかったハシムラ東郷は、挿絵家たちにより
- 出っ歯
- 吊り目
- メガネ
という、アメリカ人がイメージする日本人のシンボルとなるものを与えられた。
後に排日小説の代表作と呼ばれる『日ノ本』を上梓するアーウィンだが、彼は決して排日を進めようというつもりではなかった。 アーウィンが目指したものは、政治的に正しくなくとも、互いに互いを笑いあうことを可能とする世界だった。
なにかとpolitical correctnessばかりが優先する昨今だが、本当に差別を解消するためには、アーウィンの思想から学ぶべきこともあるはずだ。 そんなことを考えさせられた一冊である。
2009-06-23(Tue) [長年日記] この日を編集
_ [tDiary][GAEO][GAE][Python]Amazon API認証のPROXYをGoogle App Engine Oilで書いたよ
たださんのamazon-auth-proxy(via Amazon API認証のPROXYを書いたよ(AmazonのAPI認証導入はOSSに対する挑戦だよなぁ(4)) - ただのにっき(2009-06-19))を、Pythonの習作としてGoogle App Engine Oilで書いてみました。 http://gae-aap.appspot.com/で動かしています。Open Proxyなのでご自由にお試しください。
コードはGitHubに上げました。fork、patch等、大歓迎です。
http://github.com/poppen/gaeo-amazon-auth-proxy/tree/master
Amazon Product Advertising APIのコードは無題メモランダム: Amazon Product Advertising APIの署名認証をPythonでやってみるから流用させていただきました。
Python初心者なので、中身はあれですが、徐々にキレイにしていきたい所存です。
READMEを書きましたので、詳しくはそちらをどうぞ。
2009-06-27(Sat) [長年日記] この日を編集
_ [iPhone]iPhone 3GS発売記念! ってことで、iPhone 3GをOS3.0にアップデートした
iPhone 3GSは財政的な関係で今のところ買えないので、代わりに(?)pendingしていたiPhone 3GのOS3.0へのアップデートをした。 アップデートはだいたい30分くらいで終了。
ちょっと触てみた感想。
Good:
- コピペが便利
- 再起動が速くなった(ぽい)
- バッテリーの持ちが多少よくなった?
- Mobile Safariが劇的に速くなって、落ちにくくなった
Bad:
- Darkroom Premiumが動かない
- Spotlightが動いているせいか、ちょっと日本語入力がもたつく(しばらくすればindexが作られて速くなるという話なので、ちょっと様子見)。
Darkroom Premiumが動かないのは困りもの。 こないだ買ったばかりなのになー(105円だけど)。
iPhoneあっぷ使ってみた: iPhone3.0使ってみた - カメラアプリ検証によれば、Darkroom Premiumは
App Storeへの更新申請は却下されているとのこと。
[iPhoneあっぷ使ってみた: iPhone3.0使ってみた - カメラアプリ検証より引用]
ってことなんだけど、これってもう3.0には対応しないってことなのだろうか。 ユーザの不利益になることやってどうするの? > Apple
_ [tDiary]Amazon Product Advertising APIに渡すTimestampは適当ではいけないぽい
gaeo-amazon-auth-proxyを書いた時にテストしていて気付いたんだけど、リクエストのTimestampは適当なものではいけないみたい。
- ?AWSAccessKeyId=00000000000000000000&ItemId=0679722769&Operation=ItemLookup&ResponseGroup=ItemAttributes%2COffers%2CImages%2CReviews&Service=AWSECommerceService&Version=2009-01-06&Timestamp=2009-01-01T12%3A00%3A00Z
のような形で、適当な時刻をリクエストに含めても、400 Base Requestが返ってきてしまう。 きちんとGMTの現在時を渡さないといけない。 そんな訳で、gaeo-amazon-auth-proxy内では、Timestampがない場合には、内部で生成するようにした*1。
Timestampの意味合いを考えれば当たり前の話なんだけど、とりあえず、気付いたことということでメモ。
*1 ついでに書くと、たださんに送ったpatchもそう。
_ [読書]今週読んだ本
読書計画を立てても読む速度が遅かったり、急に読む本を買ってしまったりして計画通り進まないので、今週から実績を書くことにした。
脳はあり合わせの材料から生まれた―それでもヒトの「アタマ」がうまく機能するわけ
早川書房
¥ 1,995
英国太平記―セントアンドリューズの歌
早川書房
¥ 1,995
今週は良作揃いだった。
イチオシは厭な小説(京極 夏彦)。 タイトル通り、本当に不愉快になれること請け合いの一冊。 存分に厭な気分になってくださいw 感想はあとで書く。
2009-06-28(Sun) [長年日記] この日を編集
_ [読書感想]男たちのますらおぶりを見よ!──
時は13世紀末。 フランス征服の野望に燃えるイングランド王、エドワード1世は戦争に必要な国力を得る足がかりとして、北の隣国スコットランドを植民地化することを決意した。 スコットランドへの政治的圧力を強めるイングランドに対し、大きく国力で劣るスコットランドは、平和的な解決をはかるため、イングランドの提案を受け入れる。 しかし、それはエドワード1世が仕掛けた罠だった。 なんとかイングランドの毒牙から逃れるべく、策を巡らせるスコットランド。 しかし、それも虚しく戦端は開かれ、スコットランドはイングランドに屈服する。 征服者であるイングランド人によるスコットランド人に対する圧政が続く中、遂に反乱の狼煙が上がる……。
イングランドによるスコットランド支配のくびきを解くために奮戦したスコットランド人たちの独立戦争を描いた歴史小説が本書。
著者は英国に駐在経験を持つ元サラリーマンというだけあって、正直なところ、文章的な技巧に優れているとはいえない。 また、リーダビリティを優先したせいだろうと思われるが、「Sプロジェクト」「ゲリラ戦」といった、時代を無視した名称が登場することにも違和感を感じる。 しかし、それを補ってあまりある波瀾万丈かつ燃えるストーリーがページを捲る手を止めさせない一冊だ。
本書の舞台となる、13世紀末のイングランドやスコットランドとの戦いと聞いてもぴんとこない人もいるのではないかと思う。 しかし、メル・ギブソンが監督・主演したアカデミー賞受賞作品『ブレイブハート』の舞台だと聞けば、「あー、なるほど」と分かってくれる人も多いに違いない。
『ブレイブハート』の主人公ウィリアム・ウォレスはイングランド独立運動の指導者のひとりで、本書の主人公のひとりでもある。 本書のもうひとりの主人公はウォレス亡き後、スコットランド王として祖国を独立に導いたロバート・ブルースである。 そして、三人目の主人公が、ウォレスとブルースの宿敵であるイングランド王、エドワード1世だ。
本書の魅力はなんといっても、男たちのますらおぶりにあるだろう。 反乱軍の指導者であるウォレスとブルースはもちろんのこと、侵略軍を率いるエドワード1世もなんともカッコいいのである。
さらにその上、彼らの下で働く猛将たちもカッコいい。 個人的に気に入ったのはスコットランド軍の猛将、ジェームズ・ダグラス。 大胆な計画と果敢な攻撃で勇名を馳せ、黒髪と黒い瞳、そして敵を容赦なく殺すイメージからブラック・ダグラスと呼ばれ、イングランド人を震え上がられたと書けば、「それ、なんてアニメのヒーロー?」と言いたくなること間違いなしである。
ちなみに、勇猛なダグラスの名はのちにスコットランドで男の子のファースト・ネームとして好んで用いられるようになったそうである。 GHQ司令官のダグラス・マッカーサーもその一人。 本書にはこんな豆知識も多数入れられている。
スターリングブリッジの戦い、バノックバーンの決戦といった歴史の転換点となった戦場も詳細に語られている。 英国好き、軍記物好き、歴史小説好きの読み手には文句なしにオススメできる書だ。
なお、本書と『ブレイブハート』を(読み|見)比べてみるのも面白いのではないかと思う。 本書のエドワード1世は野心を持つ人間ではあるものの高潔な人間で、『ブレイブハート』で大悪人として描かれたエドワード1世とは大きく違っている。
ブレイブハート [DVD]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
¥ 1,890
- 小林 正典
- 早川書房
- 1995円
書評/歴史・記録(NF)
2009-06-30(Tue) [長年日記] この日を編集
_ [読書感想]孤独であっても我々は前に進まなければならない──
素数とは、1とその数以外のどんな自然数によっても割り切れない、1より大きな自然数をいう。 いってみれば、それ自身で完結した数、他とあいなれない数といっていいかもしれない。 まさに本書の主人公のたちのように。 心に傷を負った者同士、傷口を舐め合ったとしても、それはお互いを理解したことにはならない。 そんな重いテーマを突き付けてくる小説である。
著者は1982年生まれの現役物理学者。 本書でイタリア文学の最高峰である2008年度ストレーガ賞を受賞したとのこと。 ストレーガ賞とは聞き慣れない名前かもしれないが、トマージ・ディ・ランペドゥーサの『山猫』やウンベルト・エーコの『薔薇の名前』といった世界的に読まれているイタリア文学作品が受賞したと聞けば、そのスゴさが分かるだろう。 本書もイタリアを代表する世界作品になることは間違いない。
時は1991年。 心に傷を負った少年マッティアと少女アリティアが出会う。 マッティアは自分のわがままから双子の妹ミケーラを亡くした自責の念から自傷行為を繰り返し、幼少の頃の事故により片足の自由を失ったアリティアはコンプレックスから拒食症を抱えていた。 お互いの心の闇に気付き、微妙な距離感を保ったまま、寄り添い一緒に過ごし成長していく二人。 しかし、大学を卒業したマッティアに届いた一通の手紙がそんな日々を揺り動かす……。
マッティアとアリティアがほんの子供だった時から始まる本書のストーリーは、出会いと分かれを経て、二人が30代になるまで続いていく。
本書を貫くのは、人は分かり合うことはできないという虚しさにも似たものだ。
彼らの両親は心を開かない子供たちと分かり合うことを諦め、距離を置いている。 二人と心を通わせようとする友人との関係もうまくいかない。 医師や写真店店主、同僚の研究者など、マッティアとアリティアを孤独から救おうとする人物も登場するが、彼らもまたマッティアとアリティアを真の意味で理解することはできない。 マッティアとアリティアにとって、自分を分かってもらえる唯一の存在は相手しかいないのだ。 しかし、彼らは互いの心の傷に気付きつつも、それを癒すことはできない。
本書に描かれる人々の関係は、マッティアが自分を傷付けるために使うガラスの破片のように硬く冷えていて、食事を受け付けないアリティアの胃袋のように空虚だ。
読書の興を削ぐので詳しくは書かないが、本書のラストに愕然とした思いを抱く読者も多いに違いない。 それでも本書の余韻が微かな希望を感じさせるのは、たとえ孤独であっても我々は前に進まなければならないという人生の真実を示すからに他ならない。
「泣ける」というキャッチコピーに飾られた傷口を舐め合うようなラブストーリーとはまったく正反対のベクテルを持つ、しかし、真に心を揺さぶる小説がここにある。 間違いなく傑作といっていい一冊だ。
7月中旬発売予定の本書はプループで献本いただきました。 刊行前の作品一早く読むという本読み冥利に尽きる機会を与えていただいた早川書房様には、改めて感謝いたします。
追記
Amazonに書影が掲載されてので掲載。





_ 風柳 [私も昨日GAE上でプロキシ作成し…… http://furyu.tea-nifty.com/annex/2009/0..]
_ poppen [風柳さん ツッコミありがとうございます。またお返事が遅くなりまして申し訳ありません。 ご指摘いただいた403が返さ..]