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2009-03-16(Mon) [長年日記]

_ SFネタを楽しみながら最新科学まで分かってしまう一冊── サイエンス・インポッシブル―SF世界は実現可能か(ミチオ カク/Michio Kaku/斉藤 隆央)

これはスゴイ本。

ニューヨーク市立大学の理論物理学教授がSFに登場するテクノロジーの実現性を現代の最新科学から考察しているのが本書だ。

フォースフィールドやライトセーバーから超光速、永久機関、予知能力まで様々な「ありえない」テクノロジーを

  • 「不可能レベル1」:現時点では不可能だが、既知の物理法則には反していないもの。今世紀中か、来世紀中にはもしかすると実現が可能かもしれないもの。
  • 「不可能レベル2」:物理的世界に対する我々の理解の辺縁にかろうじて位置するようなもの。可能だとしても、実現するのは数千年から数百万年も先になるかもしれないもの。
  • 「不可能レベル3」:既知の物理法則に反するもの。可能となった場合、物理学の根本的な理解が変革されるようなもの。

の3つに分けて論じている。

本書の優れている点は、取り上げるテクノロジーからその周辺の話題にまで筆を伸ばしていることだ。

たとえば、星間宇宙船を扱った章では、イオンエンジンやプラズマエンジン、太陽帆、核融合ラムジェット、原子力ロケット、水爆を爆発させながら飛ぶというトンデモな核パルス推進ロケット(『降伏の儀式』の〈大天使〉ですな)といった推進機関を紹介するとともに、宇宙エレベーターやスイングバイ、ナノシップまで織り交ぜて語られている。 このような、いわば枝葉の部分で、ディラックの海、事象の地平線、タキオン、万物理論などが門外漢でも分かる平易な文章で説明されているのだから、本書のスゴさが分かるのではないかと思う。

SF者ならずとも最新科学に興味がある人はマスト読めな一冊である。強く強くオススメしたい。