ぽっぺん日記@karashi.org
2009-03-01(Sun) [長年日記] この日を編集
_ 時間管理術初心者のための読みやすく実践的な解説書──
1日を2倍に使う!すごい時間術 (DO BOOKS)(松本幸夫 著)
本書は「仕事の効率化」「タイムマネジメント」をテーマに、いかに「ゆとりのある時間」を作り出すかを解説しているものである。
最近は効率よく仕事を片付けることがブームなようだ。 書店のビジネス書棚を眺めれば、「残業しない~」「時短~」といったタイトルの本がびっしりと並んでいる。 本書もまたその類いの本なのであるが、これまで数々の自己啓発書・ビジネス書を上梓してきた著者だけあって、非常に読みやすい内容になっている。
読みやすさは目次を一目見るだけで分かるだろう。 試みに各章のタイトルを挙げてみよう。
- 目標があれば時間は上手に使える
- 時間ドロボウをなくしたら確実に1日は2倍になる
- スキマ時間を活用して勝つ
- 優先順位はこうつけよ
- スケジュール必勝の立て方
- 1日が2倍になる時間意識の高め方
- タイム・イズ・ライフ、すべては時間活用に通じる
だいたいの内容が思い浮かぶのではないだろうか。
読みやすさとともに、本書の特徴として特筆したいのが、実践的であることだ。
たとえば、目標の設定については「3日後にカミナリにうたれてしまうとしたら」と考えて行う。
また、仕事の優先順位のつけ方は、完全でなくても(80点、場合によっては7、60点)十分な仕事、他人に任せていい仕事、しなくてもいい仕事などを「見切る」ようアドバイスしている。
ただ、実践的ですぐにでも始められる内容になっている反面、それほど目新しさがなく、目から鱗が落ちる、といった感動が得られる訳ではないところは少々残念に感じられる。
著者は本書で「何のために効率化するのか」という根本的な問いを投げ掛けている。 著者によれば、ほとんどのビジネスパーソンが効率化により時間の空きができた場合、そこに新たな仕事を入れてしまうそうである。 正直なところ、働くのがそれほど好きではない、なんちゃって会社員な上、普段から読書やプログラミングの勉強する時間がもっと欲しいと思っている人間としては、あまりその心情が理解できないのだが、年間2000人以上の指導をしている著者が断言しているので事実なのだろう。
著者は効率化について「タイム・イズ・マネー」ではなく、「タイム・イズ・ライフ」と考えることを説いている。 つまり、タイムマネジメントの究極の目標は「人生を楽しむ」ことだという意味である。 なるほどと頷ける一方で、最近は余暇の使い方まで教えて貰わないといけないのかと、ちょっと変な気分にもなってしまった。
既に時間管理術を実践していて満足している人が本書を読んでもそれほど得るものはないのではないかと思われるが、時間管理術を実践していない人、または時間管理術初心者には一読の価値があるだろう。
- 松本 幸夫
- 同文館出版
- 1365円
書評/ビジネス
_ vimperatorを使っていると、Firefoxが起動時にクラッシュする問題が解決した
vimperator 2.0betaに乗り換えてからFirefoxが起動時にクラッシュするようになってしまった。
拡張を減らしてみたり、vimperatorのpluginを減らしてみたりしたけれど効果がなく、だましだまし使い続けていた。 しかし、それもMacでVimpを起動するときにかなりの確率でクラッシュする場合、:set nopreload するといいみたい - vimpがあればなんでもできるっ! - vimperatorグループの方法で見事解決。
手元の環境では、クラッシュ問題はWindowsでもMacでも起きていたのだが、どちらにも効果があった。
2009-03-02(Mon) [長年日記] この日を編集
_ できるコンサルタントになる方法──
売れるコンサルタントの「仕事の技術」 (DO BOOKS)(岡 聡)
「できるコンサルタントになる方法」と名付けたくなる一冊。
コンサルタントと聞くと、まず思い浮かぶ本が
コンサルタントの秘密―技術アドバイスの人間学(G.M.ワインバーグ/木村 泉/ジェラルド・M・ワインバーグ)だ。
問題解決という視点で非常に刺激を受けた書だ。
この本を読んで以来、コンサルタントという職業に憧れを抱いていて、いずれはコンサルタントと名乗ってみたいというのがささやかな夢のひとつだったりするのだが、まぁ、それはいいや。
『コンサルタントの秘密』が名著であることは疑いはないが、コンサルタントとして食べていくということになると、アメリカと日本におけるビジネスの土壌の違いもあり、これ一冊読めば済むという訳ではない。 そんな「コンサルタントとして食べていく」ためのノウハウを教えてくれるのが本書だ。
著者はアパレル業界からコンサルタント業界に転職したという経歴を持つ、株式会社船井総合研究所・所属の現役コンサルタントである。
本書を読んで感心したのは徹底的に実用的であろうとしていることだ。 この手の本になると、立身出世話や成功話にかなりのページ数が費されているというのがありがちだが、本書にそのようなものは皆無。 1トピック2ページというスタイルで、コンサルタントという職業の仕事の中身とノウハウを語っている。
どのような視点でクライアントの問題点を見つけ、どうクライアントと付き合っていくから、売れっ子コンサルタントになるための重要なステップである講演や執筆活動まで網羅されており、コンサルタントになりたい人や駆け出しのコンサルタントにとって多いに役立つこと間違いなしの内容である。
個人的に感心したのは、泥臭いイメージのある営業活動についても繰り返し述べられていることだ。 新規顧客開拓や既存の顧客をどう繋ぎとめるかの手法が示されているのだが、やはり、それで食べて行くというのはキレイごとで済まされることではないんですな。 ちなみに、コンサルティングファームに勤めているのと独立してコンサルタントをやるのでは、その稼ぎにも差が出ることが多く、場合によっては後者は前者の1/3になるのだとか。
ベテランの著らしく、含蓄のある言葉が散ちばめられているのも特色だ。 いくつか拾っておこう。
- 難しいことを難しく教えてはならない
- (移動中の)車中で疲れはてて寝ている人は、コンサルタントには向いていない
- どんな本にも参考なる部分が数ページは存在する
- "クライアント企業の飼い犬"になることを避ける
コンサルタントではない人間の視点から本書の感想を書くと、コンサルタント業務のミクロな部分については理解することができたのだが、マクロな部分──全体像については、まだあまり見えてこないというのが正直なところだ。 欲をいえば、もう少し掘り下げて、実際にクライアントが抱える課題について、どのようにコンサルティングを行い、どう解決したかの具体例が欲しかった。
とはいえ、コンサルタント業界を目指す、またはそこに身を置く人のみならず、問題解決を生業とする人(つまり、かなりの人が該当するということだ)は一読の価値がある書である。
- 岡 聡
- 同文館出版
- 1680円
書評/ビジネス
_ WATCHMEN届いたよ
WATCHMEN ウォッチメン(ケース付) (ShoPro Books)
小学館集英社プロダクション
¥ 3,570
マンガだけど、分厚い上に、情報量が多くて読むのに時間がかかる。 でも、すげー面白いよ。 ちょっと高いけど、激しくオススメ。
Who watches the watchmen?(誰が見張りを見張るのか?)
2009-03-03(Tue) [長年日記] この日を編集
_ 心理学に蔓延る「神話」を斬る──
オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険(鈴木 光太郎)
現代心理学には否定されているにも関わらず、何度も甦り、事実として伝えられていく迷信や誤解がある。 一般人だけの間の話であるならば、まだしも、それらの「神話」は心理学の教科書にさえ掲載されてしまっているのだ。 本書は心理学に蔓延る「神話」を鋭く斬っていき、背景にあるものを浮き彫りにする。
本書で扱われているものは、オオカミに育てられた少女やサブリミナル、イヌイットが雪を表現する単語の数、クレヴァー・ハンスといったよく知られているものから、なぜ母親は赤ちゃんを左胸に抱くのか、プラナリアの記憶遺伝といった、それほど有名ではないもの*1までに及ぶ。 取り上げられている「神話」の数々には、確信をもってとまでは言えないまでも、なんとなく信じていたものがひとつはあるのではないかと思う。
心理学という部屋の掃除をしたくなった。とにかくガラクタが多すぎる。これらをまずは処分することにしよう。
という強烈な言葉からはじまっているのにも関わらず、著者の姿勢は一般人の無知を嗤うというものではない。 丁寧にどうしてその「神話」が誤謬なのか。なぜ信じられるに至ったかを解説している。
代わりに著者が痛烈に批判するのが、心理学者とマスメディアである。 前者は原典にあたらず、孫引きを重ね、間違いを伝播していく。 後者はそれに拍車をかけ、事実として広めていく。しかも、マスメディアはいったん喧伝していたことが誤っていても、それを訂正することはまずない。
原典にあたること。噂に頼らぬこと。疑うこと。(p.216)
という著者が心理学がとるべき道として示すものは、心理学だけではなく、他の分野にも通ずる言葉だろう。 胸に刻んでおきたい。
*1 有名だったらすいません。
2009-03-04(Wed) [長年日記] この日を編集
_ 「軍事への市場原理の導入」は正しいか?──
対テロ戦争株式会社―「不安の政治」から営利をむさぼる企業(ソロモン ヒューズ/松本 剛史)
この21世紀初頭の戦争を語るにおいて欠かせない要素となったもののひとつが、民間軍事会社(Private Military Company=PMC)だ。 米英政権は、2003年にイラクとの戦端を開くにあたり、有権者の支持を失わないために最低限の正規軍のみで戦争を遂行することを決意した。 その軍事力の穴埋めをすることになったのがPMCである。 奇しくもイラクは「戦争の民営化」の一大実験場となったのである。
これまで数々の書で考察されてきたPMCであるが、本書ではそれらが金ばかりを吸い上げ、まったく役に立っていない──それどころか詐欺師や犯罪者であることを暴き出している。
警備員を戦場に供給し、敵対勢力や自国民(!)に対するプロパガンダを打つ。 刑務所を運用する。 航空機で囚人を秘密刑務所へ輸送する。 囚人を尋問する。 安全保障に関するデータベースを作り出し、国家の監視体制を強化する。 いまや軍事や情報においてPMCが関わらなくなった分野はなくなったといっていい。
しかし、その裏には、犯罪者を警備員として戦場に送り込み、囚人を拷問し、予算を超過するばかりか、最終的にはまともに機能しないシステムを売り込むPMCの姿がある。 ジャーナリストである著者は綿密な取材により、「軍事への市場原理の導入」という一見説得力がありそうな言葉の実態を浮き彫りにしていく。
民間企業同士であるならば、確実に訴訟沙汰になっている(実際に罰金を受けた例も本書では数多く取り上げられているが)PMCだが、なぜ政府はそのような問題企業と取引を続けるのか。 本書はPMCが政府との強いパイプを持つ元閣僚や政治家などを雇用し、積極的なロビー活動を展開しているという事実を描き出している。 もちろん、政府がPMCに支払う代金は税金である(幸い日本国民の血税ではないが)。
PMCについてはとかくアメリカが注目されるが、著者がイギリス人のため、英国におけるPMCにも多くのページが費されている。 実はPMCの前身がサッチャー時代のイギリスにあったということは本書で初めて知ることができた。
本書を読んで気になるのが、オバマ政権がPMCをどう扱うのかということだ。 今後の動きに注目したいと思う。
17世紀までヨーロッパにおいて行使された軍事力の中心は傭兵だった。 その後、軍事は国家が管掌するものへとなった。 しかし、21世紀に入り、それがまた民間企業の手へと移ろうとしている事実には皮肉なものを感じざるをえない。 現代の軍事を考える上で必読の一冊である。
関連する本
2009-03-07(Sat) [長年日記] この日を編集
_ VMware GuestのFreeBSD 7.1Rがサスペンドに失敗する
VMware Fusion上で動かしているFreeBSDを6.3Rから7.1Rに上げたところ、サスペンドに失敗するようになってしまった。
調べたところ、vmware-toolsの/etc/vmware-tools/suspend-vm-defaultが6.xより上を想定していないので一行パッチ。
suspend-vm-defaultには「いじるな」とか書かれているけど仕方ないよねー。 そのうち直ると思うけど。
_ Windowsからでもgithubを使えるようにした
今までWindowsからgithubにpushするのに、VMware Player上のFreeBSDから操作していたんだけど、githubを使うために、いちいちVMware Playerを起動するのも、いい加減面倒になってきたので、Windowsでもgithubを使えるようにしてみた。
msysgitを使えば、とても簡単という話を読んで、実際にやってみたら、えらく簡単にできてしまった。
これでWindowsからでもgithubを気軽にいじれる。
参考
_ githubにEFT YAMLをpush
Windowsからgithubをいじれるようになったので、今日書いたEFT YAMLをgithubにpushしておいた。
_ Amazon Cross Book CheckのeBOOKOFF検索が動かなくなっていた
とてもお世話になっているAmazon Cross Book CheckのeBOOKOFF検索が動かなくなっていたのでpatchを書いた。
eBOOKOFFの詳細検索画面の挙動がちょっとおかしい感じがするので、トップページの検索boxを使うようにしてみた。
今日初めて知ったけど、FireBugでPOSTの値が取れるんだ。 FireBugがあれば、Live HTTP Headersいらないじゃん。
2009-03-10(Tue) [長年日記] この日を編集
_ 元刑事の私立探偵とアイリッシュ・ウルフハウンドのコンビによるミステリー開幕篇──
探偵は犬を連れて (創元推理文庫)(イヴリン デイヴィッド/Evelyn David/木村 博江)
ワシントン市警の元刑事にして現私立探偵の中年男、マックことマッケンジー・サリヴァンと、彼の愛犬ウィスキーのコンビによるミステリーシリーズ開幕篇が本書。
全篇で血腥い連続殺人事件が展開されるのだが、マックとウィスキーをはじめとする個性的な登場人物(&登場犬)たちにより、なんともユーモラスな雰囲気を持つ作品となっている。
マックは保険会社からの依頼を受け、コンコーディア大学の帳簿から消えた50万ドルの行方を追っていた。 帳簿を管理していた経理部長は大学の時計塔で何者かに殺害されていた。 事件の容疑者とされたのは、経理部長の殺害直後に姿を消した経理部長補佐ダニエル(ダン)・セイヤーだった。 マックはダニエルから接触があることを予想して、葬儀社で働く彼の姉レイチェルを監視する。 しかし、そんな状況の中、第二の犠牲者が出る。 本当にダンは犯人なのか? そして、レイチェルにも魔の手が……。
ともに中年のマックとレイチェル。 片や独身の探偵、片や容疑者の無実を信じる離婚歴のある姉ということになれば、ハードボイルドな展開になるだろうと予想してしまうのだが、本作についてはそんな雰囲気は皆無。 なにしろ、主人公マックは車社会のアメリカでは考えられないことに、自前の車を持っていない。 そのため、探偵業務は葬儀社を営む親友のジェフから霊柩車や、葬儀の代金のカタに取ったタクシーやアイスクリーム販売トラック、はてはゴキブリ駆除車まで借りてこなす始末なのだ。
さらに、マックの相棒、アイリッシュ・ウルフハウンドのウィスキー(♀)も、世界一の体高を誇ると言われる犬種ならではのデカさと旺盛な食欲で、作品のユーモラスな雰囲気を盛り上げている。 犬を飼っている人間としては、もう少しウィスキーに活躍の場が見たかったというのが正直な感想なのだが、マックの愛犬家らしいウィスキーに対する愛情の深さがさりげなく描かれていることには好感が持てる。
そこに叔父であるダンを助けたいと願う、レイチェルの息子の大学生サムや、その友人で自動車工のレイ、レイチェルの葬儀社の部下でもあるキャリーの3人組のほか、マックの新人秘書JJ、レイチェルの隣人である覗き好きな老人などが個性的な面々がストーリーに絡んでくるのである。 レイチェルがジェフの会社に就職したり、ダンとレイが知り合いだったりするあたりにはご都合主義っぽさも見られるが、まぁ、それはご愛嬌。
重厚さはないものの、安心して読める良品ミステリーといえるだろう。 オススメしておきたい。
作者イヴリン・デイヴィッドは、実は二人の女性による合作のペンネームとのこと。 彼女たちはこれまで顔を合わせたこともなく、メールだけのやり取りだけで執筆活動を行なっているそうだ。
本書は本国アメリカでも好評を博し、作者のウェブサイト、evelyndavid.comによれば、第二弾は今年5月に発刊される。 作品紹介によれば、今度はジェフや彼の娘ブリジェットが犯罪に巻き込まれてしまうようだ。 その他のキャラクターたちも本作に引き続き登場するとのことで楽しみである。 なんとも辛いことに、原著を読む英語力がないので(トホホ)、邦訳が出版される日を、首を長くして待ちたい。
最後にちょっと気になったことを。
p.359のマックとグリーリーの会話の内容が少し妙な感じなのだ。 文脈からダンのアリバイのことだということは想像がつくのだが、これまで登場しなかった人物の名前が出てきて、かなり唐突な印象を受ける。 たぶん、作者がダンのその部分の証言を書き忘れたのではないかと思うのだが……。 真相はいかに?
- イヴリン・デイヴィッド
- 東京創元社
- 1176円
書評/ミステリ・サスペンス
2009-03-11(Wed) [長年日記] この日を編集
_ ミステリーとしての面白さがぐっと上がった〈名探偵オルコット〉シリーズ第二弾──
ルイザの不穏な休暇 (創元推理文庫)(アンナ マクリーン/Anna Maclean/藤村 裕美)
『若草物語』 の作者、ルイザ・メイ・オルコットが探偵役となって活躍する一風変わったミステリー〈名探偵オルコット〉シリーズ第二弾が本書。
前作から約半年後の1855年。 オルコット一家は叔父の招きで、ボストンを離れニューハンプシャー州の田舎町ウォルポールで一夏を過ごすこととなった。 しかし、静かだった町では鉄道敷設工事の中断により失業した労働者が溢れ、 住民たちの間でも民主党支持派とホイッグ党支持派の静かな対立が起き、不穏な空気に包まれていた。 そんな中、一人のオランダ移民労働者の青年が崖から転落死した状態で見つかるという事件が起きる。 事件に不審なものを感じたルイザはまたもや事件の調査に乗り出すことに……。
前作はボストンが舞台ということで、19世紀半ばの歴史背景を知ることができる作品となっていた。 本作では一転、田舎町が舞台となり、歴史小説的な面白さが薄れてしまった。 その代わりにミステリーとしての面白さがぐっと上がっている。
いつまでも姿を見せない隣家の主人、なにを考えているか分からない隣家の息子、ルイザの母アッバの叔父に憎悪を見せる商店の主人、腐敗臭が増すオルコット家の畑など数々の謎とともに、ミステリーの真髄ともいえるフーダニイットが楽しめる作品となっている。 意外な犯人の正体には「こう来たか」と驚かされた。
前作では「足で調べる」捜査を行なっていたルイザが、本作では優れた推理を見せていることも目を引く。 作家として歩みはじめたルイザの成長を表わしているようでなかなか興味深い。
なお、最後の最後に解かれる謎のオチにはちょっとニヤつかさせて貰いました。
本書につづくシリーズ第三弾は、密室での霊媒師殺人事件にルイザが挑むという内容になるとのこと。 ストーリーには有名な興業師P・T・バーナムが絡んできるということで、今から邦訳の出版が楽しみだ。
- アンナ・マクリーン
- 東京創元社
- 987円
書評/ミステリ・サスペンス
2009-03-15(Sun) [長年日記] この日を編集
_ バードウォッチャーたちの個性の活かし方がいまいちなミステリ──
ワタリガラスはやかまし屋 (創元推理文庫)(クリスティン ゴフ/Christine Goff/早川 麻百合)
鳥について何の関心もない広告デザイナーと野鳥愛好家たちが殺人事件に巻き込まれる〈バードウォッチャー・ミステリ〉シリーズ開幕篇が本書。
ニューヨークのデザイン会社で売れっ子デザイナーとして働くレイチェル。 彼女のもとに、コロラド州に住む叔母ミリアムから電話がかかってくるところからストーリーは始まる。 叔母はロッキーマウンテン国立公園に隣接する農場で猛禽類のリハビリテーション・センターを営んでいた。 中東へのバードウォッチング・ツアーで出掛けている間、レイチェルに留守番を頼みたいというのだ。 夫の浮気に端を発する離婚騒動に疲れていたレイチェルは申し出を受けることにする。 農場に着いたレイチェルは、さっそく叔母が所属する野鳥愛好会epochの例会に出席することになる。 さらには、気に進まぬまま、珍鳥を探して森に分け入ることに。 しかし、彼女が見付けたのは目当ての鳥ではなく、死体だった……。 死体が叔母と言い争いをしていたジャーナリストで、叔母自身もリハビリテーション・センターにいたハヤブサの雛たちとともに姿を消してしまうという事態を受け、レイチェルは叔母の行方と叔母にかけられた嫌疑を晴らすため、事件の渦中に飛び込んでいく。
愛鳥家たちが単にバードウォッチングだけでなく、同時に環境保護に熱心な人々であるということや、アメリカの環境保護の歴史を知ることができるという意味では、なかなか勉強になった本書だが、ミステリとして見ると少々期待はずれだったというのが正直な感想だ。
作中で書かれるコンピュータ技術がなんだかあやふやという点は、原著の発刊年(2000年)を考えれば、しかたのないところかもしれない。 タイトルに反して鳥が活躍しないことも許そう。
ただ、epochメンバーであるバードウォッチャーたちの個性が活かし切れていないというのは、ちょっと見過せない欠点だ。 その原因はメンバーの中に犯人がいるかもしれないというストーリー展開にあるだろう。 レイチェルの警戒心が先に立ってしまい、メンバーとの間に障壁を作ってしまっているのだ。 ここは、外部の人間の犯行であるということが分かっていて、メンバーが各々の特技で犯人に迫っていく、というストーリーの方が良かったのではないだろうか。
また、ミステリとして致命的なのは、犯人のホワイダニットに説得力がないことだ。 読者の興を削ぐので詳しくは書かないが、これは反則の部類だろう。
本国アメリカでは本シリーズは、既に5巻まで発刊されているとのこと。 次回作では、バードウォッチャーたちの個性が、the big year 小鳥たちと男たちの狂想曲に登場する、鳥を数えることに人生をかけた鳥キチたち並みに発揮されることを期待したい。
ザ・ビッグイヤー 世界最大のバードウォッチング競技会に挑む男と鳥の狂詩曲
アスペクト
¥ 2,415
- クリスティン・ゴフ
- 東京創元社
- 945円
書評/ミステリ・サスペンス
_ iPhoneにBB2Cをインストールした
あまり2chを読むことはなのだが、通勤途中などにふと読むたくなることもあるので、iPhone/iPod touch用の2chビュアー、BB2Cをインストールした。
これは便利すぎ。 特にオートスクロールが快適すぎる。
未読管理のことを考えると、自前サーバにrep2をインストールして使った方がいいかもしれないのだが、快適度は圧倒的にBB2Cだなぁ。
個人的には、駅探エクスプレス、WeatherNews touchと並んで、キラーアプリと呼んでいいものだと思う。
_ ほぼ一日、iPhoneだけで過ごした
PCの電源を入れなかった的な意味で(夜にはPCを起動したけど)。
結構、これで大丈夫なものだなー。 雑誌の書評を読みながら、片手でAmazon検索できたりして、PCより便利な場合もあるし。
2009-03-16(Mon) [長年日記] この日を編集
_ 今週読む予定の本
3連休があるので、ちょっと少なくなるかも。
_ SFネタを楽しみながら最新科学まで分かってしまう一冊──
サイエンス・インポッシブル―SF世界は実現可能か(ミチオ カク/Michio Kaku/斉藤 隆央)
これはスゴイ本。
ニューヨーク市立大学の理論物理学教授がSFに登場するテクノロジーの実現性を現代の最新科学から考察しているのが本書だ。
フォースフィールドやライトセーバーから超光速、永久機関、予知能力まで様々な「ありえない」テクノロジーを
- 「不可能レベル1」:現時点では不可能だが、既知の物理法則には反していないもの。今世紀中か、来世紀中にはもしかすると実現が可能かもしれないもの。
- 「不可能レベル2」:物理的世界に対する我々の理解の辺縁にかろうじて位置するようなもの。可能だとしても、実現するのは数千年から数百万年も先になるかもしれないもの。
- 「不可能レベル3」:既知の物理法則に反するもの。可能となった場合、物理学の根本的な理解が変革されるようなもの。
の3つに分けて論じている。
本書の優れている点は、取り上げるテクノロジーからその周辺の話題にまで筆を伸ばしていることだ。
たとえば、星間宇宙船を扱った章では、イオンエンジンやプラズマエンジン、太陽帆、核融合ラムジェット、原子力ロケット、水爆を爆発させながら飛ぶというトンデモな核パルス推進ロケット(『降伏の儀式』の〈大天使〉ですな)といった推進機関を紹介するとともに、宇宙エレベーターやスイングバイ、ナノシップまで織り交ぜて語られている。 このような、いわば枝葉の部分で、ディラックの海、事象の地平線、タキオン、万物理論などが門外漢でも分かる平易な文章で説明されているのだから、本書のスゴさが分かるのではないかと思う。
SF者ならずとも最新科学に興味がある人はマスト読めな一冊である。強く強くオススメしたい。
2009-03-17(Tue) [長年日記] この日を編集
_ ジャパネスク・ホラーの傑作だ──
おそろし 三島屋変調百物語事始(宮部 みゆき)
17歳のおちかは、川崎宿で旅籠を営む実家で起きたある事件をきっかけに、他人に心を閉ざした。いまは、江戸・神田三島町に叔父・伊兵衛が構える袋物屋「三島屋」に身を寄せ、黙々と働く日々を過ごしている。ある日伊兵衛は、いつも碁敵を迎える「黒白の間」におちかを呼ぶと、そこへ訪ねてくる人たちから「変わり百物語」を聞くように言いつけて出かけてしまう。そして彼らの不思議な話は、おちかの心を少しずつ、溶かし始めていく・・・。おちかを襲った事件とは? 連作長編時代小説。
[おそろし|宮部みゆきより引用]
実は宮部みゆきの熱心な読者ではない。 過去に何冊か読んだことがあるが、「巧いんだけど、文章がいまいち好みではないなー」と感じて、それから作品を手に取ったことがなかった。
そんな中、各所での評判を知って、久しぶりに読んだ宮部みゆき作品が本書だ。 読んで度肝を抜かれた。 おもしろい。 いや、題名通り、おそろしい。 読んでいて背筋が寒くなるホラーを読んだのは、本当にひさしぶりだ。
いわゆる百物語の形を取っているので、幽霊の類いは登場する。 だが、それは本書のおそろしさの主眼ではない。 真におそろしいのは人間の心である。 いくら恐怖の権化のような造形のモンスターを出そうが、残酷な描写を重ねようが、人間の心の闇ほど、こわいものはない。 作者はそれをよく理解しているのではないだろうか。
ジャパネスク・ホラーの一大傑作である。 イチオシの一冊だ。
今年に入って続編の連載が読売新聞で始まっているそうである。 単行本にまとまる日は今から楽しみだ。 それまで他の宮部みゆきの怪談作品で時を過ごそうと思う。
2009-03-19(Thu) [長年日記] この日を編集
_ places.sqliteのvacuum&reindexで、Firefoxがさくさく動くようになった
ネタ元:めも - places.sqliteはvacuumしてreindexする
MacBookのFirefoxが遅くて、ちょっと困り気味だったんだけど、SQLiteなファイルにvacuumとreindexしたら、見違えるほど速く動くなった!
考えてみると、今のFirefoxのプロファイル、FreeBSD@Latitude D610時代のものをそのまま待ってきているから、かれこれ2、3年は使いつづけているはずなので、遅くなるのもむべなるかな。
2009-03-20(Fri) 春分の日 [長年日記] この日を編集
_ PlaggerをGithubのtrunkに追随させた
PlaggerのレポジトリがGithubに変更された。
しばらくPlaggerの更新をさぼっていたのだが、いいタイミングなので、レポジトリの変更と一緒にtrunkのさきっちょにも追随。
XML::Feed 0.41以上を要求するので、最新版であるXML::Feed 0.41に入れ替えてから、Plaggerを動かしてみたところ、
Not an ARRAY reference at /usr/local/lib/perl5/site_perl/5.8.8/XML/Feed/Format/RSS.pm line 256.
ってなエラーが吐かれた。
このエラーメッセージでググってみたところ、たぶん,debian lenny に Remedie をインストールする方法 - OSのようなものを発見。
XML::Feed の不具合で,trunk から修正版(0.42)をいれる。
[たぶん,debian lenny に Remedie をインストールする方法 - OSのようなものより引用]
とのこと。 書いてある通り、trunkからXML::Feedをcheckout、インストールして解決。
2009-03-21(Sat) [長年日記] この日を編集
_ Dropboxで履歴・辞書を絶賛共有中
しばたさんの履歴マニア - HsbtDiary(2008-09-24)を読んで、zsh-historyをMacとCygwinで共有してみたところ、C-rで別のマシンで打ったワンライナーがポンと引っ張り出せて、えらく便利なので、他にも同期すると幸せなファイルをDropboxで共有してみた。
- viminfo
- vimの履歴
- .skk-jisyo
- skk.vimで使っているユーザ辞書
viminfoは共有していいのか、ちと不安なところだけど、まぁ、壊れても実害がなさそうなのでお試し中。
これでFreeBSDでもDropboxが使えれば完璧なんだけどなー。 Linuxではコンソールオンリーな環境でもDropboxを使えるらしいので、Linuxを導入するという手もあることはあるんだけど、FreeBSD野郎としてはFreeBSDで通したいところ。
_ Dropboxのアサマシ・リンク
そういえば貼ってなかったなと思い出したので、Dropboxのアサマシ・リンクを貼っておきます。
https://www.getdropbox.com/referrals/NTE1MTU5Mjk
ここ経由でDropboxに入ってくれると、オレのディスク容量が増えるそうです。 まぁ、Dropboxに興味がある人は、既にユーザになっていると思いますけど。
_ MIME::Liteを3.024に更新してみた(失敗)
trunkのさきっちょにPlaggerを更新したついでに、1年半前にアップデートして失敗して以来、試していなかったMIME::Liteの更新に再チャレンジしてみた。 現在のMIME::Liteの最新版は3.024。
結果から書くと敗退。
やっぱり、Gmailで受信しているHTMLメールのレイアウトが崩れてしまう。 オレのスキルじゃどうにもならなそうなので、MIME::Liteを3.01に戻すという消極的なことをやってお茶を濁した。とほほ。
今度、MIME::Liteのソースを読んでみる。
_ 往年のパトレイバー・オタには楽しい一冊。ただし、ちょっとムリも見える──
機動警察パトレイバーザ・レイバー・インダストリー―レイバー開発全史 (Gakken Mook アナザー・センチュリー・クロニクル Vol.)
『ガンダム一年戦争全史』
の次はパトレイバーかー。30すぎのオタク世代を狙ってきているなー。 > 学研
ということで、まんまとその作戦に乗せられたオレガイル。
内容はといえば、レイバーの技術史を中心に、パトレイバーの世界観やレイバーが関わった事件などを真面目に考察している。
ソ連が崩壊していなかったり、現実よりも温暖化が進んでいたりとパラレルワールド的にもなかなか面白かったのだが、OVA版、TV版、劇場版、それにコミックをひとつにまとめるのはムリがありすぎたのではないかというのが正直なところ。 だって、クーデター未遂を4年間に2回、軍用レイバーの暴走事故も2回起こしているんだよ。 > 陸上自衛隊。不祥事が多すぎるよw
TV版に登場したビーム兵器を搭載したレイバー〈ファントム〉もちょっと世界観に合わない気がするなー。
ちょっと文句もあるが、往年のパトレイバーファンは買って損のない一冊ではないかと思う。
2009-03-22(Sun) [長年日記] この日を編集
_ 墓参り
連休も最終日ということで、夫婦二人でオレの方の墓参りに行ってきた。
墓参りは強風で傘が壊れるというアクシデントがありつつも、昼くらいに無事に終了。
昼は新宿で食べるかということになり、小田急デパートのレストラン街に行ったのだが、時間が時間なのでえらく混んでいる上に値段も高い。 そんな訳で、前々から行きたいなーと思いつつ、古いビルの5階という立地条件に尻込みしていたインド料理ジンナー・新宿店に行ってみることにした。
古いエレベータ+降りた途端に怪しげな電飾がお出迎えというあたりで、ちょっとビビったのだが、店内に入ったところ、他のお客さんもいて一安心。 シェフ兼ウェイターのおっちゃんもフレンドリーな人でした。
オレはキーマカレー、妻はほうれんそうのカレーを頼んだのだが、どちらもとてもおいしかった。 特に辛いもの好きとしては、キーマカレーの刺激的な味が良かった。 ナンもデカいので全部食べると、もう腹一杯。 外食すると、いつも全部食べないで、オレに分けてくれる妻が、カレーをペロリと食べてしまったのには驚かされた(さすがにナンは残していたけど)。 会社の近所なので、また平日のランチタイムに行ってみようと思う。
そういえば、カレーの写真撮るの忘れたな。 まぁ、いいや。
食後はデパ地下で買い物して帰宅。 墓参りもできたし、新しい店も開拓できたので満足な一日だった。
2009-03-23(Mon) [長年日記] この日を編集
_ 伊藤計劃氏逝去
なんてこった。あんなに才能のある人が。本当に残念だ。
伊藤計劃さんとは一度だけtwitterでやりとりしたことがあって、SFマガジンに掲載された「From the Nothing, with Love」の感想をお伝えした。できれば、もっと話してみたかった……。
合掌。
_ 今週読む予定の本
METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS
角川グループパブリッシング
¥ 1,680
申し訳ないことに、ずっと積ん読になっていた。しみじみと読もう。
サイボーグ・フィロソフィー――『攻殻機動隊』『スカイ・クロラ』をめぐって
エヌティティ出版
¥ 2,835
これは先週からの積み残し。
駆け出し魔法使いと海の呪文 (創元推理文庫)
東京創元社
¥ 1,050
ケルベロス東京市街戦首都警特機隊全記録 (Gakken Mook)
学習研究社
¥ 2,100
パラパラと読んだけど、これは力作。ケルベロスサーガを知っている人には無条件にオススメですよ。
2009-03-24(Tue) [長年日記] この日を編集
_ 超映画批評のEFT yamlを書いた
最近、Githubが楽しくてちょこちょこEFTを書いてはpushしている。
で、今日書いたのは★前田有一の超映画批評★のEFT yaml。 久しぶりに「これは他の人も使うんじゃね?」と思ったのでお知らせしてみる次第。
http://github.com/poppen/plagger/blob/master/assets/plugins/Filter-EntryFulltext/movie_maeda-y.yaml
_ SFマインドが感じられる傑作ファンタジー第2弾──
駆け出し魔法使いと海の呪文 (創元推理文庫)(ダイアン デュエイン/Diane Duane/田村 美佐子)
いじめっ子から追われて逃げ込んだ図書館で出会った魔法の指南書により駆け出しの魔法使いとなった13歳の少女ニータと、同じく骨董市の古本コーナーで指南書を手に入れ新米魔法使いとなった12歳の少年キットが活躍する〈駆け出し魔法使い〉シリーズの第2弾が本書。
実は第1弾も本が好き!で献本募集がされたのだが、「〈ハリー・ポッター〉の次に読む本」というキャッチコピーに、ハリポタ・ブームになんとなく反発を覚えていたこともあって、スルーしてしまった。 しかし、献本を受けたみなさんの書評は、思いの外、好意的なものが多く「献本申し込みするんだったなー」と臍を噛んだのだが、後の祭り。 第2弾である今回の献本募集は見逃さず、自腹で手に入れた前作と一緒に読了した次第。
闇のマンハッタンでの試練から2ヶ月。 見習い魔法使いとして歩みはじめたニータとキットは、ニータの家族とともに海辺のリゾートでの夏休みを楽しんでいた。 そんなある日、二人はサメに襲われていたクジラを救う。 なんと、そのクジラは二人と同じく魔法使いだった。 クジラから海で起こっている危機を知らされた二人は要請に応え、海に平和をもたらすための儀式〈十二の君の歌〉に参加することを承諾する。 儀式を軽く考えていた二人だが、それが大きな間違いであることを知ることになる……。
ニータとキットは子供であるにもかかわらず、何百万もの命がかかった重大な責任を任されることになる。 しかし、苦悩する彼らを導くはずの〈上級魔法使い〉といった大人たちも彼らを助けることはできない。 なぜなら、魔法使いは若ければ若いほど魔力が強く、大人になれるにつれ魔力を失い、代わりに賢さを得るからだ。 頼れるのは自分たちのみという状況の中で、二人は厳しい決断を迫られることになる。
ファンタジーであっても、人生の厳しさを教えてくれる本書は、子供だけでなく大人の読み手にも応えられる傑作といっていいだろう。
SF者として、前作も含めた本シリーズで注目したいのは、ファンタジーでありながら根底に流れているSFマインドだ。 たとえば、前作では意思を持つホワイトホール(ブラックホールの反対のあれである)が魔法で召喚された。 また、本作でもニータの両親をある場所へ連れていくために魔法が使われることになる。 どんな場所かは読んでからのお楽しみだが、作者ダイアン・デュエインのSFマインドは感じられるのではないかと思う。 これはデュエインが〈スタートレック〉シリーズの作家であることと無縁ではないだろう。
一方、本作の特徴として挙げておきたいのは、前作ではほとんど出番のなかったニータの家族がストーリーに大きく絡んでくることだ。 特にニータの妹のデリーンが大きな役割を果たす。
そのデリーンだが、次回作ではなんと魔法使いデビューをしてしまうとのこと。 さらに舞台が宇宙になってしまうということだから、SF者としてはさらにSF度がアップした展開を俄然期待してしまう。
最後に、蛇足だが、ちょっと引っ掛かったことを書いておきたい。
本書では鯨を脅かす存在のひとつとして人間による捕鯨が取り上げられている。 捕鯨についてはとかく非難の対象となる日本だが、デュエインもまたそう思っていたようだ(少なくとも執筆当時は)。 私も「捕鯨は絶対に続行しなければならない」とは思っていないが、ニータに「なんでも胃袋に収めてしまう日本人」なんてことを言われると、なんとも複雑な気分になってしまう。
だが、同時にそこにアメリカ人特有の視野の狭さも感じる。 『牛の魔法使いでも出して「なんでオレたちを食べるんだ」って訊かせればいいのに』なんて意地の悪いことも考えてしまった。 まぁ、そんなことをこちらが言っても、例の家畜とクジラは違うという論法を持ち出すんだろうけど。
- Diane Duane、田村 美佐子 訳
- 東京創元社
- 1050円
書評/SF&ファンタジー
2009-03-26(Thu) [長年日記] この日を編集
_ ふぐ刺し&てっちりをご馳走してもらった
昨日引いてしまった風邪で、本調子ではなかったのだけれども、お客さんから食事に誘っていただいたので、飲み。
- ふぐ刺し
- てっちり
という今まで食べたことがない料理に、ビールと日本酒飲み放題という、「え? オレがこんなに奢ってもらっていいの?」って感じの凄い席だった。
風邪引いていたにも関わらず、ビールと日本酒をちゃんぽんで飲んでしまったのだが、ふぐで栄養をつけたせいか、帰りには風邪もかなり良くなっていた感じ。:-)
ちなみに帰りは、自宅までタクシーでした(これも奢り)。 接待される人ってこんな感じなんだろうかねー?
2009-03-28(Sat) [長年日記] この日を編集
_ 給湯器が寿命ぽい
先月調子が悪くなった石油給湯器だが、復活してここのところ、順調に動いていた。 しかし、昨日になってまたエラーを吐いて止まるようになってしまったので、もう寿命だろうと判断して交換することに決定。
給湯器の種類は次の三つがあって、オレの調べた範囲のメリット・デメリットはこんな感じ。
- 電気(エコキュート)
- メリット:ランニングコストが安い。
- デメリット:導入費が高い。寿命が10年程度。
- ガス
- メリット:都市ガスならばランニングコストが安い。導入費が安い。寿命が長め。
- デメリット:プロパンガスはランニングコストがバカ高い。
- 石油
- メリット:ランニングコストが電気・都市ガスよりも高いが、プロパンガスよりは安い。
- デメリット:導入費がちょっと高め。原油価格の影響をモロに受ける。寿命が10年程度。
導入費はあまり出せないし、ランニングコストが高いのも困るし、という消去法で、前回考えた通り、石油給湯器にすることにした(ちなみに、うちはプロパンガス)。
知り合いの施工業者に相談したところ、うちに入っているプロパンガス業者を紹介されたので、「プロパンガスじゃ、ガス給湯器勧めてくるだろうな」と思いつつも、石油とガスの二種類の見積りを取った。
ガス給湯器はネットで調べたより安いが、石油給湯器はネットで調べたもの+2~3万くらい。 とりあえず、石油給湯器をまけられないか聞いてみたが、そっちのメーカーとあまり取り引きがないのでムリとのこと。 まぁ、そうだろうなぁ。
ケチケチ星人としてはネットで調べた業者からも合い見積もりを取りたいところなのだが、
- 結構、緊急性が高い。
- 土曜日なのに対応してくれて、仮のガス給湯器も付けてくれた。
という点からプロパンガス業者に石油給湯器を発注することにした。*1
今回参考にしたところ
*1 実を言うと、最初は他業者に合い見積もりを取るつもりだったのだが、妻に押し切られた。どうも彼女にはこういう情緒的なところがある。まぁ、それが良いところでもある訳だけども。
_ 10年後の給湯器
石油給湯器の寿命はだいたい10年くらいという話なんだけども、今度の給湯器が壊れる頃には、たぶん、石油給湯器という存在自体がなくなっていて、電気給湯器の導入費がめちゃくちゃ安くなって、電気もクリーンな発電で生み出され、家庭用燃料電池で電気料金の安い夜中に蓄電されているという感じになっているんじゃないだろうか。
ちょうど、フリードマンの『グリーン革命』を読んでいるので、そんなことを思った。
_ technobahn.comのEFTをアップデートしてみた
以前、emasakaさんに書いていただいたtechnobahn.comのEFTがしばらく前から動かなくなっていたので、動くようにアップデートしてみた。
http://github.com/poppen/plagger/blob/master/assets/plugins/Filter-EntryFullText/technobahn_com.pl
写真についてはどうやらreferrerを見ているようなので、一工夫必要。 P::P::P::Gmailならば、FindEnclosureで取ってきてメールに添付しちゃうとかかなー。 試していないので分からないけれど。
2009-03-29(Sun) [長年日記] この日を編集
_ 午後から近所の飲み会
今の住処は田舎なので、たまに近所の親睦会めいた飲み会があったりする。
今時の若い人はこういうの敬遠するんだろうけれど、オレはなぜか結構好きだったり。 まぁ、近所で気心が知れている人たちばかりな上に、オレの精神年齢が実年齢より10歳はオッサンなせいだろうね。
ってことで、今日は15時という中途半端な時間から18時くらいまで飲んだ。 話も楽しくて注がれるままに飲んでいたら、4時間弱くらいしか寝ていないことも手伝って、最後には船を漕いでましたよ。
帰宅した後は、適当に晩飯を食べたことと風呂には入ったことを除いて、ずっと寝てた。
2009-03-30(Mon) [長年日記] この日を編集
_ これからの環境問題と経済を考える上での必読書──『グリーン革命』(トーマス・フリードマン著/伏見 威蕃訳)
日本経済新聞出版社様より本が好き!経由で献本御礼。
『フラット化する世界』で、インターネットを中心とする情報革命により世界の貧困層がミドルクラスへと引き上げられていることを説いた著者が、「フラット化」のその先にある環境問題を浮き彫りにするとともに、その解決策を提言しているものが本書。
本書上巻のオビによれば、本書を読んだオバマ米大統領は
「21世紀を制するのは、グリーン・テクノロジーとグリーン・エネルギーで主導権を握った国である」
と言ったそうだが、その言葉を裏付けるかのように、オバマ大統領は経済危機を乗り越えるために、温暖化防止ビジネスへの積極的な投資を掲げた「グリーン・ニューディール」政策を打ち出し、ポスト京都議定書でも積極的にイニシアティブを握っていくことを表明している。 まさに、オバマ政権のネタ元といっても過言ではない本である。
著者は
- エネルギーや天然資源への需要の増大
- 産油国と石油独裁者への莫大な富の集中
- 地球温暖化を中心とした破壊的な天変地異(著者は温暖化という表現ではなまぬるいいので「地球惑乱」と呼ぶべきだとしている)
- 電力を持つものと持たざるものを二分するエネルギー貧困
- 動植物を絶滅に追いやる環境破壊
という五つの地球を脅かす環境問題を描き出すとともに、地球を救うための施策「コード・グリーン」を提言している。
著者のいうコード・グリーンで目を引くのは、環境問題対策をビジネスチャンスとしているところだ。 これまで環境保護といえば、とかくボランティアベースの反資本主義的なものが多かったように思うが、コード・グリーンはそのような動きとは正反対だ。 環境を守りながら経済的成長を目指すという指標は、非常に現実的なアプローチといえるだろう。
ただ、著者の主張はいちいちもっともなものなのだが、どうしても引っかかりを覚えるのは、取り上げられている環境問題のかなりの部分が、著者が「環境問題対策によって世界をリードしていく国」とするアメリカによって引き起こされたものだからだ。
最近になって中国によって抜かれるまで温室効果ガスの最大排出国(それも断トツの一位)だったのはアメリカだ。 京都議定書より離脱し、その効力をいちじるしく減じたのもアメリカ。 世界中に物や文化を売り捌くことによって、大量消費を是とするライフスタイルを拡散させたのもアメリカ。 サウジアラビアに原油取引を通じて多額の資金を渡し、テロリストを支援し、女性を抑圧する独裁政権を支えているのもアメリカである。
さらに書けば、間違った情報でイラク戦争を始めたばかりか、その後の占領政策に失敗し、凄まじい数の無辜のイラク国民が命を落とす原因をつくったのもアメリカ。 めちゃくちゃな金融政策によって金融危機を招き、世界を恐慌に叩き込んだのもアメリカだ。
そんな訳で本書を読んでいて鼻白む箇所は多々あるのだが、それでもアメリカの底力を感じるのは、かの国が持つ自浄作用だ。 国民は、環境問題にはまったく目を向けなかったブッシュ大統領のあとに、環境問題を重視するオバマ大統領を選んだ。 本書の下巻後半で語られているように、石油産業などの抵抗勢力の力は依然根強いが、これまで燃費規制に強硬に反対してきた自動車産業がビッグスリーの衰退によって崩れたことにより、オバマ政権がグリーン政策を進める障壁はぐっと低くなったといえるだろう。
アメリカ国民の気運は環境重視に傾いている。 最近のニュースでは、なんとカリフォルニアでは冷却効率の落ちる黒塗りの車が禁止されそうだという。 もし、規制法案が州議会を通過すれば、他州にも波及することは必至のようだ。
著者は本書の中で日本を環境重視先進国として持ち上げている。 日本人としては嬉しくない訳ではないのだが、勘違いというか、美しい誤解があるように感じるのが正直なところだ。 著者は日本の高いガソリン価格について次のように書いている。
税制と価格統制によって、日本の現在のガソリン価格……市場に先導されているアメリカの倍に及ぶ。政府はその税収を、太陽光のような再生可能エネルギーで日本が主導的な立場を得られるよう利用している。(下巻:p.128)
そうであれば、どんなに良かったことか。実際にはガソリンの税収の大部分が道路に遣われていることはご存じの通りである。 つい先日には、経済危機を脱する政策として、CO2排出削減に逆行するかのような「1000円高速道路」がはじめられた。 本気を出したアメリカに、リードしているはずの日本が追い付かれてしまうのも、あっという間ではないのかという危惧を覚える。 為政者も日本国民もそれを真剣に考える時が来ている。
原著の出版後に起きたリーマン・ショックに端を発する世界同時不況は、本書で語られている様々な動きにも確実に影響を受けているはずだ。 それが良いか悪いかは不明だが、これだけは胸に刻んでおきたい。 環境問題のツケを払うことになるのは我々ではない。 我々の子どもたちであり、その孫たちなのだ。
これからの環境問題と経済を考える上での必読書である。
- トーマス・フリードマン/伏見 威蕃 訳
- 日本経済新聞出版社
- 1995円
書評/社会・政治









まで頂ければ幸いです。
マタタビ潔子の猫魂(ねこだま) (ダ・ヴィンチブックス)(朱野帰子)
殺す者と殺される者 (創元推理文庫)(ヘレン・マクロイ/務台 夏子)
Xに対する逮捕状 (創元推理文庫)(フィリップ・マクドナルド/真野 明裕)
一角獣の殺人 (創元推理文庫)(カーター・ディクスン/田中 潤司)
ジャンピング・ジェニイ (創元推理文庫)(アントニイ・バークリー/狩野 一郎)
_ mattn [右のナビゲータも入ってしまうので /html/body//table//table/tbody/tr[1]/td[1..]
_ poppen [ツッコミどうも。 やっぱり、正確を期すなら、そういうXPathになりますよね。私もそう思ったんですが、手元の環境で..]