ぽっぺん日記@karashi.org
2009-02-07(Sat) [長年日記]
_ 山本弘がこれまで貫いてきた姿勢を再確認できる一冊──
詩羽のいる街(山本 弘)
金や住居を持たず、賀来野市に住むそれまで繋がりのなかった人と人を結びつけて幸せをもたらすことを「天職」としている女性、詩羽を軸とした連作集。
作者初のノンSFという謳い文句なのだが、詩羽はホーガンの『黎明の星』に登場するクロニア人並みに、現実的とは言えないキャラクターなので、そういう意味ではSFといえるかもしれない。
以前、作者のエッセイ集、宇宙はくりまんじゅうで滅びるか?
の読書感想に
純粋すぎるとも言える著者の正義感には違和感を覚えなくもなかった。
と書いたが、本書はテーマがテーマだけに、山本弘の持つ青臭い正義感が全開である。 そのため、1話、2話を読み終えたところで「言っていることは正論なんだけど、ちょっとなぁ……」と少々辟易してしまう。 もちろん、感動を覚える人もいると思うし、私自身も多少心を動かされたことは否定しないが、やはり、年をとってスレてしまうと真正面な正論には素直に頷けなくなるんですな。
しかし、さすがはベテラン、山本弘。 単に正義を振りかざるのではなく、第3話、最終話である第4話では、その青臭さを逆手にとったストーリーを展開がされていて「うむむ。こう来たか」と感心させられる。
全篇に渡ってアニメネタを中心とするオタク・カルチャーが前面に押し出されている点(最終話はなんと、人気アニメの「聖地」である賀来野市をあげた一大イベントが舞台!)はちょっと違和感を覚えなくもないが、オタク・カルチャーへのこだわりこそが山本弘の魅力のひとつでもある。
従来の作品とは一見毛色は違うように見えるが、山本弘がこれまで貫いてきた姿勢を再確認できる一冊だ。
最後に、巻末の参考文献では、作中で使われたアニメやラノベ、マンガ、ボードゲームなど、元ネタがきちんと示されていて好感が持てたことを特筆しておきたい。
_ 読む本がどんどん溜まっている
最近、仕事が少々忙しいこともあって、読書スピードが落ち気味なのだが、それに反してバカスカ本を入手してしまって、ちとオーバーフローになりかけ。
まぁ、仕事は片付けないと、にっちもさっちもいかないけれど、本は積ん読にしておけばいいんだけどね(ぉ。
ちなみに今読んでいる本は、こんな感じ。
十の罪業 BLACK (創元推理文庫)
東京創元社
¥ 1,680



まで頂ければ幸いです。
マタタビ潔子の猫魂(ねこだま) (ダ・ヴィンチブックス)(朱野帰子)
殺す者と殺される者 (創元推理文庫)(ヘレン・マクロイ/務台 夏子)
Xに対する逮捕状 (創元推理文庫)(フィリップ・マクドナルド/真野 明裕)
一角獣の殺人 (創元推理文庫)(カーター・ディクスン/田中 潤司)
ジャンピング・ジェニイ (創元推理文庫)(アントニイ・バークリー/狩野 一郎)