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2009-01-15(Thu) [長年日記]
_ [読書感想]オカルト探偵サイモン・アーク登場──
短篇ミステリの名手で、惜しくも去年逝去したエドワード・D・ホック。 彼が生み出した〈オカルト探偵サイモン・アーク〉シリーズの日本独自編纂の連作集・第1弾が本書。
恥ずかしながら、実は本書で著者ホックとサイモン・アークを初めて知ったのだが、オカルトとミステリーがうまく融合していて非常に面白く読めた一冊だ。 自称2000歳で、コプト教の僧侶という過去を持ち、悪魔や超常現象を追い世界中を旅しているというサイモン・アーク。 遭遇する怪事件の数々を、アークは論理をもって鮮やかに解決する。 諸星大二郎の〈妖怪ハンター〉シリーズを思わせるオカルト・テイストに、京極夏彦の〈妖怪〉シリーズの解決シーンが付く、と書けば、少々大袈裟だろうか。
アメリカの西部の片田舎の村で73人の村人全員が崖から飛び降り集団自殺した。 事件現場に駆け付けた新聞記者の「わたし」の前に現れたのは謎の男サイモン・アークだった──。 サイモン・アークの初登場作品にして、ホックのデビュー作である「死者の村」をはじめとする本書の収録作10篇は、ホックが自薦したというだけあって、どれもなかなかのクオリティをほこる。 個人的なベスト3を挙げておくと、
- アークが狼男を射殺したという知事候補の事件を捜査する「狼男を撃った男」
- アークが現代の新興宗教に挑む「奇蹟の教祖」
- アークが、第二次世界大戦終結の年に砂漠に墜落した四発爆撃機の行方を探すことを合衆国政府より依頼される「魔術師の日」(魔術師のエピソードが少々蛇足だった気がして惜しい!)
という感じである。
収録作は1950年代~2000年代に書かれた幅広い時代から選ばれていて、登場人物の変遷がおえてなかなか楽しい。 語り手である「わたし」は当初、新聞記者だったが、事件で知り合った女性と結婚、その後、出版社の編集者に転身、2000年代には出版社も引退している。 一方で、サイモン・アークはいつまで経っても、若々しい70代という外見のままなのだ。
本書の編纂には作者ホックの多大な協力があったということである。 ホック亡き今、第2弾の編集には大変な作業が予想されるとのことであるが、刊行される日を首を長くして待ちたい。
- エドワード・D・ホック/木村 二郎
- 東京創元社
- 1029円
書評/ミステリ・サスペンス

