ぽっぺん日記@karashi.org
2008-12-26(Fri) [長年日記]
_ [読書感想]書店ミステリーの次は、出版社営業ミステリーだ!──
『成風堂書店事件メモ』シリーズで書店ミステリーという新境地を開拓した著者が新たに綴った、出版社の新人営業マンを主人公に据えた連作集。
主人公が営業活動で遭遇したちょっとした謎を解く、と書けば「またか」という声も聞かれそうだが、出版社の営業マンという独特の世界がきっちり描かれていて読ませる。 本の雑誌社・営業の杉江氏のblog、帰ってきた炎の営業日誌と一緒に読むと、さらに楽しめるはず。
収録作の中では、絵本に力を入れていた書店の閉店を軸にした「絵本の神さま」が個人的ベスト。 子供の頃に通っていた実家近くの児童書専門書店を思い出してしまった。 絵本ではないが、『大どろぼうホッツェンプロッツ』シリーズも、エンデの『モモ』も、その書店で紹介してもらった。 あの店は、まだあるのだろうか。
ラストに収録された書き下ろし作品「ときめきのポップスター」は、大崎作品を読んできた読者へのちょっとしたオマケがあるのが嬉しいところ。
良い本というものが読者に渡るには、作者や編集者や書店員だけでなく、膨大な数の人々の手を経ているという当たり前であるが忘れがちなことを再確認させてくれる一冊だ。 どうやらシリーズ化されるらしいので続篇を楽しみに待ちたい。
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