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2008-12-21(Sun) [長年日記]
_ [読書感想]静かではあるが人生を歩みつづける前向きな力──
しみじみと上手いなーと感じさせる短篇集だ。
個人的には初めて読んだ山本史緒の著作である。
少女と祖父のまるで長年連れ添った夫婦のような濃密ではあるがさらりとした生き方を描いた表題作「アカペラ」や、二人で生きる病弱な弟とオールドミスの姉の人生の転機を綴った「ネロリ」もいいが、父親の死をきっかけに東京から20年ぶりに生まれ故郷の千葉県の地方都市へ帰郷した38歳の男の物語「ソリチュード」がとてもいい。
主人公の中年男は、東京の生活では優柔不断の烙印を押され、故郷でもまた同じことを実感させられる。 いってみれば典型的なダメ男なのであるが、それを嗤う気にはなれない。 歳を取ってくると、物事を決定することに付随する責任の重さというものを嫌でも知ることになる。 男の優柔不断さを身につまされる男性読者も多いのではないだろうか。
男が故郷を飛び出す原因となった従妹にして元恋人やその娘との交流を通して、男は徐々に前に歩き出す気力を取り戻していく。 ラストは少し物悲しくも爽やかだ。
本作だけではない。 どの作品にも、静かではあるが人生を歩みつづける前向きな力がこもっている。 オススメできる一冊だ。
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