ぽっぺん日記@karashi.org
2008-12-20(Sat) [長年日記]
_ [読書感想]アメリカの8年間の愚行を再確認する──
執筆活動の他、ラジオ、ブログ、Podcastなどで活躍するアメリカ在住の映画評論家である著者によるエッセイ集が本書。
暴走する宗教、デタラメな戦争、バブル経済と格差社会、腐った政治、ウソだらけのメディアなど、ブッシュ(子)が政権を担った8年間にアメリカが犯した数々の失策を舌鋒鋭く暴いている。
初出が雑誌掲載のコラムというものが多いためか、少々深みに欠けるきらいもなきにしもあらずだが、著者が映画評論で見せる切れ味の鋭いツッコミは健在だ。 たとえば、中絶に反対するキリスト原理主義者たちが進化論を否定する人々と同じ人間であることを挙げ、魚から哺乳類へと変わっていく胎児の姿を彼らはどう解釈するのかと問い掛ける。
2004年の大統領選では、アメリカの国営年金制度の破綻は焦点にならなかった。 自分たちの将来に直結している問題なのにも関わらず、である。 なぜなら、アメリカ人の大半はニュース番組を見ず、新聞も読まず、インターネットでニュース・サイトをチェックすることさえしないからだ。 著者は「無知こそ善」というキリスト教原理主義の考えが国民の根幹にあるためだと喝破する。
本書を読んで感じるのは、著者は決して嫌米ではないということだ。 逆に、アメリカ・ドリームというものに心の底から憧れ、今でもそれは実現可能ではないだろうかと心の片隅で思っているのではないだろうか。 アメリカが好きだからこそ、その愚行に我慢がならないのだ。
来年1月20日に、疲弊にあえぐアメリカの復活を託されたオバマ新大統領が就任する。 その前に、本書でこの8年間の愚行がどのようなものであったのかを再確認してみてはいかがだろうか。
最後に、ちょっと気になったことを。 タイトルの「アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」というネタ元が本書の中に見当たらないのだが、これって単なるメタファーなのだろうか?

>ネタ元が本書の中に見当たらないのだが<br>TBSラジオストリームや映画ネタPodcastでは「○○という調査によると半分のアメリカ人はニューヨークの場所を知らないという結果が出た。それって…」みたいな話の枕として使っていた記憶があるので、書籍タイトルに採用するだけ採用して、ネタばらしを書くのを忘れている説
ツッコミありがとうございます。なるほど。映画特電では聴いた記憶がないので、ストリームかもしれませんね。ストリームのPodcastもTBSから削除されてしまったので、もう確認できませんが……。