ぽっぺん日記@karashi.org
2008-11-30(Sun) [長年日記]
_ [読書感想]本村洋さんの闘いの真実──
本書を読んで、光市母子殺害事件の遺族、本村洋さんの誕生日が私と4ヶ月しか違わないことを知った。 同年齢といっていいだろう。
以前から、本村さんがほぼ同年代ということは意識していた。 本村さんをテレビで見る度に、自分と年齢がほとんど違わないはずのこの人は、なぜ、これほどまでに毅然とした態度でいられるのだろうか、と考えていた。 もし、自分が彼と同じような状況に置かれれば、十中八九、泣き喚き、犯人をこの手で殺すと何度も叫ぶに違いないはずだ、と。
本村さんはそうではなかった。 冷静に自分の考えを述べて、犯人の少年が死刑にならなければならない理由も論理に従って主張した。 自分はこう振舞えない、 よほど芯がしっかりした人なんだろう──そう思っていた。
しかし、それがあくまでも表面的な見方にすぎないことを本書は教えてくれる。
もちろん、本村さんが芯の一本通った人であることは間違いない。 そうでなければ、この長い長い年月を闘えなかっただろう。
だが、同時に、彼は失った妻子を想い慟哭し、彼女たちを救えなかったことに罪悪感を覚え、一時は絶望感に負けそうになり自殺を考えた、一人の男でもあったのだ。
9年間に渡り、本村さんを見つめつづけた著者が浮き彫りにするのは、そんな本村さんの真の姿と、彼が絶望の淵から這い上がるのに手を貸した人々である。 それは彼の両親や亡くなった妻・弥生さんの母はもちろんのこと、会社の上司、酒鬼薔薇事件の遺族である土師氏をはじめとする犯罪被害者の人々、はては事件発生当時、彼を厳しく取調べた刑事にまで及ぶ。
辞表を提出した本村さんに上司が告げた言葉が強く印象に残る。
君は特別な経験をした。社会に対して訴えたいこともあるだろう。でも、君は社会人として発言していってくれ。労働も納税もしない人間が社会に訴えても、それはただの負け犬の遠吠えだ。君は、社会人たりなさい(p.92)
この言葉を受けて、本村さんは一社会人として裁判に臨む覚悟を決めた。
広島高裁での差し戻し審の意見陳述で本村さんが述べた老子の言葉
天網恢々疎にして漏らさず(p.218)
「天の張る網は、広くて一見目が粗いようだが、悪人を網の目から漏らすことはない」(p.218)という意味のこの言葉を本村さんに教えたのは、犯人である少年に刑事裁判で裁くために努力した前述の刑事だった。
本村さんと犯罪被害者の人々が立ち上げた「全国犯罪被害者の会(あすの会)」は、これまで犯罪被害者に目を向けてこなかった日本の司法をも動かしていく。
本書を読んで強く感じるのは、なぜ、幸せな一家がこのような悲劇にあわなけれないけなかったのか、という疑問である。 本書でも参考文献に挙がっている『なぜ僕は「悪魔」と呼ばれた少年を助けようとしたのか』を読めば分かるように、犯人が不幸な生い立ちだったことは事実だろう。 しかし、だからといって、なんの罪もない母子の命を奪い、また、本村さん一家はもちろんのこと、その周囲の人々が幸せに生きる権利を奪ったことは、どうやっても言い訳がつくことではない。 これほどの罪をどうやって犯人は償うつもりなのだろうか。
事件が起きた時、私は独身だった。 家庭を持ち、守るべきものができた身となって、本書を読むと、本村さんが感じたであろう絶望感がひしひしと胸に迫ってくる。 告白すれば、読みながら何度も目頭が熱くなった。
まさに渾身のルポルタージュである。 死刑制度の実態を描き出した 『死刑──人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う』とともに、これからの死刑制度を考える上で必読の一冊と言っておきたい。
_ [mac]Terminal.appでCopy On Selectできるようになった!
メインの作業環境をMacBookにしてから早3週間なんだけども、いまだに違和感があるのが、Terminal.appでcopy-on-selectができないこと。
[Terminal.appでcopy-on-selectがしたい - ぽっぺん日記@karashi.org(2008-08-23)より引用]
と書いてから、早3ヶ月。
なんと、瀧内さんがTerminal.appで選択時にコピーするSIMBLプラグインを作ってくれた!
Command-Cでコピーに慣れていたつもりなんだけど、使ってみたら、やっぱりCopy on Selectは便利。 長年慣れ親しんだXと同じ動作がして、非常に快適になった。
Terminal.appメインで作業ができるなー。
genki++
