ぽっぺん日記@karashi.org
2008-11-15(Sat) [長年日記] この日を編集
_ 「革命ごっこ」に明け暮れた学生過激派活動家の7年間──
ゲバルト時代 SINCE1966-1973 あるヘタレ過激派活動家の青春(中野正夫)
19歳だった1967年に、過激派の活動家として学生運動に身を投じた著者が、逮捕・拘置所での拘留を契機に運動を抜けるまでの7年間を回想しているのが本書。
ぶっちゃけて書くと、学生運動が「革命ごっこ」にしか過ぎなかったということを再確認できる本だ。
脚注をはじめとして、所々で開陳される著者の政治的な主張にはほとんど同意はできないが、「革命ごっこ」「ゲバ棒ごっこ」と自嘲気味に語るように、学生運動の実態を正当化や美化するのではなく、一歩引いた皮肉混じりの視点で描き出していく筆致にはそれなりに好感が持てる。 当時の学生運動のリーダーたちや元・活動家の「文化人」をバッサリと斬っている点も痛快だ。
著者は学生運動にどっぷり漬かりつつも組織に染まることはなかった自らを「ヘタレ」と称しているが、組織の維持のためにリンチ殺人を行なった連合赤軍と比較すれば、たとえ「ごっこ遊び」と貶されようが、どちらが良かったかはおのずと明らかだろう。
率直に言って、本書で語られる活動家たちについて「いったいなにがやりたかったのかなー」と思ってしまうのだが、翻って現在の田母神論文を擁護する動きを見ていると、主義主張は違えど、本質的には両者に差はないのではないかと思えてくる。 結局のところ、著者が喝破するように、主義主張なんてものは後付けの理由で、人が動く最大の要因は感情にあるということなのだろう。
若者らしい、いい加減さとともに、奔放な下半身事情(なにしろフリーセックスもありの時代だ)も赤裸々に描かれており、第一次ベビーブーマ世代の風変りな青春譚とも読める一冊だ。
なお、活動家出身の「文化人」たちを容赦なく扱き下ろしている著者であるが、例外的に笠井潔だけは評価している。 笠井の評論、 『テロルの現象学』 『国家民営化論』 の2作については「止めを刺す」とまで書いているので、機会があれば読んでみようと思う。 しかし、両方とも絶版なんだよなー。
参考
_ アップルストア銀座に行ってきた
休日出勤で銀座に仕事で行ったので、ついでにアップルストア銀座に寄ってきた。
これまでにも寄る機会はあったのだけど、Macユーザではなかったのでスルーしていた。
で、入ってみた第一印象は「結構、狭いな」というもの。 と思っていたら、全部で5フロアまであるんですな。 1階だけだと思って、そう思ってしまった。
iPhoneやMacBook、iMacをいじったり、iPhone/iPodTouchアプリのワークショップを聞いたりして、30分ほど過ごした。 特にワークショップの会場(3F)は静かだし、席もゆったりしているので、一休みするのにも穴場だと思ったり。
デモ機が豊富にあるので、心行くまで試せるのはなかなか良いですな。
あと銀座という場所柄か、それともAppleユーザの特徴なのか、オシャレな格好をしているお客さんが多いのも印象に残った。
2008-11-14(Fri) [長年日記] この日を編集
_ 電車の事故に遭遇してぐったり
東上線に乗っていたら、乗っていた電車が踏切で立ち往生した車と衝突する事故を起こしてしまった。
事故当時、2両目に乗っていたのだが、電車が警笛を鳴らしていたかと思うと、ガーンという衝撃が来て、車内の照明が一斉に消えたという感じ。 人間不思議なもので、ああいうことがあると、見知らぬ乗客同士、顔を見合わせるものなんだね。
電車が自走できなくなったので、40分ほど車内に閉じ込められた後、救急隊に降ろしてもらって、近くの駅まで歩いた。
問題はそれからで、電車は上下線とも当然止まっている、代替バスはない、タクシーもない、連絡線がある駅までは歩くのはほぼムリ、と動きようがなく、復旧するまでの間をずっと立って待っていた(ファストフード店も喫茶店ももう一杯)。 まぁ、読書は進んだけど(ぉ。
幸いにも事故発生から3時間でなんとか復旧して、乗り継ぎをしながら午前中に行く予定だった場所に14時に到着して、夕方まで作業。 結局、昼飯を食べる時間もなかった。
へろへろになり帰宅して、晩飯を食べたら、すぐにバタンキュー。
まぁ、なんにせよ、ケガ人がなくてよかった。 避難する時に、ぺしゃんこになった車も見たけど、運転していた人は亡くなったと勘違いしていた。
ちなみに、やじ馬根性が出て事故車の写真を撮ろうかと思ったのだが、もじみマークが見えて、自分の親だったらと考えると撮る気が失せてしまった(まだ両親はその歳には達していないが)。
関連
その時のニュースや新聞記事。
2008-11-13(Thu) [長年日記] この日を編集
_ ヤングアダルトとナメてかかると度肝を抜かれるハードな展開の〈サリー・ロックハートの冒険〉シリーズ第二弾──『仮面の大富豪』(フィリップ・プルマン)
ヴィクトリア朝時代の英国を舞台に、男勝りの勇気と行動力に溢れた女性サリー・ロックハートが活躍するシリーズ第二弾が本書。
デカい活字と大きな行間、やたらと振りまくってあるルビに「ヤングアダルト小説だなー」とナメてかかっていたら、ハードな展開に度肝を抜かれた一冊だ。
時は、前作『マハラジャのルビー』から6年を経た1878年。 前作では少女だったサリーも22歳の美しい大人の女性に成長していた。 彼女はケンブリッジ大学を卒業した後、ロンドン・シティに事務所を構え、財政コンサルタントとして生計を立てている。 この時代には珍しい職業婦人となっていたのである。 前作で良き仲間となったガーランド写真店を経営するかたわら探偵業もはじめたフレデリックからは何度も求婚されているものの、精神的・経済的な自立を保ちたいと考えているサリーは、その度に断り、お互いの関係がギクシャクしはじめていた。
そんなある日、顧客の老婦人がサリーを尋ねてくる。 サリーが投資を勧めた海運会社が海難事故が多発した結果、倒産し、婦人は貯えをすべて失ってしまったのだ。 責任を痛感するサリーだが、婦人の話を聞くうちに計画倒産の疑いを持ちはじめる。 一方、ミュージックホールで裏方として働いているジムは悪漢に追われる奇術師を助けたことからフレデリックとともに、奇術師が巻き込まれた事件を追うこととなる。 関係ないと思われていた二つの事件だが、調査が進むにつれひとつに絡んでいき、その背後に謎のスウェーデン人大富豪アクセル・ベルマンがちらつきはじめる……。
前巻では貧民街を牛耳る老婆が悪役として登場したが、今回の敵は巨大な財力を誇り、イギリス政府にまで手が届く権力を持つ、富豪ベルマンである。 老婆とは比較にならないほど巨大な敵であることはもちろんだが、サリー自身も新たな弱点を抱えてしまっている。 それは職業婦人としての地位だ。 なにしろ女性たちの社会的権利もほとんど認められていなかった時代ある。 もう大人の女性であるサリーにとっては、些細な風評であってさえ財政コンサルタントとしてのビジネスが立ち行かなくなってしまう危険性があるものなのだ。 そんなこともあって、前巻と比べてサリーの活躍が気持ち少な目な印象を受ける本作だが、フレデリックとジムの二人の活躍はそれを補って余りあるものなのでご安心を。
ヤングアダルト小説という体裁でありながら、ヴィクトリア朝英国の表も裏もをきっちり描いているのが本シリーズの魅力だ。 本書では貴族や富豪をはじめとする上流階級とそれに対する労働者階級の暮らしぶりを描き出している。 そんな中でも個人的に面白いと感じたものが二つ。
ひとつ目が、当時流行っていた降霊会がひとつの重要なキーとして登場することだ。 フレデリックとジムが暴露するように、全部とまでは言わないまでも、そのほとんどがインチキだったようである。 同時代を生きた、シャーロック・ホームズの生みの親、アーサー・コナン・ドイルが降霊会にハマっていたのは有名な話だが、実はそれ以外にも多数の有名人が関わっていた。 言ってみれば、最近のスペリチュアル・ブームみたいなものだったのだろう。 ここらへんについては『幽霊を捕まえようとした科学者たち』が詳しいので、興味がある方は一読をオススメする次第。
もうひとつが『吸血鬼ドラキュラ』の作者ブラム・ストーカーの名前がちらっと登場すること。 彼もヴィクトリア朝英国を生きた人であった。 作中で言及されるようにストーカーは実際に劇場の支配人をしていた。
風俗や登場人物以外でも、ベルマンの唱える理想の背景にある帝国主義的な考え方は、当時の歴史と照らし合わせると興味深い。
本書で一番目を引くのは、なんといっても19章からのハードな展開である。 読書の興を削ぐので詳しくは書けないが、「ヤングアダルトなのに、こう来たか!」と思わず唸ってしまった。 これをどう評価するかは読み手によってまちまちだと思うが、個人的には作者がサリーが少女から大人の女性に成長したように、読者である少年少女にも成長を促したのではないかと感じた。
続篇であるシリーズ第3弾は、3年後の1881年が舞台になるとのこと。 25歳となったサリーがどのような活躍を見せるか楽しみに待ちたい。
最後になるが、『マハラジャのルビー』および本作『仮面の大富豪』の英国でドラマ化され、日本でもミステリーチャンネルで放送されるとのこと(http://www.mystery.co.jp/program/sallylockhart.html)。 自宅ではミステリーチャンネルが見られないので、残念ながら視聴できない。 NHKや民放じゃ放送は……しないだろうなぁ。
関連
- フィリップ・プルマン/山田 順子 訳
- 東京創元社
- 1890円
書評/




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