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ぽっぺん日記@karashi.org


2008-10-27(Mon) [長年日記]

_ [読書感想]アフリカの悲惨な現状と、それにも関わらず自立して生きようとする人々を知ることのできる一冊──アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々 (岩波新書)(松本 仁一)

アフリカの様子がおかしい。

そんな一節からはじまる書である。

植民地から脱し、豊かな資源を元に希望に満ちた国づくりを行なうはずだったアフリカ諸国のほとんどは、独立から半世紀を経た今、「失敗国家」のレッテルを貼られる存在と化している。

なぜ、そのような状況が到来したのか。 『カラシニコフ』シリーズで世界の紛争を伝えた著者がアフリカの現状と将来をレポートしたものが本書だ。

アフリカの国家は次の四つに大別できるという。

  1. 政府が順調に国づくりを進めている国家(いまのところ、ボツワナのみ)
  2. 政府に国づくりの意欲はあるが、運営手腕が未熟なため進展が遅い国家(ガーナ、ウガンダ、マラウィなど10ヶ国程度)
  3. 政府幹部が利権を追いもとめ、国づくりが遅れている国家(ケニア、南アフリカなど多くの国家)
  4. 指導者が利権にしか関心を持たず、国づくりなど初めから考えていない国家(ジンバブエ、アンゴラ、スーダン、ナイジェリア、赤道ギニアなど)

本書でフォーカスされるのは3と4にカテゴライズされる国家である。

その惨状は目を覆わんばかりだ。

豊かだったはずのジンバブエの農業は大統領をはじめとする指導層の無関心のため10年で崩壊した。 彼らが私腹を肥やすことばかりに熱中し、経済というものを理解しなかったため、16万%のインフレという冗談にもならないような状況に陥っている。

人種差別の権化というべきアパルトヘイトを撤廃した南アフリカ共和国は、アパルトヘイト撤廃を勝ち取ったANC(アフリカ民族会議)が政権についた途端、あっという間に腐敗、政府が治安に対して何の対策も講じないため、治安は悪化の一途を辿っている。 首都ヨハネスブルクが世界一危険な都市と言われているのは承知の通りだ。

さらに資源が産出されるアフリカ諸国には、急速な経済発展のために資源を求める中国が手を伸ばし、国民の財産のはずの資源が中国へと運ばれていく。 もちろん、その代金は国の指導層の懐へと入ることになる。

救いようのないように見えるアフリカの現状だが、著書は国家ではなく、市民レベルで動き出した「人々の独立」というムーブメントを伝える。

人々の自立を促す運動を行なうNGOや、アフリカの人々に働くことの意義と誇りを教える日系企業など、その地道な活動には胸を打たれる。 援助といえば、とかくなにかを与えることを想像しがちだが、真に役立つ援助とはなにかを教えられた気がした。

アフリカの悲惨な現状と、それにも関わらず自立して生きようとする人々を知ることのできる好著である。


アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々 (岩波新書)
松本 仁一
岩波書店
¥ 756

カラシニコフ I (朝日文庫)
松本 仁一
朝日新聞出版
¥ 630

カラシニコフ II (朝日文庫)
松本 仁一
朝日新聞出版
¥ 630


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