ぽっぺん日記@karashi.org
2008-10-10(Fri) [長年日記]
_ [読書感想][HORROR]ホラー好きはもちろんのこと、普通小説の読み手にもオススメできる一冊──
英国作家L・P・ハートリーによる短篇集が本書。
「ハートリーという人の作品は読んだことがないなー」と思いながらページを開いてみたら、表題作をどこかのアンソロジーで読んだ記憶が。 巻末の初出からすると創元推理文庫の『怪奇小説傑作集』で読んだのかもしれない。
収録作は全部で11篇。そのうちの7篇が本邦初訳とのこと。
「ポドロ島」をはじめとしてすべて怪奇小説が選ばれているが、どれも死こそあるものの血腥さはない。 代わりにあるのは背筋にゾクッとする怖さだ。
たとえば、「ポドロ島」。
男と女、そして船頭がゴンドラでヴィネチア沖の無人島に遊び行く。 島に猫を見掛けた女は猫を連れて帰ろうとするが、なかなか捕まえることができない。 徐々に女はヒートアップしていき、捕まえることができなければ、猫を殺すと息巻く。 女の言葉を真に受けなかった男は船頭とともにゴンドラで女を待つことにするが、日が暮れても女が戻らない。 船頭とともに男は女を探しに行くが──。
結末は曖昧だ。 女はどうなったのか。 人間が関わったことなのか。 それとも超自然現象なのだろうか。 読み手によって様々な解釈があるだろう。 なんともいえない読後感を残す作品だ。
ゾクッとする怖さは「持ち主の交代」にもある。
無人の屋敷から締め出された男が窓から中に入ろうと、屋敷の裏手に周り込む。 幸い窓に鍵はかかっておらず、桟を押し上げると持ち上がっていく──と、その時、突然、中から手が現れ、桟を下げる。
情景を想像してしまい背筋が少し寒くなった箇所である。
ホラー好きはもちろんのこと、普通小説の読み手にもオススメできる一冊。
ただ、2,310円(税込)という価格は少々高いように感じられる。 ハードカバーではなく、文庫の方よかったのではないだろう。
最後に個人的な収録作ベスト3を。
- 「ポドロ島」
- 隣りの部屋の妹がなにがあったのかを想像すると怖い「合図」
- 凄いラストで思わず笑ってしまった「足から先に」
次点で「持ち主の交代」。
追記
ネタバレしていたところを修正。

ネタばれするな〜(笑)
すいません。短篇なんでいいだろうとネタバレしてました。<br>ってことで直しました。もう遅いですがw