ぽっぺん日記@karashi.org
2008-09-01(Mon) [長年日記] この日を編集
_ テロリズムを撲滅するためには、それを理解しなくてはならない──
テロリズムを理解する―社会心理学からのアプローチ(釘原 直樹/ファザーリ M.モハダム/アンソニー J.マーセラ)
9・11同時多発テロ後に、米国心理学会の要請によって編纂されたテロリズムに関する論文集が本書。
体裁が学術書なので硬いイメージではあるが、門外漢の一般人でも読みこなせるだけのリーダビリティを備えた一冊だ(少々手強い箇所もあるが)。
収録された論文は全部で13本。 論者である心理学者たちはテロリズムの定義や分類にはじまり、アメリカに反発する中東地域がもつ歴史的・社会心理的背景、テロリストの論理、テロリズムと避難民の関係、テロ被害者たちの救済といった様々な視点からテロリズムの本質を浮き彫りにしようとしている。
テロリストを単なる犯罪者と断じ、テロ活動を放火や誘拐や殺人と同レベルのものとする、近視眼的と評せざるをえない論文(ブライエン・ハレットによる第2章「不正直な犯罪、ごまかしの言葉」)もあるが、本書に論文を寄せた心理学者たちの基本的なスタンスは、「アメリカにもテロリズムを誘発する要因があるのではないか」というものだ。
たとえば、第1章「国際テロリズムの分析と考察」を執筆したアンソニー・J・マーセラは、アメリカが覇権主義的グローバリゼーションを展開し、世界的な貧困に拍車をかけていることがことがテロリズムの原因となる絶望と憤りを生み出していると指摘している。 また、ナジ・アビ=ハシュムは第3章「中東における平和と戦争」において、文化面では多様性を理解せず、自国の文化を洪水のように輸出してイスラム文化を破壊し、政治面では自分たちの都合によりころころと変わる一貫しない外交政策をとるアメリカを指弾する。
「ある人にとってのテロリストは、別の人から見れば自由の戦士である」という構図に関連して、リチャード・V・ワグナーとキャサリン・R・ロング(第10章「平和心理学から見たテロリズム」)が示す見解も興味深い。 彼らは「平和は紛れもなく善であり、戦争は悪である」という根本的な考え自体もキリスト教的世界観によるものではないかと述べているのだ。 真にテロリズムをなくそうとするのであれば、そこまで踏み込み文化的な差異を理解することが必要とされるのだろう。
第13章「テロリズムへの心理学の対応」には、9・11直後のニューヨークにおいて、実際に被害者たちのメンタルケアに従事した心理学者の手記が収められている。 世界貿易センタービルから目の前に落下した消防士を助けられなかったと自らを責める若き女性医師など、理不尽な死に遭遇した人々の姿には胸が締めつけられる。 しかし、そこはまた人々がお互いに助け合う場でもあった。 人間の持つ善なる力を見せられる章である。
「テロリズムを理解する」というメインテーマについては、暗中模索の状態にあるというのが本書を読んでの正直な感想だ。 しかし、本書が未曾有の大規模テロ攻撃を受けたアメリカにおいて刊行されたということには大きな意義がある。 そこにはテロリズムを憎むのではなく、それを知り、この世からなくそうという姿勢があるからだ。
間違いなくテロリズムは悪である。 しかし、その本質を理解しなければ、テロリズムを撲滅できないこともまた事実だということを教えてくれる書である。
2008-09-02(Tue) [長年日記] この日を編集
_ 朝の散歩
アドエスでは、シャッタ速度が遅くて、なかなか大変。 やっぱりデジタル一眼買うかなー。 ちょっとXactiにも心が動いているんだけど。
川の様子。 接写モードで撮ってしまった。:-)
靄がかかっている。
2008-09-04(Thu) [長年日記] この日を編集
_ 中学校を舞台にしたイヤミス連作集──
告白(湊 かなえ)
学級崩壊、いじめの陰湿化、教師の犯罪、モンスターピアレンツなど、なにかと暗いニュースになることが多い学校であるが、そんな学校を舞台にしたイヤミス連作集が本書。 著者のデビュー作にして、第29回第29回小説推理新人賞受賞作である。
S中学校の終業式の日、ホームルームの時間に担任の女性教師は教員を辞めることを告げ、生徒たちに話しはじめる。
「最後にみなさんに聞いてもらいたい話があります」
校内のプールで4歳の一人娘を亡くした彼女が生徒たちに語るのは、それが事故ではなく、事件だという衝撃の事実だった。
「愛美は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」
犯人を告発するとともに、教師は自分が行なった恐るべき復讐をも告白する……。
教師が語り手を務める第一章につづく章で、犯人や犯人の姉、同級生など事件に関わった様々な人物たちが独白形式で事件を別の視点から語るとともに、自分たちの心の闇を浮き彫りにしていく。
語り手の誰一人として幸せにならないという、とびっきりの嫌なストーリーでありながら、エグさはあまりないので、イヤミス初心者にもオススメできる一冊となっている。 逆にいえば、イヤミスを読み慣れた向きには少々物足りなさが残るといえるかも知れない。
少々ツッコミどころが多いのは気になるところ。 登場人物たちが性格の歪んだ者ばかりというのは、ストーリーがストーリーなので措くとしても、いまどきアダルトビデオ+モザイク除去装置はないだろうし*1、作品のキーとなるある病気についての登場人物たちの認識が現代とは思えないくらいに古臭さすぎる(中学生ともなれば、保健体育の授業で習っているのではなかろうか)。
さらにいえば、ラストの2章にはたしかに度肝を抜かれたのだが、復讐の完結のさせ方には問題があるように感じた。 それまで(それなりの)倫理観を持って行なわれていたはずの復讐劇が、なんの罪もない人を巻き込むことによって完全にその正当性を破綻させてしまっているのだ。 この部分はストーリー運びが素晴らしいだけに、余計に「惜しいなぁ」と思わせられる。
細かい部分で小言を書いたが、ぐいぐいと引っ張る著者の筆力は本物だ。 次回作が楽しみな新人の登場である。
- 湊かなえ
- 双葉社
- 1470円
書評/ミステリ・サスペンス
*1 いまどきの中学生なら、その手のものはインターネットで見ているのではないだろうか。
2008-09-05(Fri) [長年日記] この日を編集
_ マキリップの紡ぎだす幻想に溢れた短編15本が楽しめる一冊──
ホアズブレスの龍追い人 (創元推理文庫)(パトリシア・A. マキリップ/Patricia A. Mckillip/大友 香奈子)
幻想の紡ぎ手と称されるファンタジー小説の書き手、パトリシア・A・マキリップの初・短篇集が本書。 個人的には『オドの魔法学校』につづく、2冊目のマキリップの本である。
ファンに出版を待望されながらも、マキリップの作品の邦訳ペースはかなり遅いようだ。
本書が起爆剤となって、マキリップ作品の邦訳刊行が続くことを望みつつ、既刊を消化したいと思う。
[ オドの魔法学校 (創元推理文庫 F マ 9-1)(パトリシア A.マキリップ) - ぽっぺん日記@karashi.org (2008-02-20)より引用]
などと書いたが、こんなに早く翻訳が進むとは思わなかった。 嬉しいかぎり。
本書に収められているのは、1982年から1999年までの17年間に書かれた15の短篇。 すべてファンタジー作品ではあるが、その内容は幅広い。 たとえば、表題作「ホアズブレスの龍追い人」や「音楽の問題」では他のファンタジー作品でもおなじみのドラゴンや吟遊詩人が登場するし、「バーバ・ヤーガと魔法使いの息子」や「ひきがえる」は民話や童話を下敷きにしている。 その他、「悪い星のもとに生まれて」はシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の翻案もの、現代風の「雪の女王」や「ジャンキットの魔女たち」なんていう作品もある。
それぞれの作品は短編なのでボリュームこそないが、長編と比較しても質が決して落ちていないのはスゴいところ(ただ、「灰、木、火」だけはなんだか訳が分からなかった)。
文章も適切な訳とあいまって美しい。 たとえば、「ホアズブレスの龍追い人」で龍追い人とその案内人となった主人公の旅を様子を描写する次の一節。
夜の空は昼間とおなじように重苦しく、陰気で星ひとつない。灰色の霧に目覚めて、旅をつづけた。冷気がまわりにたちこめ、古い象牙のように黄ばんだ氷の壁がふたりの上にそそり立っていた。冷たい汗に似た海のにおいがする。(p.26)
情景の眼前に浮かんでくるようだ。 さすがはマキリップと唸らせられる。 剣と魔法のありきたりのファンタジーに飽きた読み手はもちろん、ファンタジー初心者にもオススメしたい一冊だ。
最後に個人的な収録作ベストスリーをあげておこう。
- 1年のほとんどを氷に閉じ込められたホアズブレス島が龍を求め島を訪ずれた龍追い人をきっかけとして崩壊する顛末「ホアズブレスの龍追い人」
- 姿を消した女王お気に入れの吟遊詩人を探すため魔法の国に入った5人の戦士・兼・主婦の冒険「ドラゴンの仲間」
- スラブ民謡に登場する魔女バーバ・ヤーガの活躍をユーモラスに描いた「バーバ・ヤーガと魔法使いの息子」
- 大友 香奈子
- 東京創元社
- 1155円
書評/SF&ファンタジー
2008-09-06(Sat) [長年日記] この日を編集
_
怖い絵2(中野 京子)
『怖い絵』の続篇が本書。 前作が面白かったので読んでみた本だ。
第1弾と比べると、それほど「怖い絵」がなく、恐怖という面ではパワーダウン気味だが、著者の妄想イマジネーションには磨きがかかっている。
たとえば、ミレーの『晩鐘』。
著者はサルバドール・ダリの論文を引き、その隠された意味を暴こうとする。まず、右の女性について
女のこの姿勢は、「拝み虫」の別名を持つカマキリが攻撃直前のものと同じである。彼女は仮面をかぶり(事実、そう見えるから驚きだ!)、男に飛びかかろうとしている。(p.168)
「仮面をかぶり」というのはそう見えなくもないが、「飛びかかろうとしている」というのはちょっと……というのが、正直な感想である。 笑ってしまうのが左の男性についての解説。
彼はこれから起こることを予期し、エロティックな期待で恍惚となり、すでに勃起しているため帽子で前を隠している。(p.168)
ちょwwwあんな上じゃないよwww
表紙にも使われている、結婚式を描いたファン・エイクの『アルノルフィニ夫妻の肖像』の解説も面白かった。
著者は左手のアルノルフィニ氏を
眼は爬虫類めいて怜悧冷酷なのに、形の良い唇はふっくら肉感的だ。眉は細すぎ、鼻は立派すぎ、薄い皮膚には自信と誇りがはりつき、大きすぎる帽子の下には、つるっぱげの頭があるのかもしれない。(中略)新婚の夫らしい愛情など、みじんも感じられない。(p.242)
と、まったく容赦のない評価を下している。 その一方で、反対側の花嫁については「可愛い」としているのだが、個人的な意見をいうと、どちらものっぺりした顔にしか見えなかったりする(まぁ、多少アルノルフィニ氏の方が人間離れしているが)。
怖さはないが、興味深く読める一冊。 前作が楽しめた人はこちらも同様に楽しめるはずだ。 楽しみながら絵も覚えられるので一石二鳥ではないかと、美術オンチとしては思う次第。
2008-09-07(Sun) [長年日記] この日を編集
_ 現実主義に立脚した国際貢献を提言する一冊──
自衛隊の国際貢献は憲法九条で―国連平和維持軍を統括した男の結論(伊勢崎 賢治)
国際NGOの一員として活動した後、独立後の東チモールで暫定行政機構の民政官として県知事を勤め、シエラレオネ、アフガニスタンでDDR活動(=Disarmament Demobilization Reunification:武装解除・動員解除・社会復帰)を行なった著者による日本の国際貢献への提言である。
著者の憲法九条についてのスタンスを一言で表せば「護憲」だ。 だが、護憲といっても「武力をすべて廃止して──」云々という極端な護憲派とは、その主張の方向性はまったく違っている。 武力について、著者はシエラレオネで国連平和維持軍という武力を後ろ盾に武装解除を成功させた経験を踏まえて、次のように述べている。
でも、やはりそれは必要悪なのである。いつも必要かというとそうではない。必要な場面があるといった方がよいかもしれない。しかし、武力を全否定することは間違いだ。これは、はっきり言う。人命が大切ならば、武力を否定することはできない。(p.94)
そんな現実主義を貫く著者は、本書で日本は憲法九条に立脚する国際貢献を行なうべきだと説く。
たとえば、財政面である。 「人か」「金か」と国際貢献の方法についての議論がある。 湾岸戦争の苦い経験から金を出すことについて否定的な風潮があるが、著者は金を出すことを肯定する。
まず大事なことは、武装解除をはじめ、戦争を終わらせ、平和をもたらすためには、何よりもお金が必要だということだ。お金を出すことが人の命を守っていることに、誇りをもつべきだ。(p.73)
しかし、日本の問題は金を出しても口を出さないことにある。 金を出す以上、受け取る側(被援助国)に条件をつけ腐敗をなくし、平和維持軍の司令部に自衛官を送り込むなどして作戦面にも積極的に口を出して、日本が掲げる平和憲法に基づいた平和を構築することに尽力する必要があるとする。
最終章では、憲法九条の理念のもとで、日本がアフガニスタン問題の解決にどのように貢献するための方法を語っている。
アフガニスタンで日本が主導した武装解除活動がスムーズに進んだ最大の要因は日本への「美しい誤解」にあった、と著者は述べる。 現地の人々は、日本がアメリカの同盟国としてインド洋で給油活動をしていることを知らず、戦争をやらない唯一の国だと思っていた。 だからこそ、日本を信用したのだ。 給油活動の存在をアフガニスタンのカルザイ大統領さえ知らなかったと書けば、現地での知名度がお分かりになるだろう。
しかし、その状況が変わってきてしまった。 日本政府が給油活動を継続させるためのパフォーマンスとして、カルザイ大統領やパキスタンのムシャラフ大統領(当時)に自衛隊への感謝のスピーチを頼んだため、全世界が知ることとなってしまったからだ。
著者は給油活動に関する日本国内の議論が、アフガニスタンで活動する日本のNGOのことを考えていないことに怒りをあらわにする。 NGOは日本が行う「顔の見える援助」の一環として、公的資金を託され派遣されたからだ。 しかし、給油活動によって日本政府は彼らの命を危険にさらしてしまったのだ。 先日起きたペシャワールの会に属する伊藤和也さんの拉致殺害事件を考えると、暗澹たる思いに囚われる。 もちろん、犯人の動機が明らかになっていない以上、給油活動が伊藤さん殺害に結びついたと結論づけるのは早計だが、NGOというソフト・ターゲットを狙ったテロが起きる危険性を高めたことは事実だろう。
現地のNGOに対しては外務省による退避勧告がなされているという。 それについて著者は次のように記す。
しかし、国際NGOなら、今ぐらいの状況で退避はしない。もし、日本のNGOだけ退避したら、それこそこの業界で笑いものだ。(p.113)
自分たちが手掛けた仕事を途中で放り出すことはできないというNGOの人々の思いには共感する。 しかし、命あってこその物種という言葉にもある通り、命を第一に考え退避するべきではないかと個人的には思う。
また、給油活動についても、実は同盟国の間では高く評価されているという話も聞いている。 それでも日本政府が給油活動を継続することによって「日の丸を背負って」派遣されたNGOの命を危険にさらしているということについては、信義にもとる行為ではなかったかと、給油活動に賛成の立場をとってきた人間としても思わざるをえない。
給油活動を批判する一方で、著者は今後アフガニスタンで日本が行なう援助活動を人道援助だけに限定するという意見にも異を唱える。 著者が「美しい誤解」という背景を持つ、日本にしかできない援助のひとつとして挙げているのが、援助を武器に使った腐敗した内務省および警察の浄化と改革である。 そして、もうひとつがタリバンとの和解の仲介である。
現在、アフガニスタンではタリバンの掃討を完遂することは難しいと考えられ、見直しがはじまっている。 事実、タリバンまでをも免責する「恩赦法」が制定された。 あとは誰が仲介役をやるかである。 その役目こそ憲法九条を持つ日本にしかできないことなのだ、というのが著者の主張だ。
紛争解決の最前線で培われた経験にもとづく言葉は重い。
国際貢献のあり方について再考を促す一冊といっていいだろう。
主義主張に関わらず、前著
武装解除 -紛争屋が見た世界 (講談社現代新書)(伊勢崎 賢治)とともに一読をオススメしたい。
2008-09-09(Tue) [長年日記] この日を編集
_ めちゃくちゃ面白い幻のエンタメ小説が復刊だ──
エヴァ・ライカーの記憶 (創元推理文庫)(ドナルド・A. スタンウッド/Donald A. Stanwood/高見 浩)
1912年4月14日に起きた〈タイタニック〉沈没事件をテーマにしたミステリが本書。 1978年に原書が刊行され好評を博し、翌1979年には文藝春秋から邦訳が出版され、その年の「週刊文春傑作ミステリー・ベスト10」の4位に輝いた作品である(ちなみに、当時の「ミステリー・ベスト10」には国内・海外作品を一緒に集計していたとのこと)。
長らく絶版状態にあって、幻の名作ともいわれていたそうだが、実際に読んでみたら、これがめちゃくちゃ面白い! 評判に違わぬ大傑作である。
本書のストーリーは1941年11月30日、日本海軍による真珠湾攻撃直前のハワイからはじまる。 風光明媚なその地で、2件の殺人事件が起きる。 犠牲者となったのは、フロリダから来た観光客の夫婦。 夫アルバート・クラインは毒殺され、妻マーサはホテルの自室でバラバラ死体となって発見された。 マーサの死体を見付けたハワイ警察巡査ノーマン・ホールはショックのあまり職場放棄をし、警察を放逐されることとなる。
それから20年余の1962年──。 第二次世界大戦を経て、ホールは作家として成功しパリに住んでいた。 そんな彼のもとに舞い込んできたのが、ジュネーブに隠者のように住む大富豪ウィリアム・ライカーが立ち上げた〈タイタニック〉遺留品引揚プロジェクトに関するルポルタージュの執筆依頼だった。
ホールの脳裏に警察を辞める原因となった殺人事件の記憶が甦る。 生前のマーサ・クラインが夫婦が〈タイタニック〉沈没事件からの生還者であることを話していたのだ。 偶然の一致に驚きながらも、ホールは〈タイタニック〉へ執着するライカーと殺人事件が迷宮入りとなっていたクライン夫妻へ興味を抱き、仕事を引き受ける。 しかし、それは50年前と20年前の悪を目覚めさせるものだった。 関係者へのインタビューをするため世界各地を飛び回るホールへと延びる妨害の魔の手。 そして、遂に殺人事件が……。
〈タイタニック〉沈没とクライン夫妻殺人事件を結ぶものはなにか? ライカーの真の目的とは? 〈タイタニック〉から生還しながらも刹那的な人生を送るライカーの娘エヴァの記憶の闇に隠された真実とは? 謎が謎呼ぶ展開に手に汗握りながら一気読みしてしまうこと間違いなしだ。
本作の最大の特徴をあげるならば、ミステリはもちろんのこと、サスペンス、ハードボイルド、パニック小説、冒険小説まで、これでもかといわんばかりにエンターテイメイント要素を詰め込んだジャンルミックス小説ということだろう。 並の作家であれば、こんなことをすれば収拾のつかない事態に陥ってしまうのではないかと思うが、きっちりひとつの作品にまとめつつも、こんな「めちゃくちゃ面白いエンタメ小説」に仕上げた作者の手腕は見事の一言に尽きる。
ストーリー構成もまた素晴しい。 第1部では主人公ホールがイギリス、オーストラリ、スペイン、スイス、アメリカ各地、そして日本と、まさに世界をまたに掛け調査をし、徐々に真相に近付いていく。 そのまま、ハードボイルド・タッチで事件解決に進むのかと思いきや、なんと第2部では一転、関係者一同を集めた謎解きへと雪崩れんでしまうのだ。 ミステリファンであれば、ここで両手を叩いて喜んでしまうに違いない。 さらに、それは〈タイタニック〉の処女航海出港から沈没までの5日間のドラマあり、どんでん返しありの200ページなのである。 これほど長大かつ濃密なミステリ解決篇は例を見ないのではないだろうか。
本書を読む前にぜひ、未見の方は
劇場公開10周年記念/セリーヌ・ディオン来日記念 タイタニック (アルティメット・エディション) [DVD]を鑑賞してから頂きたい。
〈タイタニック〉の最後がヴィジュアル面で補完され、本書を読む楽しさが2倍、3倍になること確実である。
ちなみに、この映画、個人的には出来はいまひとつだと思うのだが、〈タイタニック〉をてっとりばやく知るという意味では類を見ない資料ではないかと思う(研究者によって間違いがいくつも指摘されているが、それはご愛嬌)。
本書は作者ドナルド・A・スタンウッドのデビュー作にあたる。 川出正樹氏の解説によれば、この後、スタンウッドは幻の名車ブガッティ・ロワイヤルをテーマにしたミステリを書いたそうだが、箸にも棒にも掛からぬ出来だったそうで、小説家としての経歴は本作で終わってしまったようだ。 そういう意味で典型的な一発屋だった訳だが、このような傑作を書き上げたということは充分、歴史に名を残す偉業といえるだろう。
別にいいじゃないか。これだけ見事な一発を打ち上げてくれたのだから。(p.557)
という川出氏の言葉に大いに頷ける一冊だ。 エンタメ小説好きには一も二もなくオススメしたい。
- 高見 浩
- 東京創元社
- 1470円
書評/ミステリ・サスペンス
2008-09-10(Wed) [長年日記] この日を編集
_ 今日の買い物
この頃、かなりSkypeに依存した生活を送っていて、自宅にもSkype対応のUSBフォンを買おうかなーと思っていたところ、Amazonでこれが9,800円だったので購入。
評価はあまりよくないみたいだけど、これくらいの値段だったら、遊ぶつもりで買えるね。
_ 今日の買い物2:『フロスト気質』DVD
ヨドバシカメラで探したけど見付からなかったので、Amazonで発注。
1枚1,000円という特別価格なのだが、10月までの限定なので注意のこと。 ちなみにAmazonだと5%引きでした。
2008-09-11(Thu) [長年日記] この日を編集
_ 「騙された!」と唸ること請け合いの秀作パズル・ミステリー──
ウォリス家の殺人 (創元推理文庫)(D.M. ディヴァイン/Dominic Devine/中村 有希)
英国ミステリー作家、D・M・ディヴァインの長篇ミステリーが本書。
個人的には、昨年、創元推理文庫から刊行された『悪魔はすぐそこに』につづく、2冊目のディヴァイン作品になる。
さすがはパズル・ミステリーの名手、ディヴァイン。 読了後、思わず「騙された!」と唸ること請け合いの秀作ミステリーに仕上がっている。
ストーリーは歴史学者モーリス・スレイターが、著名な作家にして兄弟同然に育てられた幼なじみジョフリー・ウォリスの屋敷〈ガーストン館〉を訪ずれるシーンからはじまる。 ジョフリーの妻、ジョリアから夫の様子がおかしいとの連絡を受け、来訪を請われたためだった。 久しぶりに再会したジョフリーは老け込み、憔悴しきっていた。 どうやら、ジョフリーの兄ライオネルから脅迫を受けて悩んでいるようだった。 ジョリアに支えになってほしいと頼まれ、〈ガーストン館〉にしばらく滞在することを承諾したモーリスだが、彼もまた悩みを抱えていた。 離婚した妻に引き取られたひとり息子クリスがジョフリーの長女アンと婚約しようとしていたが、名家との結婚を望むジョリアに強行に反対されていたのだ。 様々な人間が〈ガーストン館〉に集まり、それぞれの思惑や緊張感をはらんだやりとりがなされる中、悲劇が起きてしまう……。
本書の特徴をあげるとするならば、なんといっても、まず筆頭にくるのがフーダニット隠しの秀逸さだ。 種明かしをされてみれば、「なんで分からなかったんだろう」と思わずにはいられないシンプルさなのだが、さらっと書かれている上、ストーリーに融合したミスディレクションに幻惑され、つい見過ごしてしまうのだ。 ディヴァインの手練の技が光っているといっていいだろう。
次にくる特徴が、書き込まれた人間模様の巧さだ。 大成したジョフリーにコンプレックスを持つ主人公モーリス、 母親に吹き込まれたことを信じ、モーリスに胸襟を開くことを拒むクリス、 ジョフリーとライオネルの因縁など、掘り下げられた登場人物と彼らの関係がストーリーに深みを与え、本書を単なる「犯人探しミステリー」からひとつ上の次元の作品へと押し上げている。
キャラクター描写の巧みさは脇役について同様だ。 たとえば、モーリスとスコットランドヤードのカズウェル警視がモーリスと事件について話すシーンの一節。
警視は私にお茶と食べ物の皿を手渡す作業で忙しくしていた。手慣れたその動作に、彼が家庭的であることがうかがえる。(p.164)
これ以上、警視の家庭的な面には触れられないのであるが、警視という登場人物へ命を吹き込む一文といっていいのではないかと思う。
ただ、犯人のホワイダニットの面だけはどうにも腑に落ちない。 これは『悪魔はすぐそこに』の感想で
犯人の考えが理解できない(○○していた○○を○○するなんて!)
と書いた通り、両作品に共通している要素なので、もしかするとディヴァインの特徴なのかもしれない(まだ2作しか読んでいないので断言できないが)。
少々文句も書いたが、ミステリーとして高水準の一冊である。安心して読める良作ミステリーといっていいだろう。
訳者あとがきによれば、『悪魔はすぐそこに』と本書は「ディヴァインをなるべくたくさん訳そう」企画の一環とのこと。 つづく第3弾、第4弾を楽しみに待ちたい。
- 中村 有希
- 東京創元社
- 903円
書評/ミステリ・サスペンス
2008-09-13(Sat) [長年日記] この日を編集
_ パレスチナ問題における「加害者」側の声を伝える一冊──
沈黙を破る―元イスラエル軍将兵が語る“占領”(土井 敏邦)
イスラエルでは、イスラエス軍やパレスチナ自治区の占領について、一般的に
「イスラエル軍は最も道徳心の高い軍隊」「道徳的な戦争もあり得る」「住民を啓蒙する占領なのだ」といった「伝説」(p.77)
と信じられているそうだ。 なぜなら、占領地で任務に就いた兵士たちは親たちにその実態を喋らず、親も知りたがらず、またメディアも占領地で起きたニュースを国民の耳に心地よいものへと「脚色」してから流すという構図があるためだ。 しかし、それが過酷な占領政策を糊塗するものにしか過ぎないことを明らかにしようという動きが起きはじめている。
そのひとつが本書のタイトルにもなっているイスラエル軍退役将兵によって作られたNGO「沈黙を破る」だ。 パレスチナ自治区での任務に就いた経験を持つメンバーたちは加害者としての体験を公表し、占領がいかに不合理なものであるかを世間に知らせようとしている。
本書は3部構成となっている。 第1部では「沈黙を破る」が発行したイスラエル軍将兵たちへのインタビュー集を訳出し、第2部では「沈黙を破る」のメンバーたちへのインタビューが掲載されている。 そして第3部では被害者であるがために加害者としての認識を持つことができない心理を明らかにしている
第1部、第2部で明らかにされるパレスチナの占領の影で行なわれているイスラエル軍の暴虐の数々には言葉を失なう。 銃声がすれば、テロリストの姿の確認もせずに市街地のど真ん中であらゆる方向に撃ちまくる。 登校途中の13歳のパレスチナ人の少女に十数発の銃弾が撃ち込まれ、屋上に出た幼い姉弟が狙撃兵に射殺される。 狭い路地で襲われることを避けるため、民家の壁を破りながら移動し、狙撃に適した家があれば、家族を追い払い、または一部屋に閉じ込め、場合によっては何週間も居座る。
占領はパレスチナ人にとって災厄以外のなにものでもないが、兵役に就き占領地に送り込まれるイスラエル人の若者にも悪影響を及ぼしている。 「沈黙を破る」のメンバーのひとりが次のように語っている。
毎日、そんな任務に就いている兵士も、十五分も車を運転すれば、占領地との境界を越えたイスラエルへ戻れます。境界を越えた途端に、その兵士はその直前の自分とは違う人間になれるでしょうか。そんなことはできません。戦車やAPCに乗って毎日パレスチナ人の街で住民の車や木々や公園などを踏み潰し、望むものは何でも破壊できる体験をしている兵士が、その直後にテルアビブやエルサレムで、普通の人間のように車を運転するようなことはできません。占領地で毎日行なっている暴力の習性、その野蛮で残忍な行動パターンをイスラエル社会に持ち込んでしまうのです。(p.123)
事実、3年間の兵役を終えた22〜25歳くらい若者の多くはイスラエルを離れ海外で過ごすという。 その理由を別のメンバーはこう説明する。
ただ占領地で自分がやってきたこと、そこで体験したことを忘れ、その記憶を自分のなかから追い払おうとしているのです。(p.73)
第3部で非常に興味深い指摘がされている。
2006年の第二次レバノン戦争ではイスラエル軍の空爆により1000人以上の民間人が犠牲となった。 当時のイスラエルの世論調査では91%がそれを「正当化できる」とした。 その原因を元エルサレム市議会議員は「ホロコースト・メンタリティー」とする。
自分たちがユダヤ人はあれほど悲惨な被害を受けてきたという被害意識が、他者への加害に対する"免罪符"になっています。自分たちは史上最悪の残虐を受けてきた最大の犠牲者なのだという意識が、自分たちが他者に与える苦しみへの"良心の呵責"の感覚を麻痺させているのです(p.192)
『ユダヤとイスラエルのあいだ―民族/国民のアポリア』で指摘されていた
帰属する国を持たず、その帰結としてそこにナチスによるホロコーストという大虐殺を経験したはずのユダヤ人が、アラブ人たちを弾圧し無国籍の民へと貶めているという大きな矛盾
の裏にある意識といっていいだろう。 著者は「悲惨な被害を受けてきたという被害意識が、他者への加害に対する"免罪符"」を持つことが、第二次大戦中に過酷な占領政策を行なったにもかかわらず、空襲により国土を焼け野原にされ原爆を投下されたがゆえに被害者意識だけを持つ日本人にも共通するものだと喝破する。 だからこそ、日本人は「沈黙を破る」の元将兵たちの証言と向き合い、自らの「健全さ」と民意の「成熟度」を問う必要があるという著者の言葉は重い。
これまで聞こえてこなかったパレスチナ問題における「加害者」側の声を伝えるとともに、加害意識を持たない「加害者」の心理の本質を浮き彫りにする好著である。
蛇足
文中で「オートマチック・グレネードランチャー」が「手榴弾マシンガン」と訳されているのだが、手榴弾を発射する訳ではないので、「グレネードマシンガン」や「自動擲弾銃」と訳した方がよかったのではないだろうか。
2008-09-14(Sun) [長年日記] この日を編集
_ プリーストが醸し出す雰囲気にどっぷり漬かれる一冊──
限りなき夏 (未来の文学)(クリストファー プリースト/Christopher Priest/古沢 嘉通)
去年、『双生児』が話題になったクリストファー・プリーストの日本オリジナル短篇集。 1966年に発表された処女作から2004年時点の最新作までの全8篇が収められている。
収録作は次の通り。
- 「限りなき夏」
- 「青ざめた逍遥」
- 「逃走」
- 「リアルタイム・ワールド」
- 「赤道の時」
- 「火葬」
- 「奇跡の石塚」
- 「ディスチャージ」
巻末の訳者解説で初訳を見たところ、時期的に表題作「限りなき夏」「火葬」「ディスチャージ」はたぶん既読なんだと思うのだが、すっかり内容を忘れていて、自分でも記憶力のなさにワロタ。
作品的にはメインストリーム寄りのものが多く、SF色が薄い点が個人的には残念だが、プリーストが持つ小説の技巧を存分に楽しめる一冊だ。 余韻を残す作品が多いので、読後もしばらくプリースト作品が醸し出す雰囲気にどっぷり漬かっていることができるだろう。
本書のベストは、中盤の1行でそれまでのストーリーの意味合いがガラッ変わってしまう「奇跡の石塚」。 「物語の魔術師」とも評されるプリーストの技が愉しめる作品だと思う。
ベスト2は「奇跡の石塚」と同じ世界を舞台にした一作である「ディスチャージ」。 戦地に赴きながらも延々と敵と遭遇しないまま移動と待機と再訓練を繰り返す描写がなんとも暗くていい。 ちなみに「奇跡の石塚」「ディスチャージ」とともに、「赤道の時」「火葬」は〈夢幻群島(ドリーム・アーキペラゴ)〉シリーズを形成しているが、舞台が共通なだけでストーリーもジャンルも繋がっていない。
ベスト3は、20世紀初頭で謎の凍結者たちに「凍結」され、1935年に目覚めた主人公とその恋人の悲恋を描いた表題作「限りなき夏」。 舞台が目覚めから5年後、バトルオブブリテン最中のロンドンということで軍事オタクとしては外せない。←それかい! いや、作品的にもいいですよ。 全然ハッピーエンドじゃないけど。
次点は「赤道の時」と迷ったが「青ざめた逍遥」。どこかヴィクトリア朝を彷彿とさせる、タイムスリップを実用化した未来での純愛ストーリー。 ラストでどうなったのか、いまいち理解できなかったが、爽やかな読後感を残す秀作だ。
_ iPhoneが全損扱いになった時の保険?
※この日記の内容は裏付けをとっていないので、実際に大丈夫かどうかは不明です。
iPhoneの液晶を割ると全損扱いで、Apple Careに入っていても関係なく63,500円もかかるって話を読んで「すげーな、Apple」とか思っていたんだけど、「そういえば、クレジットカードのショッピングプロテクションが使えるんじゃね?」と思いついてググって見付けたのが、下記のサイト。
iPhoneの落下修理にクレジットカード付帯保険は効くか? :宗子時空
AMEX系であれば、割賦扱いでもショッピングプロテクションが効くらしい。
となると、ヨドバシやビックカメラあたりで一括払いをしてポイントを稼いだ方が得と思っていたけど、《セゾン》アメリカン・エキスプレス・カードあたりの年会費が安いAMEX系のクレジットカードに入会して、それで割賦と電話料金を払った方が保障的には安心できるということかな。
まぁ、Skypeがないので今のところiPhoneを買う気はないんだけど。
2008-09-15(Mon) 敬老の日 [長年日記] この日を編集
_ ハナをシャワーで洗った
初シャワー。
シャワーをえらく怖がって、避けようとオレの身体をよじ登ってくるもんだから、オレまでびしょ濡れになってしまった。
妻に手伝って貰いつつ、なんとか終了。 えれー疲れましたよ。 ハナは毛が長くないので乾かすのは比較的楽だったけど、長い犬は大変だろうなぁ。
写真を撮ろうと思っていたんだけど、そんな暇もなかった。
_ デジタル一眼レフカメラを買うことを考える
前々から欲しいなぁと思っていたデジタル一眼だが、いよいよ購入を決意したので、本体とレンズについてググってみたり、kakaku.comを見てみたりして過ごした。
とりあえず、値段的には 1万円のキャッシュバックキャンペーンをしているα300がよさげ(α350はちと手が出ない)。
あとはレンズだねー。 「レンズ選びが初心者には難しい」とwassrとtwitterで呟いてみたら、「最初はキットレンズでいいじゃん」という話なので、そうしようかなーとも思っているんだが、αってキットレンズが良くないという評判なので、ちと迷い中。
明日ビックカメラとヨドバシカメラを回って、レンズについても調べてみる。 店員さんのオススメも聞いてみるかね。
_ NHKスペシャル「戦場 心の傷」シリーズ・第2回『ママはイラクへ行った』
イラク戦争で心の傷を負った兵士たちの姿を浮き彫りにしたドキュメンタリー。今日は第2回。
非常に興味深い内容だった。
イラクに駐留する米軍15万人のうち、1万人が女性で、そのうちの1/3は母親という事実には衝撃を受けた。 建前上は女性兵士は戦闘を行なわないということになっているが、全土が戦場とでもいうべきイラクでは戦わざるをえない時も多々あるらしい。
「ここまで雇用機会の均等とはいえ、ここまで平等なのも考えものだよなー」と思っていたら、ベトナム戦争時の反戦運動により徴兵逃れが激増したため、米軍は志願制に移行。 女性にも門戸を開き、安定した仕事を求めた女性たちが殺到したという経緯がある由。
しかし、イラクでの熾烈な体験が母親である彼女たちの心に様々な傷を負わせている──というあたりまで見たところで、いつの間にか眠ってしまっていて、残り半分は未見。 録画はしたので明日にでも見る予定。
昨日放送した第1回は見逃してしまったので、火曜の深夜(実際は日をまたいだ水曜日)の再放送の予約を入れた。
参考
2008-09-18(Thu) [長年日記] この日を編集
_ デジタル一眼その後
実はまだ買っていない。
ここ数日の動き。
- α300とα350を店頭で見たら、価格差が2000円程度なので「どうせならα350を買おうか」という気になる。
- しかし、α350は重い上に大きく、手にしっくりこない。オレだけが使うならまだしも、妻が使うにはちと辛い感じ。
- じゃ、オリンパスは? ってことでE-420を試してみる。軽いし、よさげ。
- 給料のほとんどをカメラに注ぎ込むというカメキチな人に相談してみたところ、望遠の時には手振れ補正がないと厳しいかも、という話。E-420には手振れ補正が付いていない。「個人的にはコニカミノルタの後継機のαの方が好印象」とも話してくれたけど「ソニーになってからのαは分からないので参考にしないで」とのこと。
- じゃ、手振れ補正が付いているE-520は? ということでいじってみる。うん、こっちもいい感じ。
- 折良くE-520、E-420キャッシュバックキャンペーンも始まる。これはE-520買えってことだなと解釈。
- 勉強がてらキャノンのKiss X2を触ってみる。E-520と同じ重さでホールド感もそれほど変わらないが、操作方法はこっちの方が良い感じがする。でも、ちょっと高い。
- カメキチの人に相談する。カメキチの人は全部キャノンとのこと。「ずっとキャノンでいくなら良い選択では。レンズの種類も多いし」というアドバイス。
- 「でも、X2高いしなぁ。どうしようかなー」と思っていたら、Amazonでキャンペーンがはじまった。
- まだ高いけど、清水の舞台から飛び降りたつもりでX2行くか? それとも、やっぱり安いE-520行くか? と迷い中。←イマココ
まぁ、明日くらいに決めるかねー。週末セールやっているかもしれないし。
ちなみに、アサマシ張っちゃうけど、いまなら
Canon デジタル一眼レフカメラ EOS Kiss X2 ダブルズームキット KISSX2-WKITが85,800円。
かなり安い気がする(それでも高いけど)。
2008-09-20(Sat) [長年日記] この日を編集
_ 琉球王国の衰亡を描いた池上永一の『テンペスト』を全力でオススメする
これはスゴい本。
初・池上永一作品だが、これが面白いのなんのって、夢中になって読んでしまった。 単行本上下巻で計800ページ余、 原稿用紙で1800枚という大作だが、一度、読み始めたら止まらなくなってしまい、いつの間にか徹夜という麻薬的な小説である。
時は琉球王国末期。 嵐の夜に一人の赤子が生まれた。
士族の娘として生まれながらも、その赤子は男子の誕生を願っていた父親からいない存在として扱われ、名前さえ与えられなかった。 父親は自分の子供をどうしても高級官吏にしたいと望んでいたのだが、当時、女性は男性より劣っていると考えられており登用試験を受けることさえできなかったのだ。
しかし、その娘は常人離れした知性を有していた。 独学で様々な書物を読破し、自らを真鶴と命名した彼女が10歳となった時に転機は訪れる。 養子として迎え入れられた兄は、不幸なことに学問の才がなく、父親のスパルタ教育に耐え切れず失踪したのだ。 兄を殺すと息巻く父親を抑えるため、真鶴は性別を宦官の男性と偽り、名前も寧温と変えて、登用試験に挑むこととなる。 紆余曲折の末、競争率千倍という難関を突破し、史上最年少の評定所筆者に任じられた寧温だが、首里城は嫉妬と陰謀が渦巻く伏魔殿だった……。
登用試験を受けたかと思えば投獄され、それをくぐり抜け官吏になったかと思えば、父親が断首刑となるというローラーコースターのように上下する寧温の運命。 財政再建のためにコストカットの大鉈を振う寧温に抵抗勢力が動き出すという、現代日本を彷彿とさせるエピソードもあれば、ペリー来航による植民地化の危機という当時の時代背景を描いた逸話もある。 まさにタイトル通り「嵐(テンペスト)」のような疾風怒涛のストーリーが描かれ、まったくダレることなく、最後まで読ませる。
正直なところ、時代小説なのにも関わらず現代用語(たとえば「セレブ」や「ケロリンパ」)が頻出する作者の軽い文体はあまり好みではないが、そんな些細なことはぶっ飛ばし、読み手を作品世界に引き込む筆力には脱帽のほかはない。
なんといっても宦官と性別を偽った美少女という設定がうまい。 男と女というふたつの顔を持つがゆえに、首里城の中にある互いに交わることのない世界──男の世界である行政機関「評定所」と女の世界世界である大奥「御内原」を重層的に描くことに成功している。
さらに本当の性別が露呈すれば死罪でありながらも、成長するにつれて捨てたはずの真鶴が女として目覚め、薩摩藩の役人に口に出せない恋心を抱くという展開や、ひょんなことから男(評定所)と女(御内原)での二重生活を送らざるをえなくなるというストーリー運びも心憎い。
男だと信じる寧温にドキドキして「オレってそっちのケがあるのか?」と悩む二人──前述の薩摩藩の役人にして示現流の使い手・朝倉雅博と、寧温に匹敵するほどの頭脳を持つ同僚・喜舎場朝薫をはじめとして、寧温を狙う生き神・聞得大君、妖怪じみた清の宦官・徐丁垓、真鶴の良き友となる側室・真美那などなど、寧温のまわりの脇役たちも見事にキャラ立ちしている。
そんな彼らの人生は時代という名の嵐に翻弄される。
清と薩摩藩の二重支配を受けながら、軍隊を持たず、美と教養のみを武器として、絶妙なバランス感覚で中立を保っていた琉球。 しかし、アヘン戦争を契機とする清の衰退、列強のアジア進出、明治維新はそのバランスを崩し、その独立は徐々に危ういものとなってなっていく。 寧温は独立を守るため奮闘するが、健闘虚しく、明治政府の琉球処分により王国は滅びることとなる──。 作者は外交の第一線で活躍する寧温を通して、琉球を揺がした激動の時代を鮮やかに描いている。
滅びを描きながらもラストは物悲しくも爽やかだ。
しかし、物語の結末から60年余。 米軍という名の鉄の嵐の襲来により「沖縄県」と名を変えた島は一面の焦土と化し、数え切れないほどの命が失われた。 その歴史的事実を考えると、爽やかさの影に隠された涙を感じざるをえない。
文句なしに太鼓判を押せる傑作であり、今年の収穫と数えていい一冊である。 全力でオススメしたい。
参考
2008-09-21(Sun) [長年日記] この日を編集
_ キッチンから見たホワイトハウス──
大統領の料理人(ウォルター・シャイブ/田村 明子)
1994年から2005年までホワイトハウスのエグゼクティブシェフを勤めた著者による手記である。
この11年間に、著者はビル・クリントン大統領とヒラリー・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ大統領とローラ・ブッシュという、党や政策はもちろん、食事の嗜好もライフスタイルも違う二組の大統領夫妻に仕えた。
シェフというと、門外漢の身には単に(というのは大変失礼な書き方だが)「料理をする人」というイメージがあったが、エグゼクティブシェフである著者はファースト・ファミリーのためのメニュー作りや料理はもちろんのこと、何人もいる部下の統括、ホワイトハウスのキッチンや食材仕入れルートの再構築、国賓を迎えての公式晩餐会から千人規模の野外パーティーで供される食事の企画と料理までこなしている。 いってみれば、プロジェクト統括責任者といったところだろう。
個人としての大統領に接した経験を持つ著者であるが、ファーストレディーが外出中に自分の好物(非・健康的なもの)を頼んだり、昼のメニューを聞きにキッチンを訪れるといった気さくな一面については触れるものの、モニカ・ルインスキー事件のようなゴシップ話については記さない。 その理由として、クライアントである大統領夫妻との信頼関係や「自分が首をつっこむことではない」という理由をあげている。
これを残念に感じる向きもあるのではないかと思うが、個人的にはプロフェッショナルとしての矜持を見せて貰った気がする。 やはり、どんなことがあろうとクライアントの悪口を公言するような人間は信用できない。
一方で、クライアントではないホワイトハウス職員とのやりとりについて、著者の筆は遠慮がない。 特にブッシュ夫人の社交事務担当私設秘書となった人物との確執については赤裸々に描いている。
彼女は長年シェフをしてきたプロフェッショナルである著者に対し「野菜の火が通りすぎ」と文句を言い、何冊もの料理本を渡して、レシピや飾り付けをそこに掲載された料理通りにすることを要求したという。 彼女は料理本が載せられている料理の写真が見栄えをよくするため、様々な細工がされ、食べられないものになっていることを知らなかったのだ。
著者は筆を抑えているが、その行間からは強い憤りが読み取れる。 結果として著者はこの確執が原因でブッシュ夫人との関係もギクシャクし、結果的にホワイトハウスでの職を離れることになる。 プロフェッショナルの意見を尊重することもまた大事だと自戒させられるエピソードである。
本書から強く感じられるのは、著者のプロフェッショナルとしての一本通った態度だ。 仕事を成し遂げるために手を抜かず、仕事ができない人間と対立することも辞さない。 著者の仕事に対する信条、
クライアントに決してノーと言わないこと(p.85)
にも強く共感できた。
現代アメリカを語る上で欠かせないものが9・11同時多発テロであるが、本書もまたその影響を受けている。
著者が見たテロの標的とされたホワイトハウスでの緊迫感溢れる様子は興味深い。 混乱するホワイトハウスで「まだ食べ物があるか?」との問いに「いいから、連れてこい」と答えながら、シークレットサービスや警察、その他の食事が必要な人々のために料理を出し続けたという逸話には不覚にも感動してしまった。
ホワイトハウスの裏側を知ることができる上、合間に登場する料理のレシピが掲載されているので、なかなか「美味しい」一冊である。オススメ。
本書によれば、ブッシュ大統領は茹でたり蒸したりした「濡れた魚」が食べられないとのこと。 「あの味が分からないなんて可哀そうな人だ」と思わず考えてしまったことも付記しておく。
_ E-520(ダブルズームキット)を買った
カメラのキタムラに行く前に、その向かいにあるヤマダ電機に寄ってみた。
E-520(ダブルズームキット)は79,800円(税込) + 11%ポイント還元。 キャッシュバックキャンペーンの1万円還元を考えると、61,022円でなかなか良い。
で、キタムラ。
78,600円(税込)に、カメラ引き取りで1万円引き。*1キャッシュバックの1万円を考えると、なんと58,600円。
これは安い! ってことでキタムラで買うことに決めた。
ホクホク顔で帰ってきたんだけど、価格comの掲示板を見てみたら、キタムラで交渉すると、MCプロテクターやバック、カメラの勉強本あたりをオマケで付けて貰えることもあるらしい。 全然交渉しなかったんで、ちょっと失敗したかも。
実は89,000円くらいで出ていた(ただし引き取り割引きはなし)Canon デジタル一眼レフカメラ EOS Kiss X2 ダブルズームキット KISSX2-WKITにも心が動いたんだけど、やっぱり3万円差は大きかった。
完全なカメラ初心者なので、デジイチを使いこなせるか分からしなー。
OLYMPUS デジタル一眼レフカメラ E-520 ダブルズームキット E-520WKIT
オリンパス
¥ 65,000
*1 昔々に貰った10万画素という、今となるとオモチャより劣る代物を持っていった。
2008-09-22(Mon) [長年日記] この日を編集
_ 悪趣味オンパレードな「読者を選ぶ」小説──
カニバリストの告白(デヴィッド・マドセン/池田 真紀子)
いわゆる「読者を選ぶ」類いの小説である。
刑務所に収監されているシェフが自身の半生を語った手記という形でストーリーは展開される。
その内容たるや、タイトルでモロにネタバレしている通りの食人あり、デブで毛深い中年男との同性愛あり、老女とのベットシーンあり、男同士のSMありと、悪趣味のオンパレードだ。
主人公はあくまでも自分のステップアップのためと割り切って、内心で軽蔑しつつ彼らと関係を持つのであるが、実は主人公自身、マザコンの気があるとともに、生肉の塊に欲情する変態なので傍から見れば大同小異といったところである。
エピソードの合間合間に料理のレシピが挿入されているのだが、段々と気色の悪いものになっていくのがおかしい。 なにしろ「牛肉を女性の膣でマリネ」である。 その度合いは推して知るべし。
悪趣味な本作ではあるが、作者は筆を抑えており、きちんと読ませる物語になっているのは見事。 間違ってもオールタイムベストとなる作品ではないが、最後まで楽しんで読むことができる。
まぁ、ここらへんは個人の感性に左右されるので、この手の話が苦手な人は注意のこと(ちなみに、スゴ本のdainさんはモノ足りなかったそうです)。
2008-09-23(Tue) 秋分の日 [長年日記] この日を編集
_ 少々期待はずれだった国際謀略小説──
グリーン・サークル事件 (創元推理文庫)(エリック アンブラー/Eric Ambler/藤倉 秀彦)
1972年に書かれたシリアを舞台にした国際謀略小説が本書。
1920年代に創業したハウエル海運貿易の三代目社長、マイクル・ハウエルは社会主義革命なったシリアで生き残りを図るべく、積極的に政府に協力する道を選んだ。 なんとかシリア政府との合同事業を軌道に乗せたマイクルだが、彼が預かり知らぬ間に立ち上げられた乾電池事業により窮地に陥れられることになる。 乾電池事業にパレスチナ・ゲリラ〈パレスチナ行動軍〉の工作員が潜入し、爆弾製造に利用されていたのだ。 ゲリラの指導者ガレドに脅迫され、一度は渋々協力することを承諾したマイクルだが、代々続く辣腕ビジネスマンの血が唯々諾々と従うこと拒否しはじめた。 マイクルは反撃の機会を窺いはじめる……。
1972年度の英国推理協会(CWA)の最優秀長篇賞(ゴールデン・ダガー賞)に輝いたということで、期待して読みはじめた本書だが、期待はずれだったというのが読了後の正直な感想だ。
その理由はいくつかあるが、まず、なんといっても登場人物に魅力に乏しいことが挙げられる。
主人公のマイクル・ハウエルは名前こそアンゴロ・サクソン系だが、イギリス人は祖父だけで、祖母はレバノン系アルメニア人、母親もキプロス人なので、イギリス人の血は僅かしか流れておらず、自らを「レヴァントの雑種」と呼ぶ。
知りもせずにビジネスに口を出してくる義兄たちに対して
嫌っているわけのではない──ただ、時どき死んでもらいたくなるだけなのだ。(p.70)
と考える、なかなか愉快な男なのだが、自分が巻き込まれることになる事件では、当初はほぼ完全に脅迫に屈していて、読んでいて「もうちょっと反撃してくれよ」とどうにも情けなさが目立ってしまう(リアルといえばリアルなんだろうが)。
魅力のなさについては敵役であるゲリラの指導者、サラフ・ガレドについてもいえる。 たとえば、ガレドがイスラエルの打倒を大義として燃える一方、過去にイスラエルに殺された妻子への想いを胸に秘めている、という二面性を持つような男であれば、それなりに魅力的だったのだと思うが、本作のガレドは虐殺現場の写真を見せびらかす単なる異常者として描かれている。
異常者であっても憎んでも憎みきれないほどの悪人であれば、まだ救いがあるのだが、反抗的なマイクルに「罰を与える」と言いつつ、軽度の火傷を負わせる程度のことしかしないので、かなり拍子抜けしてしまう。
また、ストーリーの起伏のなさも本書が期待はずれだった要因だ。
ストーリー全篇を見渡しても、ほとんど盛り上がる箇所がないのだ。 ラスト近くのアクションシーンでちょっとした盛り上がりがあるのだが、非常に短く盛り上がりと言いのか迷うほどの規模なのである。
今日的な視点で本作を読んだ時、強く感じるのはパレスチナに対するシンパシーのなさである。 テロが決して許されることではないことはもちろんではあるが、あまりにも親イスラエル的な姿勢が目立つように思う。
書かれた時代を考えれば、しかたがないともいえるが、この時代に少しでもパレスチナ寄りの視線があれば、イスラム過激派が暗躍する今日の世界情勢はなかったのではないか。 そんなことを考えた。
- エリック・アンブラー、藤倉 秀彦 訳
- 東京創元社
- 1134円
書評/ミステリ・サスペンス
_ E-520・1日目
E-520を使ってみた。
いやー、デジイチは面白いわ。
カメラについては右も左も分からないド素人だけど、パチパチと撮りまくっていたら、カメキチの人の気持ちがちょっと理解できる気がした。
もう「室内用に明るいレンズ欲しいなぁー」とか「もうちょっと長い望遠欲しいなぁー」とか思っちゃってるもんな。
今日写した写真。
まず、ハナ。
レンズキットの望遠レンズで写したヘリ。
_ フォト蔵がなかなか良さげ
現在、flickrを使っているんだけど、何ヶ月か前にPROが切れてから更新していない。 というのも、良いカメラを持っていなかったので、写真にあんまり興味が持てなかったせいなんですな。
しかし、E-520を買って、俄然写真への興味が沸きはじめると、やっぱり写真共有サービスがどうしても必要になる。
flickrをPROにすればいいかと思っていたんだけど、ちょっと調べたところ、フォト蔵が無料にもかかわらず、なかなか良さげ。
メリットをあげると、
- 標準で1GB/月までアップロード可能。
- コミュニティ活動等でポイントを集めると、最大3G/月までアップロード容量が上がる。
- 元サイズを保持したままのアップロードが可能。
標準で1GBアップと元サイズ保持というのが光っている。
ただし、使い勝手はやはり老舗。flickrの方がひとつ上のようだ。 また、コミュニティ活動でのポイント集めというのが、ちと面倒そうではある。
2008-09-24(Wed) [長年日記] この日を編集
_ 死体を通して中国独特の文化を浮き彫りにする一冊──
「死体」が語る中国文化 (新潮選書)(樋泉 克夫)
中国では古来より「吃人」と呼ばれるカニバリズムがそれほど珍しいことではなかった──そんな衝撃的な内容からはじまる一冊だ。 本書は「死体」を通して独特の中国文化を浮き彫りにしている。
中国人にとって死を迎えた後は、郷土に葬られることがなにより大事なことらしい。 客死した中国人や華僑たちは現地で埋葬されず、様々に相互扶助システムにより何年もかかって故郷に運ばれるという、いわば「死体のインターネット」というべきものが近年まで(もしかして現在も)運用されていると知り驚かされた(当然、その過程で死体は腐敗していく)。 国共内戦で敗北し、タイ北部のゴールデン・トライアングルに逃げ込んだ国民党の残党はせめて頭だけでも、と頭部を北に向けて埋葬されたそうである。
さらに棺に入らず故郷に帰る死体もあったらしい。
死体運搬のプロが大金で請け負い、無事に故郷に運び届けたという。立たせたままの死体の両脇に天秤棒を通し、二人一組で前後を挟んで風のように走り去る。その姿は、まるで三人が整列して駆け抜けるようだったという。(p.51)
著者はその三人の姿を見た人がキョンシーの元ネタではなかったと指摘していて興味深い。
ここまであれば、「郷土愛」と言い表すことができるが、葬儀や埋葬後はそれだけでは済まされない。
中国の葬儀は非常に派手なものらしい。 葬儀そのものも派手ならば、棺と一緒に燃やすものも派手。 冥府で使うための模造紙幣(なんとドル!)ははじめとして、紙と竹ひごで出来た豪邸や車、パソコンやデジカメ、ケータイ、DVDデッキとなんでもござれだ。 これは死者に「あの世」でも心地良く過ごして貰いたいという生者の願いなのである。
つまり、中国人は「あの世」は「この世」とほぼ同じ世界だと考えているということになのだ。 仏教的な「あの世」をなんとなく考えてしまう日本人との文化の差を感じさせられる。
そして、死者もまた生者の奉仕に報いる必要がある。 それを知るために生者は墓を掘り起こし、骨の色で自分たちが金持ちになれるかどうかを知ろうとする。
「この世」も「あの世」も金次第。 まさに「現実主義」なのだ。 前掲のカニバリズムにしても「食べられるものはなんでも食べる」という現実主義の他ならない。
日本ではどんな悪人でも死んでしまえば鞭打たないとするのが文化であるが、中国では一度、憎悪の対象となった者は死してなお徹底的に痛めつけられる。
たとえば、日中戦争中、蒋介石に叛旗を翻し、日本の傀儡政権、南京政府を樹立した王兆銘である。 日本で客死し南京に埋葬された王兆銘は戦後、次のように報復された。
鉄筋コンクリートで頑丈に固められた王兆銘の墓は百五十キロのダイナマイトで爆破され、棺が暴かれ棺から取り出された遺体は焼却され、遺骨は野原に捨てられた。(p.176)
まさに「徹底主義」としか言いようのない復讐である。
「現実主義」と「徹底主義」。 日中関係を考える上で頭に入れたおいた方がいいキーワードだろう。
「死」という誰にも等しく訪れる事象を通して、日中文化の違いを教えてくれる一冊である。
_ Time Machineを使い始めた
OpenSolarisでZFS + iSCSIを動かして、MacBookのTime Machine保存先にしようと思っていたんだけど、どうやらその計画も難航しそうなので、つなぎとして外付けHDDでTime Machineを動かすことにした。
なんか転送速度がWindowsよりMacBookの方が速い気がする。 まぁ、MacBookの方が新しいので当たり前かもしれないけど。
ちなみに買った外付けHDDはこれ→
I-O DATA USB 2.0/1.1対応 外付型ハードディスク 500GB HDCN-U500
2008-09-26(Fri) [長年日記] この日を編集
_ MacBookのトラックパッド設定を変更したら、かなり快適になった
ノートにはマウスを付けない派なので、MacBookにスイッチしてからも全部トラックパッドで作業をしているんだけど、タイピングする時に掌がトラックパッドに当たって、フォーカスが飛んでしまうことが頻発して、その度にムキーとなっていた。
誤動作回避のために[システム環境設定]-[キーボードとマウス]-[トラックパッド]-[偶発的なトラックパッドへの入力を無視]にチェックを入れると、マウスカーソルが耐えられないくらいトロく動くようになって、これもムキーの原因になっていた。
そんなところで見付けたのがMacBook〜トラックパッドの設定を変更。
貼られているスクリーンショットの通り、トラックパッド設定を変更したら段違いに快適になった。 これは良い。
ってことで現在のトラックパッド設定。
英語表記なのは、言語設定を英語にした方が軽いという話を読んだため。
_ Eye-Fiが日本でも発売へ
via ワイヤレスメモリカードEye-Fi、年内に国内で発売へ - Engadget Japanese
これは期待大。
WIRELESS GATEとFonに対応してくれたら最強なんだけど。
あと、イーモバイル + WiFiRouterで、「撮ったら即アップロード」体制もカッコいいなー(画質さえ気にしなければ、ケータイでできちゃうんだけど)。
2008-09-27(Sat) [長年日記] この日を編集
_ 今日の買い物
午後から仕事で、早めに終わったので本屋に寄って買い物。
旅カメラ オリンパス E-520 ワンダーブック (インプレスムック DCM MOOK)(高橋良輔/上田晃司/磯村浩一/吉田浩章/河田一規 ほか)
カメラについてはド素人なので購入。
パラパラと載せられている写真を眺めていると、使用したレンズが書かれていて、つい欲しくなってしまうので、かなり危険な感じだw(←財布的に)
ディファレンス・エンジン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)(ウィリアム ギブスン/ブルース スターリング/William Gibson/Bruce Sterling/黒丸 尚)
ディファレンス・エンジン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)(ウィリアム ギブスン/ブルース スターリング/William Gibson/Bruce Sterling/黒丸 尚)
伊藤計劃と円城塔の解説に、差分事典(ディファレンス・ディクショナリ)の増補版が掲載されているとなれば、旧版を持っていても買わざるをえないよね。
スチームパンクな表紙絵がカッコいい。
2008-09-28(Sun) [長年日記] この日を編集
_ 「測る」ことに人生を捧げた二人の畸人の物語──
世界の測量 ガウスとフンボルトの物語(ダニエル・ケールマン/瀬川 裕司)
タイトルから数学者にして天文学者・物理学者という天才ガウスと、近代地理学の祖フンボルトに関するノンフィクションと思いきや、実は小説だったという本。
「まるで見てきたかのような」という言葉があるが、ノンフィクションだと思って読んでいたら、ホントに「見てきたかのような」記述ばかりで、読みはじめて1/3くらいで、やっと小説だと気付いた次第。 おかしいなぁ、と思っていたんだけどね。
本国ドイツでは2005年秋に発表以来、現在まで130週以上に渡ってベストセラー・リストに名を列ねてきたという大ベストセラーだそうだ。 個人的にはノンフィクションの方が好みではあるのだが、本書の面白さには唸らせられた。
本書はともに「測量」という共通点を持つガウスとフンボルトの半生を交互に描きながら、ラストで交差する彼らの人生を描いている。
本書の読みどころは、なんといっても二人の畸人ぶりだろう。
フンボルトを一言で表せば「測量キチ」である。 蚊の大軍に襲われ、ワニに食われる危険を犯しながら南米のアマゾン川とオリノコ川を行き来し、凍死寸前になりながらチンボラソ山に登る。 ただ「測る」というだけのために。
ひょんなことから測量行に同行することになり、猪突猛進なフンボルトに翻弄され人生まで曲げられてしまったボンプランを哀れに思いつつ、笑ってしまう。
片や、ガウスは「天才とアレは紙一重」を地で行く人である。 結婚初夜の「さぁ、これから」という時に惑星軌道の式を思いついてメモを取り、ナポレオンとの戦争にも気付かない。
「測量」という共通点を持つが、彼らのそれに対する見方は180度といっていいほど違う。 フンボルトは実際に現地におもむき測ることに文字通り命を掛ける一方で、ガウスは計算と観察によって測ることを試みる。 異なるアプローチを取る二人であるが、誰もが避けることのできない老いと凡人には理解されないという悲しみの中で互いを理解していく。
ラストに漂う物悲しさにドイツ文学の香りを感じさせられる一冊だ。
なお、ガウスが子供の時に1から100までの整数をすべて足し算せよという問題を簡単に解いたというエピソードを初めて読んだのは、山本弘の『時の果てのフェブラリー』だった。 懐しかったので付記しておく。
_ 地区対抗の体育祭に出ることになった
競技は大縄跳び。
今日が練習日だったのだが、案の定、欠席率が高く、必然的に回し手になってしまった。
他の競技についても欠席者が多いので、綱引きや玉入れなどの練習にも参加。
朝から昼まで練習して帰宅したら、もう筋肉痛になっていたので、オレもまだ若いかも、と思った(年を食うと段々と痛くなるまでに間が開きはじめるというので)。
2008-09-30(Tue) [長年日記] この日を編集
_ インターネットに乗り出す小企業の武器となりうる一冊──
お客をつかむウェブ心理学 (DO BOOKS)(川島 康平)
タイトルから「情報商材系の本だったらどうしよう」と多少心配しつつ献本申し込みをしたのだが、届いてみたら、そんな心配はまったくの杞憂。 非常に使い勝手が良さそうな一冊だった。
小さな企業がインターネットで宣伝や商売しようと考え、Webサイトの立ち上げを決意したものの、いざコンテンツを作る段階になると「さて、どんな内容を書けば、訪問者がお客様になってくれるだろう?」と考え込んでしまうことが多いのではないだろうか。
SEO屋やなナンやらのその手の(半分アヤしげな)プロに任せれば、ある程度、結果を出してくれるのかもしれないが、このご時世、そんな予算を捻出することも難しい。
そんな企業の強力な武器になりうるのが本書だ。
本書はハロー効果やザイオンス効果、コンコルド効果といった心理法則をもとにしたマーケティング戦略をどのようにWebに落とし込んでいくかを具体的に解説している。
その事例数は50。 どのような業種であっても、このうちの1/3〜1/2は使えるものがあるのではないかと思う。
本書の優れている点は、Webだけの解説で終始せず、まず取り上げたマーケティング戦略についてきちんと説明してから、Webへの落とし込みへと話を運ぶことだろう。 そのため、読み手はその効果に納得しながら読み進めることができる。
本書に記されている手法を書いてしまうのは、ネタバレの謗りを受けるかもしれないが、ひとつだけ紹介しておこう。
心理学用語で「吊橋効果」というものがあるそうである。 映画やコミックで危機を乗り越えた男女の間にいつの間にか恋が芽生えるというアレである。
自動車教習所の教官とその生徒が結婚してしまうケースが多いのも、路上教習という「危機」を乗り越えたせいらしいが、それはさておき、著者は「吊橋効果」を野菜を販売する際のキャッチコピーとして、次のように落とし込む。
「巨大台風18号を生産者川島さんと乗り越えた大根です!」
「無農薬栽培、最大の試練『青虫』から寝ずに守ったキャベツです!」
たしかに、これは購買意欲が高められるなー、と納得した次第。
ちなみに、他の手法では「松・竹・梅の3コースがあった場合、一番利益率が高いのは竹。価格設定も竹へ誘導するようになっている」なんてことが書いてある。 著者の会社で開催しているセミナーでも同様らしいのだが、こんなことを書くと、松や竹を受講する人が減るのではないだろうか、と他人事ながら心配になってしまった。
mixiをはじめとするSNSに書き込んでクチコミを煽るなど、少々関心できない手法もなきにしもあらずではあるが、生き馬の目を抜くビジネスの世界、多少グレーなことを考えないといけないということなのかもしれない(SNSの煽りについては、著者も「グレー」と書いている)。
どのようにWebを作っていいか分からないとお悩みのWebサイト担当者は、同業他社のWebサイトを巡るよりも、まず、本書を読んでみることをオススメしたい。 本書の価格、1,575円(税込)の元は取れるはずだ。
- 川島康平
- 同文館出版
- 1575円
書評/IT・Web
_ なぜドラクエ3・4はリセットボタンを押す必要があったのか?
via http://ayacnews.blog57.fc2.com/blog-entry-4145.html
DQであの音が流れる時ってのは本当の意味でデータが消失した時ではなく、データ内容がそういった理由でおかしくなった時(チェックサムが合わなくなったとき、って書いてわかるかしら)にそのデータを使わせないようにプログラム側からデータを抹消している。
へー x 10回。
ドラクエはIIIまでしかやったことないけど、冒険の書が消えたことは幸いなかったな。
_ flickr PROアカウントを買った
フォト蔵もなかなかいいなぁとは思っていたんだけど、今日までにPROアカウントを買うと、3ヶ月分のおまけが付くということで、flickrにした。
$24.95/year(2年いっぺんに買うと、もうちょっと安くなる)なので、今のレートだと月200円ちょっと。 これにおまけ3ヶ月分を加えると、月200円を切る。
3ヶ月のおまけアカウントはメールでギフトとして送られてくるので、自分のアカウントに追加。 ちなみに、ギフトなので他のユーザにあげることもできる。









Logitec Skype専用 無線LAN携帯端末
フロスト警部DVD 孤独な復讐~フロスト気質~
フロスト警部DVD 狙われた天使~フロスト気質~









まで頂ければ幸いです。
_ 通りすがりです。 [E-520はボディ内手振れ補正なので薄型のパンケーキレンズや 超広角レンズでも手振れ補正が効きます。これはキヤノンや..]
_ poppen [アドバイスありがとうございます。 レンズが多少でも安くなりそうですね。値段と操作感で考えるとE-520が良さそうなの..]