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ぽっぺん日記@karashi.org


2008-08-29(Fri) [長年日記]

_ フロストを読まない人は人生の10%くらい損をしている──フロスト気質 上 (創元推理文庫 M ウ)(R.D. ウィングフィールド/R.D. Wingfield/芹澤 恵) フロスト気質 上 (創元推理文庫 M ウ)(R.D. ウィングフィールド/R.D. Wingfield/芹澤 恵)フロスト気質 下 (創元推理文庫 M ウ)(R.D. ウィングフィールド/R.D. Wingfield/芹澤 恵) フロスト気質 下 (創元推理文庫 M ウ)(R.D. ウィングフィールド/R.D. Wingfield/芹澤 恵)

東京創元社様より本が好き!経由で献本御礼。

邦訳が出版される度に、「このミステリーがすごい!」や「週刊文春ミステリーベスト10」の1位に輝き、また数々の年間ミステリーベストテンにランクインしてきたジャック・フロスト警部シリーズの第4弾が本書。

このシリーズはこれまで未読で、本書を献本して頂いたことをきっかけに第1弾『クリスマスのフロスト』から本書まで、夏休みからの1週間ほどで一気に読んだのだが、いやー、面白いのなんのって、完全にフロストのファンになってしまった。 「フロストを読んでいない人は、人生の10%くらい損をしている」と言っても決して大袈裟ではないのではないかと思う。 マジで。

本シリーズの主人公にして、 よれよれのレインコートに垢染みたスーツ、いつ洗濯したか分からないえび茶色のマフラーがトレードマークのジャック・フロストは、ロンドンから70マイルの地方都市レンドンの警察署に勤める中年の警部だ。 下品かつ悪趣味なジョークを──本書での部下であるリズ・モード曰く、 「時と場所をわきまえず、最も言ってはいけないタイミングで」(上巻・p.244) ──連発し、女性がいればおっぱいとお尻の観察に余念がなく、上司の権威や命令を屁とも思わず、書類仕事はまるでダメ。 しかし、稀代の仕事中毒で、ひとたび事件となれば、文字通り不眠不休で事件解決のために駆けずりまわるという人である。

こう書くと、普段は「昼行灯」扱いされつつも、緊急時には名推理を働かせるタイプの捜査官を想像するかもしれないが、フロストの推理は完全に行きあたりばったり。 なにしろ、まず、第一印象で怪しそうな人物がいれば、証拠もへったくれもなく、その人物を犯人とした「仮説」を組み立て捜査をしてしまうのだ。 予断を持った捜査を戒めたのは京極夏彦の百鬼夜行シリーズ登場の木場刑事だったと記憶しているが、その言から考えると、フロストが展開するのは、まさに「予断入りまくり」の捜査なのである。

そんなメチャクチャな方針で進められる捜査は、当然のことながら、推理が外れることは日常茶飯事の、行きつ戻りつの迷走状態となる。 そこを持ち前の粘り強さと刑事としての勘、そして強運でフロストが解決にこぎつけていくのだ。

がさつを絵に描いたようなフロストだが、同時に情の人でもある。 犯罪被害者はもちろん、心ならずも加害者となってしまった人や小悪党に、自分の手柄そっちのけ、上司の叱責も覚悟で見せる優しさには胸をつかれることもしばしばだ。 清濁あわせ持った人間臭さこそがフロストの最大の魅力といえるだろう。

さて、そんなフロストが活躍するシリーズの第4弾の本書である。

本書のストーリーは、ハロウィーンの夜のデントン市内を警邏中の巡査がごみ捨て場からごみ袋に入った全裸の少年の死体を見付けることから始まる。それは行方不明となり捜索願が出されていた少年だった。折り悪く、捜査を指揮すべきアラン警部はマレット署長に同行しパーティに出席中。 混乱するデントン署にひょっこり現われたのが、署長室に忍び込み煙草をせしめようとしていた休暇中のフロスト警部だった。 アラン警部に引き継ぐまでを約束に現場に向かうフロストだったが、思わぬ展開で捜査を指揮することに……。 さらに連続幼児刺傷犯が現れ、15歳の少女が誘拐され、謎の腐乱死体が見付かり、フロスト警部は自らのキャパシティを超えた事件を抱えつつも解決に奔走する!

巻を重ねるごとにページ数を増してきた本シリーズだが、今回は上下二分冊となった。 その総ページ数は、なんと908ページ!(解説含む) 分厚い本が好きな人間としては、ここは量子真空 (ハヤカワ文庫SF)(アレステア レナルズ/鷲尾 直広/中原 尚哉) 量子真空 (ハヤカワ文庫SF)(アレステア レナルズ/鷲尾 直広/中原 尚哉)ばりの超分厚い一冊本を目指して欲しかった気もするが、実際に読むという面ではこちらの方が望ましいだろう。

フロストの部下となった新米刑事──フロスト曰く、「坊や」──が巻ごとに入れ替わり、人使いの荒いフロストとともに(内心でフロストを罵りつつ)不眠不休で捜査に当たるのがシリーズの恒例であるが、本書ではその役を務めるのは女性(フロスト曰く「嬢ちゃん」)。 前掲のリズ・モード部長刑事がそれだ。

そこに他の署へ出向となったアラン警部の代わりに、フロストと浅からぬ因縁を持つ、強烈な上昇指向の持ち主ジム・キャシディがレンドン署に警部代行として出向してきて混乱に拍車をかける。

シリーズ最大の狡知に長けた犯罪者とフロストとの緊迫したやり取りや、心からスカッとするラストもあって、フロスト・ファンは楽しめること間違いなしの一作に仕上がっている。 もし、フロスト・シリーズを未読の方も、良い機会なので『クリスマスのフロスト』から読み始めることを全力でオススメする次第。 最初にも書いた通り、フロスト・シリーズを読まないのは「人生の10%くらい損をしている」のだから。

巻末に収められた荻原浩氏による解説を読んで驚かされたのだが、作者である R・D・ウィングフィールドは去年、前立腺癌のため亡くなったとのことである。現在、未訳のフロスト・シリーズは、今年出版されて遺作となった一作を含めて残り2冊。 早く読みたいと思う反面、それでフロストにもう会えなくなってしまうかと思うと、読むのを出来るだけ先延ばしてしてしまいたいような不思議な気分になってしまう。 それだけフロストに惚れ込んでしまったということだろうか。

最後に、本書を献本して頂けなければ、フロスト・シリーズを手に取る機会はなかったのではなかったのではないかと思う。 このような傑作を読む機会を与えて頂いた東京創元社様には改めて感謝したい。

誤植

誤植らしきものを見付けたので。

上巻p.78に「リズ・モード巡査部長」とあるけれど、「リズ・モード部長刑事」ですよね?


フロスト気質

Amazonで購入
書評/ミステリ・サスペンス

クリスマスのフロスト (創元推理文庫) クリスマスのフロスト (創元推理文庫)
R.D ウィングフィールド/R.D. Wingfield/芹澤 恵
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_ 我が家に子犬が来た!

県の動物指導センターで犬を譲渡して貰える日だったので、会社を一回休み。 ホントは半休を取ろうとも思たんだけど、車で行くため、結構、時間がかかりそうなのでスパッと休んでしまった。

現地に着いて、犬2匹とご対面ー。

毛色は白と茶。どちらも人懐っこくて可愛いくて、どっちにするか非常に悩んだのだが(両方を貰うことはできない)、結局、前の飼っていた犬と同じ毛色の茶にした。

手続きを終えた後、妻が助手席で犬を抱いて帰った。 帰路、さっそく犬が吐いてしまうという洗礼を受けた。:-)

帰宅後、緊張している感じだったけど、しばらくすると慣れて、用意しておいた犬小屋にも入ってくれた。 とてもおとなしい犬でびっくり。 寂しくて鼻は鳴らすことはあるけれど、まだ一度も吠えていない。

名前はハナにした(妻による命名)。

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さて、明日から10年ちょい、 ハナと暮らす日々がはじまるよ。さっそく早朝から散歩だ。

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