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ぽっぺん日記@karashi.org


2008-08-06(Wed) [長年日記]

_ 脳トレはもちろん、脳科学に興味がある人も得るものがある一冊──未来の記憶のつくり方―脳をパワーアップする発想法 (DOJIN選書 19)(篠原 菊紀)

化学同人様より本が好き!経由で献本御礼。

脳システム論、健康教育学を専門とする著者が記憶をテーマに記したものが本書。

いまだ人気の衰えない「脳トレ」ブームの第一人者が著者だけに、脳トレ一色の本と思いきや、さすがは化学同人。 脳トレの根本になる記憶とその背景にある研究についても教えてくれる一冊となっている。


未来の記憶のつくり方

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書評/サイエンス

本書は大きく分けて2つのパートから構成されている。

第1部では様々な脳と記憶の仕組みが解説されているのだが、その中でも目をいたのが「偽の記憶」というエピソードである。 たとえば、それは催眠術によって本人の奥底に隠されていた記憶が呼び出されるというものだ。 虐待事件やUFOによる誘拐事件などに、よくあるケースなのだが、本書によれば、催眠療法家が期待している内容を患者が無意識に喋ることが多々あるそうである。 著者はそこから敷衍し、公開除霊や霊視セミナーなどがなぜうまくいくかを解説している。

また、目の端を横切る幽霊の原因が桿体細胞にあることや、左右の視力差が引き金となって幻視を見る「シャルル・ボネ症候群」、人工内耳により幽体離脱を繰り返してしまう症状など、魑魅魍魎を見ることについての機能が説明している箇所も、オカルト方面好きとしては非常に面白かった。

つづく第2部では、著者は脳を鍛える方法とともに、物事を効率よく記憶するための方法を具体的に解説している。 詳しい解説は本書に譲るが、その中でも個人的に興味深かったのが、次の記述だ。

記憶したい事柄を覚えようとするときには「感動する」ことです。「なるほど、そういうことか」「これはすごい」などと、あえて感動を付加すると、記憶がつくられやすくなり、かつ忘れにくくなります。(p.140)

なるほど。 言われてみれば、本を読んでいる時でも「おっ、これはスゴい!」と思うものほど、後々まで記憶に残っているものである。 今度からは、なにかを覚える必要がある時には「へー!」や「えっ、マジ!?」などといちいち驚きつつ読んでみようかと思う。

さらに脳トレといえば、前頭葉の活性化であるが、実は暗算など世間一般に難しいとされることをやっても、それが自分が得意なことであれば、それほど活性化されないそうである。 それよりも不得意なことをやる方がぐんと活性化されるとのこと。 その際、そのトレーニングが成功したかどうかは関係ないのだそうだ。 つい問題が(解けない|達成できない)と恥ずかしくなり、トレーニングをやめてしまいたくなるが、「これは難しいぞ。前頭葉がバリバリ活性化しそう」などと考えながらやる方が長続きしそうである。

その他、少し前に流行した「おしりかじり虫」という歌の脳への影響や、どのようにゲームで脳を鍛えるかなどの話題も盛り込まれており、脳トレはもちろん、脳科学に興味がある人も得るものがある一冊ではないかと思う。

最後に本書に内容でちょっと面白かったことを。 著者はパチンコを打っている時の脳の状態を研究しているそうであるが、その際、次のような現象が生じるそうである。

わたしたちは、つい、わくわくどきどきの大興奮を提供する台こそ人気が出る、人気のある台では、ユーザはみな興奮している、と思いがちです。しかし、結果はま逆。海シリーズ(ハイパー以外)や京楽系やニューギン系のいい台ほど、急速に大脳新皮質の活動が低下します。落ち着いてくるのです。(p.70-71)

パチンコには詳しくないので、実は「いい台」の意味が分からなかったりするのだが、台の具体名を出して解説するあたり、著者のパチンコ好きが垣間見えておかしかった。

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