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2008-07-10(Thu) [長年日記]

_ カバー画は恥ずかしいが、正統派のSF短篇集── 天体の回転について (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)(小林 泰三)

小林泰三の短篇集が本書。

先日読んだ『モザイク事件帳』はミステリーものだったが、こちらは正統派のSF(とちょいホラー)ばかりが収められている。

収録作は次の8篇。

  • 「天体の回転について」 
  • 「灰色の車輪」
  • 「あの日」
  • 「性交体験者」
  • 「銀の舟」
  • 「三〇〇万」
  • 「盗まれた昨日」
  • 「時空争奪」

会話文の最後に必ずハートマークを付けてしまう萌えキャラが軌道エレベータやラグランジェ点、ホーマン軌道などを説明してしまう宇宙啓蒙萌えSF(?)の表題作、ロボット三原則をテーマにした「灰色の車輪」以外は、ほとんどが既読であることも手伝って、「いまいちだなー」と思いつつ読んだのだが、トリを飾る書き下ろしの「時空争奪」が出色のデキで大満足。

なんといっても、今までにない視点で歴史改変を描いている点が素晴しい。 小林泰三らしく、本筋とはあまり関係ないがクトゥルフな要素が入っている点もファンには嬉しいところだ。

カバー画がちょっと恥ずかしいが、収録作に未読のものが多い読み手であれば楽しめるのではないかと思う。

ちなみに、SFマガジン掲載時には気付かなかったが、「三○○万」って映画の300〈スリーハンドレッド〉のパロディなんだね。