ぽっぺん日記@karashi.org
2008-04-25(Fri) [長年日記]
_ 大人しい一般人の仮面の裏に隠された暴力性を暴き出す戯曲──
21世紀を憂える戯曲集(野田 秀樹)
野田秀樹が手掛け、最近上演された戯曲を収めたものが本書。
本書には三本の戯曲が収録されているが、 太平洋戦争とイラク戦争をオーバーラップさせアメリカの正義を問い掛ける「オイル」については「石油を欲して戦争を引き起こすアメリカ」という図式がどうにも単純すぎるように感じられたし、 プロレスとミライ村虐殺事件を重ねた「ロープ」についても、その意義が掴めず(戦争の劇場化などの問題提起がされていると思うのだが)今一つピンとこなかったというのが正直な感想だ。
ただ、残る「THE BEE」については、掛け値なしにスゴイ作品だと思った。 自宅に立て籠った脱獄犯に妻と子を人質に取られた会社員が、報復として犯人の妻子を人質にして立て籠るというのが骨子なのだが、ごくごく平凡な人間だったはずの会社員が脱獄犯よりも暴力性を加速させ、冷徹に人質の子供の指を切断し、その妻をレイプするという凄まじい展開になる。
大人しい一般人の仮面の裏に隠された暴力性を暴き出し、我々が持つ倫理観を揺さぶってくる問題作といえるだろう。
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