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2008-03-16(Sun) [長年日記]

_ 怪獣オタク趣味爆発な傑作SF── MM9(山本 弘)

しばらく積ん読にしておいたのだが、読んでみたらめちゃくちゃ面白くて一気読み。これは大傑作ですよ。

怪獣が実在し、自然災害として見なされている世界を舞台にした怪獣+SF小説が本書。

世界有数の「怪獣大国」である日本において、怪獣に敢然と立ち向かうスペシャリストたちが、科学特捜隊(通称「科特隊」)ならぬ、気象庁特異生物対策部(通称「気特対」)だ!──という、山本弘の怪獣オタク趣味が大爆発な作品なのだが、元ネタを知らない人でもちゃんと楽しめるエンターテイメントに仕上がっているのは素晴しい。怪獣を真面目に考察して、それを成立させるのに多重人間原理を持ち出してくるあたりも、SF作家の面目躍如たるものがある。

さらに、ちょっとネタバレだが、クトゥルフ神話が入ってくるのも、クトたん好きとしては嬉しいところ。*1原典ではいまいち意味不明だった〈旧神〉や〈旧支配者〉という固有名詞にきちんと意味を持たせたのには、さすが『クトゥルフ・ハンドブック』を上梓した著者だけのことはあると感心させられた。

気特対は、あくまでも怪獣出現の予報と退治の計画立案だけで、実際の戦闘は自衛隊が受け持つという設定になっているのだが、この世界では自衛隊も結構、人気の職業になっているかも知れないと思ったり。小学生の「なりたい職業」の上位に食い込んだりとかね。

ラストできれいに収斂している作品なので、ちと野暮かも知れないが、一読者としては続篇やスピンオフにも期待したい。

なお、なにかと裸の少女を登場させることで有名な著者だが、本作でも全裸の少女が大活躍しているぞ(怪獣だけど)。 映画化の障害というのは同意(笑)。

*1 ウルトラマンティガでもクトゥルフ・ネタを使っていたらしいので、その影響もあるかも知れない。