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2008-01-24(Thu) [長年日記]
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影の棲む城〈上〉 (創元推理文庫)(ロイス・マクマスター ビジョルド/Lois McMaster Bujold/鍛治 靖子)
東京創元社様よりで本が好き!経由で献本頂きました。御礼申し上げます。
ロイス・マクマスター・ビジョルドによる10世紀から15世紀頃のイベリア半島をモデルにした異世界ファンタジー〈五神教〉シリーズの第2弾が本書。 さすが、ヒューゴー、ネビュラ、ローカスの三賞受賞は伊達ではない。 文句なしに太鼓判を押せる大傑作だ。
舞台は、前作『チャリオンの影』から3年後。カザリルの活躍によりチャリオン王家にかけられていた呪詛は解かれたものの、現チャリオン国主イセーレの母にして元聖女、イスタに付けられた「狂女」の烙印は消えることがなく、彼女は城から出ることのない憂鬱な日々を送っていた。 庇護すべき母は既に亡く、すべての義務から解放された身でありながら、このまま一生を城の中で送ることになるのか。 自分の生き方に疑問を覚えたイスタは周囲の反対を押し切り、わずかな伴を連れての巡礼の旅に出ることを決意する。 それが聖女として新たな使命を果たす旅になるとも知らずに──。
本書では、『チャリオンの影』のカザリル、イセーレ、ベトリスら主人公級の登場人物は姿を見せず、名前に触れられるだけに留まっている。 代わって主役と務めるのが、国太后となったイスタ(40歳)。 前作では、エキセントリックな言動ばかりが目立ってイマイチどういう人物なのか掴めなかった彼女だが、本作では、次々に襲いかかる危機を、時に神に祈りを捧げながら、また時に神を罵倒しつつ、持ち前の決断力で乗り越えていく芯の強さを持った女性として描かれている。強さだけではなく、美丈夫な男性にドキドキするような可愛らしさもあって、オレ的「萌え」のツボを突かれまくった。
イスタの巡礼の旅にお伴をするのが、前作でも活躍した姫神の騎士フェルダとフォイのグーラ兄弟、馬を駆る急使でありながらイスタの侍女兼馬丁として急遽雇われた元気娘リス、純情そうな外見とは裏腹に女性へ手を出すのが早いらしい、太っちょな庶子神神官カボンといった、前作以上にキャラ立ちした登場人物たち。 そこに、ポリフォルス砦を守護する騎士アリーズやその奥方カティラーラ、目覚めることのない眠りに就いたアリーズの異父弟イルヴァン、果ては、前作ではちらっとしか姿を現わさなかった神々(イスタに、スケベ中年じみたセクハラを仕掛ける庶子神には笑った)や、「魔」が加わって、怒涛のストーリーが展開されてしまう。 ビジョルドの卓越したストーリーテリングにぐいぐい引っ張られて、睡眠時間が奪われること必至なので注意すること。
全篇、山場ばかりと言っても過言ではない本書だが、その中でも、砦を包囲した敵の大軍に夜襲をかけるべく集結したアリーズ率いる決死隊(その数、わずか14名!)に、イスタが祝福を与えるシーンがなんといってもいい。 イスタがアリーズに伝えた言葉がなんとも感動的で、ちょっと涙腺が緩くなってしまった。
訳者あとがきによれば、本書につづく〈五神教〉シリーズ第3弾は、同じ世界ではあるがチャリオンを離れ、国も登場人物も重ならないストーリーになるとのこと。 もう少しチャリオンの人々の物語を読んでみたいような気がして、少々残念ではあるが、そこはビジョルドのこと、退屈する作品にならないことだけは間違いない。 一日も早い刊行を望みつつ、首を長くして待っていることにしよう。
影の棲む城〈上〉 (創元推理文庫)
東京創元社
¥ 1,008
影の棲む城〈下〉 (創元推理文庫)
東京創元社
¥ 1,008
- ロイス マクマスター ビジョルド
- 東京創元社
- 1008円
書評/SF&ファンタジー





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