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ぽっぺん日記@karashi.org


2008-01-03(Thu) [長年日記]

_ コーヒーの真実―世界中を虜にした嗜好品の歴史と現在(アントニー ワイルド/Antony Wild/三角 和代) コーヒーの真実―世界中を虜にした嗜好品の歴史と現在(アントニー ワイルド/Antony Wild/三角 和代)

長年コーヒー取引に携わってきた著者が、コーヒーの歴史とともに、コーヒー栽培農家が搾取される現実を浮き彫りにしているノンフィクション。コーヒー好きとしては、複雑な心境になってしまう一冊だった。

本書によれば、グローバリゼーションが進んだ結果として生じたコーヒー豆の価格破壊により、コーヒー1杯につき農民が受けとる利益はわずか1セント(それも寛大に見積って)になっているという。 当然、それだけの利益で生活が成り立つ訳もなく、農民は貧困にあえぐこととなる。 この構図を、著者は宗主国が多国籍企業に変わっただけの植民地化だと指摘している。

じゃあ、農民に市場価格での買い取りを保証するフェアトレード(公平貿易)のコーヒー豆を買えばいいんじゃね? という話になるが、それもフェアではない価格で買い上げられた豆を売る企業の免罪符として使われる可能性があり、完璧な解決手段とは言えない。 実に根の深い問題なのだ。

本書では、コーヒーを扱う企業の誉められない数々の戦略──カフェインの副作用を低く発表するよう研究機関に圧力を掛ける等──が明らかにされているが、その中でもインスタントコーヒーについてのくだりが、一日3杯以上、場合によっては10杯近くのインスタントコーヒーを飲む身としては非常に興味深かった。

著者によれば、インスタント・コーヒーとコーヒーの共通点は、

どちらもコーヒーという言葉を用いて表現されることだ。それ以外は、いかなる類似も大部分は偶然にすぎない。(p.211)

とのこと。

インスタント・コーヒーのメーカーは、コーヒーらしさを出すために、様々な「ごまかし」(良く言えば、「工夫」)を加えている。 本物のコーヒーに比べても高い比率のカフェインを加えているのもそのひとつ。 その他、消費者の無意識を刺激するため、インスタント・コーヒーの見た目を粉挽コーヒーの見た目と似せているし、インスタント・コーヒーの瓶の上部に、挽いたコーヒーのアロマに似たものを注入している。 インスタント・コーヒーの封を切った時に漂い出す香りに、「やっぱり、新しいコーヒーはいいなぁ」なんてことを思ったことがあるので、まんまと騙された訳だ。

さらに、本書はコーヒーの歴史にも全323ページのうちの半分近くを当てており、ただの批判本にはない深みを与えている。

コーヒーが日本の禅宗の成立にも影響を与えたというイスラム教スーフィー派の儀式に用いられたという逸話や、イギリスでの啓蒙運動の発展の場となったコーヒー・ハウス*1、アメリカで大々的にコーヒーが飲まれることの原因となったボストン茶会事件、チコリコーヒーは元々、ナポレオンが発した大陸封鎖令の時に代用コーヒーとして考案された、などなど、非常に面白いエピソードが満載だ。

重いテーマなだけに、おもしろおかしい語り口に代表されるエンタメさはあまりないが、コーヒー好きであれば、読んで損のない一冊と言える本だろう。

*1 ちなみに、イギリスと言えば紅茶だが、紅茶が習慣的に飲まれるようになるまでは、紅茶よりコーヒーの方が飲まれたとのこと。

_ 今日のできごと

  • 今日も6時前に起きて雑煮作り。三が日も終わりなので、今年は今日で最後。
  • 午前中は仕事をしたり。
  • 午後は親戚に挨拶をしに行った。
  • 夕飯を食べた後、ローマ帝国のテレビ番組を見たりしながら、だらだら過ごす。
  • 明日の仕事初めにそなえて、もう寝ようかなと思う。←今ここ。

以上で、正月三が日、終了ー。

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