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2007-12-28(Fri) [長年日記]
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アンダーカレント アフタヌーンKCDX(豊田 徹也)
講談社社様より本が好き!経由で献本して頂いた。講談社様および本が好き!プロジェクトに感謝致します。
月刊「アフタヌーン」に連載され、2005年に単行本としてまとめられた豊田徹也によるコミックが本書。奥付によれば、2007年11月で第5刷ということである。ロングセラーと言っていいだろう。
タイトル「アンダーカレント」(undercurrent)の訳が、扉に書かれている。
- 下層の水流、底流
- ((表面の思想や感情と矛盾する))暗流
この言葉の通り、本書は、人と人との関係の下に流れる潮流を静かに描き出している。
本書の主人公は、家業である銭湯を継いた三十代初めの女、かなえだ。 なんの前触れもなしに失踪した夫に困惑しつつも、彼女が休業していた銭湯を再開するところから本書は始まる。 銭湯の営業は、組合の紹介で手伝いに入った、どこか影のある男、堀のおかげで順調に回り出す。 友人の薦めから、かなえは探偵に夫の捜索を依頼するのだが、探偵は、かなえが夫のことを理解していなかったことを指摘する。「少なくともあなたよりはわかっているつもりです!」と反発するかなえだが、探偵が突き付ける「人をわかるってどういうことですか?」という鋭い問いに、答えに窮してしまう。
調査が進むにつれ、夫の隠されていた顔が明らかとなり、それとともに、かなえや堀の隠されていた過去が浮かび上がっていくのだが、本書においては、それは劇的な展開へと繋がる訳ではない。 すべては、 かなえが一人、または堀と共に、沈黙の中で風呂掃除をするシーンに代表されるように、静謐な雰囲気な中で静かに進行していく。余韻の残るラストについてもそうだ。
率直に言って、作者の描く絵柄は斬新なものではない。どちらかと言えば、「どこかで見たような」と表現できるものだろう。しかし、沈黙や表情、行間ならぬ「コマ」間で駆使し、登場人物の内面を表現していくストーリー展開は、まさに一級品で、本書を傑作に至らしめている。
Wikipediaによれば、本作以後、作者は短篇2本を発表しているのみとのこと。 ただ、2本のうち1本は、「アフタヌーン」2008年1月号に掲載されたとのことなので、それほど遠くない時期に、作者の新しい作品を読む機会が訪れるかも知れない。期待したい。
- 豊田 徹也
- 講談社
- 980円
書評/ライフスタイル





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