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2007-11-16(Fri) [長年日記]
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秋田連続児童殺害事件―警察はなぜ事件を隠蔽したのか(黒木 昭雄)
本が好き!経由で献本して頂いた。感謝。
元警察官という経歴のジャーナリストである著者が、2006年4月に発生した秋田県連続児童殺人事件の闇に迫っているのが本書。
現在、裁判が進行し、犯人である畠山鈴香被告が取調べに際して自白を強要されたと主張し、また「極刑を望む」と発言するなど、注目を集めている本件だが、第一の殺人事件──被告が実の娘である畠山彩香ちゃんを橋から突き落としたとされる事件──の捜査段階において、警察による数々の失策があったことは、数々の報道により知られている。
著者は、それらの失策が、実は「失策」ではなく、何らかの隠された意図の元に故意に行なわれたものではないかとの疑いを投げかけている。
その根拠として、本書は幾つもの事実が挙げている。例えば、以下のようなものだ。
- 彩香ちゃんの遺体が発見された際、警察は非常に早い段階で、事件性はなく、単なる事故だと断定し、聞き込み捜査等はおざなりにしか行なわれなかった。
- 当初「外傷なし」とされた彩香ちゃんには、実は頭部・頸部に骨折があった。
- 警察犬が「彩香ちゃんが川に転落場所」として特定したとされた河原は、被告が彩香ちゃんを橋から突き落とした場所とは全く違う場所だった。また目撃者の証言によれば、その河原には、警察犬が導いたのではなく、実際には捜査員が警察犬を引っ張っていったという。
著者は、これらが示すものは「事件にしない」という警察の意図的な工作だと結論づけている。なぜ、そのような工作を警察が行なわなければならないのか。著者は秋田県警と畠山鈴香被告の間に何らかの秘密が隠されているのではないかと推測する。
「彩香ちゃん事件」が発生した際に適正な捜査が行なわれていれば、第二の事件──米山豪憲くんが殺害された事件が発生しなかったという、著者の意見には深く同意できる。その点で警察の責任は追求されるべきだろう。 ただ、これが事件化を阻止するために行なわれた意図的なものだという見方には、その「隠蔽されなければならない秘密」の具体的な内容が提示されていないこともあって、完全に与することはできない。
また、その根拠とされている証言等も伝聞調のものが多く、果たして裏付けが取れているのかどうか疑問に思うところもある。
警察犬の捜査活動に関する「警察犬活動状況報告書」が民事裁判で明らかになれば、警察が「彩香ちゃん事件」を握り潰した動かぬ証拠となると著者は述べている。事件の真相に明らかにするためには、さらなる取材が必要だろう。
謎の多い事件の究明のためにも続篇が望まれる。
- 黒木 昭雄
- 草思社
- 1365円
書評/ルポルタージュ






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