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ぽっぺん日記@karashi.org


2007-09-15(Sat) [長年日記]

_ svk pullの動作がちょっと想定と違う件

svkを使い始めてから、そんなに日が経っていないんだけども、すげー便利で開発には欠かせないものになっている。

で、使っていて一つだけ「なんでかなー?」と思っているのが、svk pullの動作。サーバのレポジトリから変更分を取ってくるコマンドは

% svk pull //project_x
% cd /path/tp/repos/project_x
% svn up

で済ませたいところなんだけども、実際は

% svk sync //mirror/project_x
% svk pull //project_x
% cd /path/to/repos/project_x
% svn up

としてやらないと更新をしてくれない。ここだけ、ちょっと気持ち悪いので、なんとかならんかなーと思っていたり。

まぁ、なんとかならなくても、コマンドが一つ増えるだけなんだけどね。:-)

_ 戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)(デーヴ グロスマン/Dave Grossman/安原 和見) 戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)(デーヴ グロスマン/Dave Grossman/安原 和見)

これはスゴイ本。今年読んだノンフィクションの中で、最も衝撃を受けた一冊と断言できる。

本書は、これまでタブーとされてきた「戦闘における殺人」──訳者の言葉を借りれば、戦場という地において、「なぜ人は人を殺すのか」、また「なぜ人は人を殺さないのか」を心理学的アプローチから読み解いている。

訳者あとがきによれば、著者デーブ・グロースマンは

心理学者にして歴史学者、そのうえたたき上げの軍人でもある。それも一兵卒をふりだしに下士官、将校と昇進し、いまは中佐(引用者註:1998年のこと。現在は退役)としてアーカンソー州立大学で軍事学教授を務めている。おまけにレンジャー隊員や落下傘部隊員の資格までもっており、まさに最精鋭の実戦部隊に属してきた(p.508)

という文武両道を地でいっているスゴイ人。こんな人だからこそ書けた本だと言えるだろう。ちなみに裏表紙によれば、本書はウェストポイントの陸軍・空軍士官学校で教科書として使われているとのことだが、決して専門書ではない、一般人でも(それこそ軍事に興味のない人でも)読めるリーダビリティの高い本となっている。

本書を読んで、驚かされるのが、戦場で「殺らなければ、自分が殺られる」という状況になったとしても、兵士は敵兵士を殺すことを躊躇ってしまうという分析だ。

本書で引用される米陸軍准将S・L・A・マーシャルの研究によれば、第二次世界大戦中の戦闘では、米兵の10〜15%しか敵に向かって発砲していない。たとえ、自分たちの生命が危険にさらされている時であったとしても、彼らは発砲しなかったのだ。しかし、これは米軍に限ったことではない。どの国の兵士にも言えることであり、また、時代に関係なく言えることなのだ。 著者は、そこに人間が本来持つ殺人に対する強力な抵抗感があると見る。

では、どのような状況で、兵士は殺人を犯すことに抵抗を覚えないのか。著者は様々なデータを駆使して多面的に分析していく。

一例を挙げておこう。本書が挙げる要素の一つが「距離」だ。距離があればあるほど、兵士は殺人について心理的な抵抗感を感じることが少なくなってくるという。たとえば、航空機による爆撃、ミサイルにとる攻撃、火砲による砲撃──つまり、相手の顔が見えない距離での殺人は、最も心理的抵抗感が少なく、逆に素手やナイフを使った相手の顔が見える殺人は、最も抵抗が大きくなる。相手との間に航空機や戦車、艦船などの機械が入れば、さらにその心理的抵抗は小さくなる。

この理論から考えれば、

  • ドレスデンや東京を空襲した爆撃機クルーや、広島、長崎に原爆を投下したB-29クルーの心理
  • 航空機パイロットや艦船の火器オペレータの心理
  • p.205で引用されている、日本軍狙撃手を近距離で射殺し謝りながら嘔吐した海兵隊員の心理

といったものが容易に推測できるようになるだろう。

マーシャルの研究に驚愕した米軍は兵士に対して、パブロフの犬と同種の「条件づけ」を含む訓練を施し、朝鮮戦争では55%、ベトナム戦争では90〜95%と、発砲率を驚異的に向上されることに成功する。しかし、それはあくまでも「無意識に」行なわれるものであり、その後の精神的なストレスまでをも減じるものではなかった。その結果、ベトナム戦争では、帰還兵に向けられた強烈な社会的な非難と相俟って、兵士の多数がPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむ惨状となってしまった。その数は、少なくみて50万人、多ければ150万人という厖大なものに昇るという。

ここで考えてしまうのは、イラク派遣後の自衛隊において自殺者やPTSDを訴える兵士が増えているという現状だ。イラクに派遣された自衛隊は戦闘を行なった訳ではないが、危険が予想される地域で任務を遂行するには、多大な精神的ストレスを感じたであろうことは想像に難くない。その上、彼らは帰国後、大きな賞賛を受けた訳ではない。逆に、一部メディアは、彼らの遂行した任務を非難する報道を行なった。言ってみれば、ベトナム帰還兵ほど酷くはないにせよ、彼らには「社会的な受容」が行なわれなったのだ。その結果として起きたのが、自殺やPTSDではないのか。

自衛隊の海外活動を積極的に推進してきた安倍総理が退陣し、これから先、自衛隊が海外に派遣される機会が増えるのかどうかは、はっきりしない現状だが、政府や自衛隊も兵士に対する精神的なケアについては充分に考えて欲しいと心から願う。

最後に本書で一番印象深かった、ある将校の言葉を引用しておく。

「戦闘で命を落とすとき、兵士はよくお母さんと言うんだ。あれは胸が痛む。私はもう五ヵ国語で聞いている」

最後に母を呼ぶのは国籍を越えて共通のことのようだ。もし(そんなことは今のところありえないが)自分が戦場に行き、斃れることになったとしたら、母のことを呼ぶのだろうか。そんなことを考えてしまった。

人間の本質を鋭くえぐった一冊だ。軍事に関心にある人だけでなく、すべての人にオススメしたい。

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