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2007-09-08(Sat) [長年日記]

_ 奇想科学の冒険―近代日本を騒がせた夢想家たち (平凡社新書)(長山 靖生)

明治から昭和初期の、ちょっと普通じゃない科学で、人類の進歩や豊かな未来を実現することを夢見た人たちを紹介しているのが本書。

地動説に反論して地球平面説を唱えたり、帝国主義を進化論で補強してみたりと、現代であれば、「トンデモ」のレッテルを貼られてしまいそうな主張が多い訳なのだが、そんじょそこらのトンデモ科学者たちと彼らが違う点は、彼らが最先端の科学を取り入れようと常に努力し、人類の未来のためにという情熱を忘れず、理想実現のために突き進んだことだろう(方向性こそ、ちょっとずれていたが)。

本書で紹介されている夢想家たちの中でも、個人的にツボだったのは、下記の二人。

  • 明治27年の段階で、化石燃料に代わる代替エネルギーの必要性を説き、他の恒星系への移民まで主張してしまった、SFマインド豊かな(?)加藤弘之。
  • 「心あるロボット」を目指し、日本最初のロボット「学天則」を作った西村真琴。

特に、西村の「心あるロボット」というコンセプトは、欧米の「ロボット=労働力」という考えとは一線を画き、日本人のロボット好きマインドの礎となったと言っても過言ではないだろう。なお、水戸黄門で有名な俳優の西村晃は、西村真琴の次男だそうである。

近代日本の裏・科学史と言ってもいい一冊だ。

Tags: 読書

_ トレジャー・ハンター八頭大ファイル〈1〉 (ソノラマノベルス)(菊地 秀行/米村 孝一郎)

通りかかった古本屋の105円均一ワゴンに入っていたので保護。

「エイリアン」シリーズは、リアル厨房の時にすげー大好きで、『エイリアン魔神国』までは読んでいた。*1

「懐かしいなー」と思いつつ読んだんだけど、今読んでも面白いのは凄い。今では菊池秀行というと、エロス&バイオレンスの泰斗ということなっているけど、「エイリアン」シリーズはヤングアダルト向けということで、そこら辺も抑え目(当たり前だ)。純粋にストーリーを楽しめる内容となっている。

この本に収録されているのは

  • エイリアン秘宝街
  • エイリアン黙示録

の2篇。ストーリーの流れとしては、『秘宝街』と『黙示録』の間に、『エイリアン魔獣境I・II』が入るんだけど、分量的に収まりが悪いので、2巻に回すということにしたようだ。

それぞれの感想を書いておくと、まず、『秘宝街』は文句なしの面白さ。特に、よだれ長者や北海道・羅毛村でのエピソードはピカイチだ。ラブクラフトの『ピックマンのモデル』へのオマージュも効いている。

一方、『黙示録』だが、まぁ、面白いことは面白いんだけども、今読むと、

  • エドガー・ケイシーを「大預言者」と持ち上げている
  • 青森県の新郷村がキリストの墓があるとしている(有名な話だけど、完全なインチキ)

といったオカルト的側面がイタイ。「小説だからネタとして書いているんじゃね?」という向きもあるだろうが、文庫版の時のあとがきで、作者が「近代科学の最先端が、死者の声に関心を示す時代に私たちはさしかかっています」と書いているので本気だったのだろう(今はどうだか知らないが)。『黙示録』が出版された1984年と言うと、オカルトブーム真っ只中だったりするので、これを読んで、人生で転んだ人がいなければいいなぁ、と思うが。

しかし、挿絵は、なんで天野喜孝じゃねーのかなー。米村考一郎も嫌いじゃないが、ちょっと八頭大がワイルド過ぎる感じがする。 ここだけは、ちょっと納得できない感じ。

出版社である朝日ソノラマは9月で廃業ということで、10月からは朝日新聞が出版業務を引き継ぐということなのだが、「エイリアン」シリーズの続きも、ちゃんと出るといいなぁ。

*1 残念ながら、コレクションは、実家の建て替えの際に処分してしまった。