ぽっぺん日記@karashi.org
2007-07-05(Thu) [長年日記]
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あなたはコンピュータを理解していますか? 10年後、20年後まで必ず役立つ根っこの部分がきっちりわかる! (サイエンス・アイ新書)(梅津 信幸)
いちおう、コンピュータをいじったり、プログラムを書いたりして日々の生活の糧の幾許かを得ている身でありながら、 恥ずかしながら、コンピュータの本質というものについては全く理解していなかった。 そんな状況を打破しようと、「本が好き!」プロジェクト経由で献本して頂いたのが、本書『あなたはコンピュータを理解していますか?』だ。
結論から言えば、平易な言葉でコンピュータの本質を解説した本書は、名著と言って過言ではない一冊だった。 サブタイトルの『10年後、20年後まで必ず役立つ根っこの部分がきっちりわかる!』という文句は伊達ではない。 本書を読むことにより、コンピュータがブラックボックスとしか感じられなかった人も、その本質を(少なくともぼんやりとは)理解できるようになるだろう。アマ、プロ問わず、普段からコンピュータに触れている全ての人にお薦めしたい。
巷に溢れる初心者向けのコンピュータ解説本を読んだ方であれば分かると思うが、その手の本の頭の方には、こんなことが書いてあるのではないだろうか。
CPUはコンピュータの心臓部で、人間でたとえれば、頭脳に当たる部分です──
しかし、本書では、CPUとはなんぞや、というようなことには触れられていない。では、なにが語られるのか。 まず、第1章では「情報量(エントロピー)とはなにか」という、情報科学の基礎とも言えるものが語られるのだ。
「情報量」や「エントロピー」などと書くと、一見、ひどく難しそうである。ところが、本書では、そのひどく難しそうな事柄を、なんとインスタント味噌汁の濃さという、なんとも親しみやすいものとして表現し、非常に平易に説明する。 続く、第2章以降でも、その親しみやすさは変わらない。情報理論の「チャネル」を石油パイプとして例え、有限オートマトンを自動販売機として例え、メモリを升として例えることにより、高度な情報科学を分かりやすく解説していく。
個人的に一番感心したのが第5章『師宣わく「未来は常に移り変わっている」』だ。この章の前半では、ソフトウェアのバグがないことを証明することが不可能であるということと、プログラミングが明確な基準がいまだ確立されていない発展途上の技術であるかを解説している。特に後者について説明している初心者向けの本は、本当に稀ではないだろうか。一般ユーザは、ここらへんを知って、少しぐらいバグがあっても、致命的でなければ、大目に見て貰いたいものである。ヘボ・プログラマ(本職ではないので、職業的には1/4くらい)の願いだ。
本書は以前出版された同名の書籍の改訂版とのことである。旧版の価格は1,869円で、本書はその半値近い945円である。このような良書が 低価格で手に入れられる意義は非常に大きいと思う。出版社であるソフトバンク・クリエイティブの努力には敬意を表したい。
なお、最後に蛇足ではあるが、本書が気に入った人、なおかつSF好きな読者には
クリプトノミコン〈1〉チューリング (ハヤカワ文庫SF)(ニール スティーヴンスン/Neal Stephenson/中原 尚哉)から始める『クリプトノミコン』四部作の併読をお薦めしたい。楽しめることと思う。
- 梅津 信幸
- ソフトバンク クリエイティブ
- 945円
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