ぽっぺん日記@karashi.org
2007-02-22(Thu) [長年日記]
_ [読書感想]
ロンドンの同じ閑職っぽい職場で働く、孤独で冴えない定年間際の男女4人の日常を、いかにも英国を彷彿とさせる、乾いてはいてもユーモア漂う筆致で描いた一冊。
正直、読み始めは、人物視点がするっと変わってしまうあたりに違和感を覚えたりもして、「やっぱり、こういう小説は俺には合わんのかも」なんて思ったのだが、事件らしい事件も起きず(正確には1度起きる)、淡々と綴られる主人公たちの日常生活を読み進めるうちに、なんとはなし引き込まれていき、一気に最後まで読んでしまった。淡くも余韻を残す結末も素晴しくて、読後に「あぁ、良い小説を読んだなぁ」と満足感に浸ることができた。
1977年の作品だと言うことで、福祉国家だった頃の英国(今は違うよね?)の雰囲気が味わえたりもする。多分、今だったら、なにをやっているんだか分からない、主人公たちの部署なんてすぐに整理対象にされてしまうよ、きっと。
ただ、内容的には文句ない出来なんだけど、その値段の高さが唯一の欠点。薄いと言っていいページ数(242ページ)なのに、2,800円+税というのは、いかにも高い。まぁ、色々と権利の問題もあるだろうし、どう転んでもミリオンセラーにはならなさそうな感じなので、それなりに高くなるのも仕方ないのかもしれないが、手頃な価格の文庫で出てば、英国小説の代表格と呼ばれる可能性もあるんじゃないかなーと非常に惜しい気がする。
小説好きな人は読んで損はないと思うので、財布に余裕がある人には買うことを、財布に余裕がない人には図書館で借りることを、お勧めしたい。
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