ぽっぺん日記@karashi.org
2006-12-27(Wed) [長年日記]
_ [読書感想]
全体主義体制化での建築論という非常にマイナーな分野を扱った本にも関わらず、新聞の書評欄で取り上げられるなど各所で話題になった本。
俺の建築についての知識は、皆無と言っていいレベルなのだが(アール・デコ調と言われても全くぴんとこないくらい!)、それでも楽しめたので、少しでも建築が分かる人はもっと面白いのではないかと思う。
読んでいて思ったのは、その読みやすさ。書こうと思えば、いくらでも硬く書ける話題なのだが、柔らかい文体のため、非常に親しみやすい。
反面、後半の日本及び満州での建築物を扱った章では、以前の著者の主張に対してされた反論への反論という感じの体裁になっていて、なんとなくグダグダ感が漂う感じがなきにしもあらずなのだが、まぁ、これはご愛嬌。
とりあえず、個人的に興味深かったことやその他をメモ。
- ヒトラーが構想したベルリンの都市計画は、ナチスが第二次世界大戦で勝利した世界を舞台にしたミステリー、
で描かれていた覚えがあるので、機会があったら再読してみること。新帝国議事堂は巨大な上、収容人数が多いので、人いきれで天井より雨が降るという描写があったような。 - シュペーアは、自分は軍需大臣であるよりも建築家であると考えていた(作中で引用されているシュペーア著『ナチス狂気の内幕』の改題版『第3帝国の神殿にて』は積ん読になっているので読むこと)。
- 独ソ戦の際、ドイツ軍はモスクワ陥落後に戦勝記念碑を建てるため、ドイツ国内の花崗岩を持ち込んだ。戦線縮小時に、置き去りにされたそれらの石が戦後、モスクワ市内の庁舎に使われた。
- モククワ市内の救世主聖堂を爆破して建造を予定されたソビエト・パレスの最終案は高さ450mの塔で、その上部、約2割(80m)の部分は巨大なレーニン像という超巨大建築物だった。スゴス。
- 東京都庁のデザインには、スターリン体制時の建築物のデザイン「スターリン・デコ」に通じるものがある。
- 軍備についてもそうだが、日本の建築物はドイツと比較して(イタリアよりも)貧乏臭い。
- 東京オリンピックの際に、聖火が灯された塔の一つは、紀元2600年を記念して建てられた旧「八紘之基柱」(当時は「平和の塔」)。
- 「平和記念公園と原爆ドーム」と、大東亜記念造営計画で一等入選をはたした「中霊神域計画と富士山」のデザインの類似性(建築家は丹下健三。東京都庁も丹下作)。
- p337に掲載されたラルフ・アダム・クラスによる国会議事堂デザイン案は、
か、
に登場しても全く違和感がないもので笑える。 - 大連での「西洋的ではない」建物(つまりは和風の建物)は性風俗絡みのものが多かった。
建築についての本も面白そうなので、俺でも読めそうなものを探して読んでみるかと思わさせられた一冊だった。
_ できごと
7時起床。昨日と打って変わって、コートもいらないくらいの、えらく暖い日だった。
1件打合せをしてから会社へ。
電車内で『夢と魅惑の全体主義』を読了。非常に面白かった。また別の建築関係の本を読んでみるか。
パソコンをいじっていたら遅くなってしまったので読書をせずに就寝。
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