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ぽっぺん日記@karashi.org


2006-12-17(Sun) [長年日記]

_ ヒトラーが勝利する世界―歴史家たちが検証する第二次大戦・60の“IF” (WW selection)(ハロルド・C. ドィッチュ/デニス・E. ショウォルター/Harold C. Deutsch/Dennis E. Showalter/守屋 純) ヒトラーが勝利する世界―歴史家たちが検証する第二次大戦・60の“IF” (WW selection)(ハロルド・C. ドィッチュ/デニス・E. ショウォルター/Harold C. Deutsch/Dennis E. Showalter/守屋 純)

第二次世界大戦にありえたIFを英米の軍事史家が検証した論文集。

通読したが、ヨーロッパでの戦争推移に関する根本的な知識が欠けているため、もう少し知識を得た後で再読する予定。とりあえず、俺でも理解できた日本を中心にした論文に絞っての感想を書いておく。

俺の浅い知識では、論じられている推論が妥当なものであるかはなんとも言えないのだが、その冷徹な筆致は評価できるのではないかと思う(もちろん、これには戦勝国側の人間が持つ、一種の余裕みたいなものも大いに関係はあるのではないかと思うのだけれども)。

ただ、冷徹であるからこそ、その視点には容赦がない。例えば、第14章『太平洋戦争の集結』で論じられる原爆投下についての記述、

広島の恐怖は、その後の時代にそれよりはるかに破滅的な核戦争を引き起こすことへの持続的な抑止のために支払われた代償であった。

は、一般的な日本人にとっては、なかなか感情的に受け入れ難いものがあるのではないかと思う(俺を含む軍ヲタはまた違った感想を持つと思うけど)。

第15章『海の戦い』でも、日本海軍指導部とその戦略を容赦なく切り捨てていて、例えば、山本五十六については

連合艦隊司令長官山本五十六提督は戦前にアメリカとイギリスで何年も過ごして経験があったが、戦時中の戦略を見てみると、彼はそこからほとんど何も学んでいないように思える。彼は一九四二年にアメリカ海軍の戦略をしばしば誤認していた。だから一九四三年初め、アメリカ軍がソロモン上空で彼に待ち伏せ攻撃を仕掛ける決断をしたのも、今から振り帰ってみればはなはだ疑問にさえ思える。

山本が立案した真珠湾攻撃についても

近代に比類のない戦略的失敗として位置づけられるべきである。

と、山本五十六本人が読んだら泣くんじゃなかろうかという手厳しい評価を下している。

もちろん手厳しい評価だけではなく、日本海軍が代わりに取るべきだった戦略にも言及しているのだが、論文中で挙げられる

東南アジアとオランダ領東インド防衛のために連合艦隊を「現存艦隊」として維持し、空母と戦艦の行動を陸上基地からの哨戒機と潜水艦が支援可能な範囲に限定する。あるいは、陸上基地からの哨戒機と強力な護衛艦が厳重に警固する船団により、日本の国防圏内の各拠点間の海上交通路を維持する

という戦略は合理的かつ効果的だと評価はできるのだが、正直、それを実現できるくらいの理性があったらアメリカと戦争なんかしていないよ、と思わなくもない(まぁ、SLGでは応用できるかも知れないが)。


また、同じ前提に立ったIFでも、日本人が論じるもの(仮想戦記も含む)とは全く違う展開になることについても興味深かった(もちろん、日本人が語る場合には「売れ筋」を考えざるをえない訳だけども)。

例えば、真珠湾奇襲作戦を扱った第6章『真珠湾』では「真珠湾攻撃時、第2次攻撃隊が工廠施設と燃料タンクを攻撃していたら」という、日本でもよく取り上げられるIFが論じられるが、南雲中将を司令官とする第一航空艦隊司令部の消極的な指揮も影響して、

  • 第2次攻撃隊は、体制を立て直した米側の迎撃により多数の航空機と貴重な熟練搭乗員を失ない、攻撃自体も不徹底に終わる。
  • 真珠湾に急行した米空母の反撃により、第一航空艦隊は米空母1隻と引き換えに空母1隻を喪失する。

という結果に終わるし、別の「もしアメリカが日本海軍の暗号を開戦前に解読することに成功していたら」というIF*1では、真珠湾を目指して航行する第一航空艦隊が発見されたことにより、真珠湾への奇襲攻撃とフィリピンへの侵攻が中止され、日本はアメリカと戦端を開かないまま南方攻略作戦を完遂するという、なんとも皮肉な展開になっている(その後、日米は開戦するが、結果的に戦争途中で講和し、日本は東アジア・ブロックを支配することとなる)。


全体を読み通して改めて認識するのが、訳者による本書冒頭の『本書について』でも触れられている通り、当時の日本にとりうる戦略には、ほとんど選択の余地がなかったということ。結局、日本は第二次世界大戦というパワーゲームの参加者の一人ではあったが、場を支配することはもちろん、場の雰囲気を左右する力さえなく、ただただ敵味方も含めて他の強大なプレイヤーに翻弄され続け最後に敗戦を迎えたという現実は、なんとも虚しいものだが、これが歴史というものなんだろうね。

*1 このIFを日本人が書いた論文なり作品なりは知らないけど。

_ 冬休みの読書計画

今年の年末年始の休みには、

を読んで、第2次世界大戦のヨーロッパでの推移でも知識として得たいところ。

でも、中断したままのHaskellも勉強したいしな。PerlやRuby関連の積ん読も溜まりまくっているし。うーむ。

_ できごと

8時起床。今日はちと寝坊。

肋骨あたりの痛みは、今日は脇の方に移動した。昨日までは胸だったんだけど。

今日は祖母の3周忌だったのだが、身体が本調子でないので、実家に連絡して休ませて貰うことにする。

午前中、自宅の掃除。本棚のあたりを整理したら、えれーきれいになって感動もの。

午後はスーパーと図書館。図書館でたまたま動悸・息切れ・胸の痛みが気になったら読む本 (早わかり健康ガイド)(赤塚 宣治) 動悸・息切れ・胸の痛みが気になったら読む本 (早わかり健康ガイド)(赤塚 宣治)が新着の本で並んでいたので、気になって読んでみたところ、俺の症状はやはり肋間神経痛に該当するぽい。心臓病ってこんな生易しい痛みではなさそうだ。

夜にテレビで放映していた007 リビング・デイライツ - Wikipediaを見る。途中から見たからよく分からんが、なかなか面白かった。共産圏なのにC-130なのには、なんか裏の設定があったんだろうか。

『Perlベストプラクティス』をちょろっと読んでから就寝。

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