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2002-06-15(Sat) 雨のち曇 この日を編集

_ 午前中

出勤。今日は早く帰ろう。

とりあえず、書類仕事。

_ 午後

引き続き書類仕事。

早く帰れんかった。(泣)

_ squid

匿名性を上げるためには、squid.confに


forwarded_for off
anonymize_headers deny Via
anonymize_headers deny X-Forwarded-For

を書いておくと良さそう(squid-2.4.STABLE6で確認)。他にも、squid.confにはanonymize_headersについてコメントが書いてあるけど、そっちは未検証。

_ 改名

会社の幾つかのサーバを改名。今回の命名基準は好きなSF作家。

_ NetBSD pkgsrc

真面目に追っかけていないので、今頃、pkgsrc/japaneseがほとんど消滅しかけていることに気付いた。cvsupしてみて、ちょっとビックリ。


2003-06-15(Sun) この日を編集

_ 今日のできごと

一日中、掃除三昧。

20時半終了。疲れた。

_

元ネタはパトレイバーかな?

コメントアウトに反応するのもアレだと思うんですが。

_

同僚から借りたけど、まだ観てないや。

うーん、退屈なんですか。

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

_ mmasuda [外れです。>遊馬 っつーかそれもあったか。]


2005-06-15(Wed) この日を編集

_ DELLに納期の件で電話したら盥回し風味

あまりにも埒が明かないので、以前メールを貰った、うちの担当と言うことになっているらしい人に電話して調査をお願いした。最初からこうすれば良かった。

しかし、横の繋がりがえらく希薄な会社のような感じがするな。外資系はこんなもん?

_ AH-K3002V(京ぽん2?)が認可されたらしい

各所より。

どんなもんになるかな。ワクワク。


2006-06-15(Thu) この日を編集

_ ASCII-WM 2006

telnetで繋いで、AAでW杯を観戦できるサービス。

昨日まで混んでいて接続できなかったのだが、今日からミラーサーバが出来た。

と言うことで、ミラーサーバに接続してコスタリカ対エクアドレス戦を見ているのだが、正直、同じ試合中継を流しているテレビを(見ながら|聞きながら)じゃないと細かい所が全然分からない。でも、試みとしては非常に面白いと思う。

せっかくなので(?)、抱擁してゴールを喜ぶ一コマを貼っておこう。

World Cup 2006

_ できごと

明日は早いので、今日は早く寝る。


2007-06-15(Fri) この日を編集

_ 英国機密ファイルの昭和天皇(徳本 栄一郎)

英公文書館に眠っていた機密文書を基に、英国から見た第二次世界大戦前後の日本の姿を 照射するのが、本書『英国機密ファイルの昭和天皇』である。

「外套と短剣」とはスパイを表す代名詞だが(外套は合法活動、短剣は非合法活動を示す)、 本書を通じて明らかになる、英国のずば抜けた情報収集能力と分析能力は、まさに「外套と短剣」の国そのものである。 常に日本国内の同行に目を光らせ、日本に限らず、様々な暗号電を解読していた英国の能力には今更ながら驚かされる。

本書は戦前編および戦後編の二つのパートで構成されている。

戦前編の読み所は日米開戦を回避するために尽力した日英関係者のエピソードだろう。

日本側の動きでは、駐英大使を勤めていた吉田茂による中国問題に関する日英協調工作「吉田・イーデン秘密計画」が 目を引く。著者は英公文書館の文書から、従来、吉田茂のスタンドプレーとされていた工作が、 実は国内の穏健派グループの意を受けてのものであったという事実を発見する。計画自体は、盧溝橋事件を発端とする 日中戦争の勃発により成立することはなかった。今日的な視点で見ると、軍部が独走し、大多数の国民がそれを支持し、政府が追認するという 当時の構図があった以上、日英関係の改善により国際的な孤立を脱却するという穏健派グループの思惑は、他力本願にすぎる上、見通しが甘すぎたと 言わざるを得ないが、このような外交努力があったことを知ることは無駄ではないだろう。

一方、英国側では、1942年まで駐日英国大使を勤め、日英関係の改善のために骨を砕いたクレーギーのエピソードが印象的だ。 クレーギーは、日米和平を取り持つよう、度々本国へ進言するが、日米開戦を望んでいたチャーチル率いる本国政府に握り潰されてしまう。 結局、クレーギーの努力は実らなかった訳であるが、吉田茂を始めとするクレーギーと親交を結んだ日本人は、クレーギーが日本のために 尽してくれたことを忘れず、帰国後、チャーチルの不興を買い、不遇を囲うことになった彼に、戦後、様々な形で友情を示そうとする。 著者はこう書く。

現代は順風な時だけ親しく付き合い、逆境に置かれると交際を絶ってしまう者が多い。それに比べ、古き良き日本人の気骨を感じさせた。(p.134)

これこそ真の日本人の美徳であろうと思う。

戦後編でも、歴史に興味を持つ読者であれば、楽しめること請け合いの様々なエピソードが語られる。

占領下の日本に絶対的な権力を持ち君臨したマッカーサー率いるGHQに対し、皇室は終始、友好的な態度を崩さずも、 生き残りをはかるため、バチカンや英国とコンタクトを取ろうとしていたという事実や、立憲君主制を理解せず、独断で日本の政治体制を 強引に変えていこうとするGHQについて英国が苦々しく思っていたこと、また皇室との関係強化を試みるため、英国政府が 皇太子(現・平成天皇)の英語教師を送り込むことに強い意欲を持っていたエピソードなどが興味深かった。

著者は、現在の英国による対日工作についてこう著す。

今この瞬間にも、彼(引用者註:現・皇太子)をターゲットにした情報活動が深く静かに進んでいるはずだ。(p.223)

皇太子が英国に留学したのは、もしかして、対日工作の一環だったのだろうか。そんなことを勘繰ってしまった。

さて、本書には、昨今、そのダンディズムとGHQに逆らった反骨精神でちょっとしたブームである、白洲次郎が重要人物として登場する。 白洲次郎については、憲法改正論議とも絡み、ナショナリズムの一つのシンボルとして見なす動きもあるようであるが、 本書で語られる戦後の彼の活動の一側面は、日本人でありながら、まるで英国企業のエージェントであるかのようで、あまり好ましい印象は受けない。 その背景にあった心理は何なのか。 白洲次郎もまた、戦争に傷付き、苦しんだ一人の人間だったという事実を明らかにする本書を、もう一つの白洲次郎評として評価したい。

ただ、苦言を呈したいのが『英国機密ファイルの昭和天皇』というタイトル。 昭和天皇ばかりに焦点を当てている訳ではない以上、率直に言って、このタイトルは、本書の内容を的確に表現しているとは言い難い。 マーケティング的な要請があったのかも知れないが、もう少し内容に則したものに出来なかったのだろうかと疑問に思う。

また、あくまでも第二次世界大戦前後に焦点が絞られており、戦中の英国による対日工作についても読んでみたかった。 もし次回作があるならば、ぜひ、戦中について取り上げて頂きたい。

日米関係に比べ、あまりクローズアップされることのない第二次世界大戦前後の日英関係に光を当てたという点でも高く評価できる良書である。


英国機密ファイルの昭和天皇

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livedoor BOOKS
書評/ルポルタージュ


2008-06-15(Sun) この日を編集

_ 大量殺人者と秋葉原事件の犯人像との共通点に戦慄する── 犯罪捜査の心理学―プロファイリングで犯人に迫る (DOJIN選書 17)(越智 啓太)

科学同人様より本が好き!経由で献本御礼。

文句なしにスゴイ本。 「鳥肌もの」と表現しても決して大袈裟ではない一冊だ。

犯罪心理学を専門とする心理学者である著者が犯罪心理学の一分野であるプロファイリングを中心に、どのように心理学が犯罪捜査に応用されているのかを解説しているのが本書。

猟奇殺人や連続殺人を扱った映画や小説ではある意味欠かせない存在となったプロファイリングだが、実際どのような分析を行うのかと問われれば、ミステリーマニアであっても「犯人は黒髪の女性に執着しているってヤツ?」と答えられるのがせいぜいというところではないだろうか(もちろん、これもプロファイリングの一種だが)。

本書は

テレビや映画で映画で描かれるプロファイリングは、派手でかっこよく、犯人の特徴を間違いなく言いあてることができますが、現実のプロファイリングやプロファイリング研究は、残念ながらテレビのようにかっこいいものでも、犯人を確実に言いあてられるものでもありません。(p.2)

という現実を教えてくれるとともに、プロファイリングが名人芸なのではなく、

一定の学習をし、一定の経験と訓練を積んでいれば、だれでも同じ結論に達する(p.26)

という存在であることを、その手法や実例を織り交ぜながら解説していく。

本書で扱われているプロファイリングは次のようなものだ。

  • FBIによって開発された、犯人を「秩序型」と「無秩序型」に分類するプロファイリング
  • FBI手法では説明のできない犯人をカテゴライズするために統計的な手法を用いた「リヴァプール方式プロファイリング」
  • 犯罪現場の地理情報から犯人の住んでいる地域や次に犯罪を行なう場所を推定する「地理的プロファイリング」
  • ストーカーや人質立てこもり犯の危険性の分析手法
  • 大量殺人者の動機の分析手法

専門的であるが、心理学の素人であっても理解できる平易な語り口で解説されている点は非常に好感が持てる。 著者の言う通り本書で語られる実際のプロファイリングは決して派手な存在ではないが、驚くような指摘が多数書かれていて思わず唸ってしまう内容となっている。

プロファイリング研究のためには欠かせない存在であると統計学については多少、説明不足なところもあるが、本書はあくまでも入門書である。 リーダビリティの面ではこれくらいの方がちょうどいいのだろう。

本書に記されている様々なプロファイリング手法については本書に譲るが、個人的に驚いた連続犯罪と角度の関係は紹介しておきたい。 連続犯罪の場合、犯人の住居から各犯行現場の角度を測った場合、罪種(侵入窃盗、レイプ、殺人)によってその角度が変わってくるそうだ。 侵入窃盗なら31〜60度、レイプなら61度〜90度、殺人では91度〜120度といった具合である。 第一犯行現場から第二犯行現場の角度についても統計がとられていて、やはり殺人の場合、角度が大きくなるそうだ。 なぜ、このような結果が出るのかについては分かっていないが、犯罪という陰惨なものを通してさえ、人間の心理の奇妙さを思い知らされる。

本書の中でも読んでいて激しく揺さぶられるのが、なんといっても大量殺人事件について書かれた箇所だ。

著者は、米サンディエゴ市のマクドナルドで銃を乱射して8ヶ月の赤ん坊から74歳までの老人を含む21名を殺害し、20名に重傷を負わせたジェイムズ・ユベルティと、岡山県苫田郡西加茂村で村民30人を殺害し、3名を負傷させた都井睦雄の事例を引き、その犯人像の共通点を浮き彫りにする(後者の事件は、横溝正史の『八つ墓村』のモデルになった津山事件として有名である)。

この2つの事件は時代も場所も異なっていながら多くの共通点があることが指摘される。 全部で11の共通点が挙げられているが、そのうちのいくつかを抜粋してみる。

  • 犯人の生活は期待どおりにいっておらず、挫折や絶望のなかにいる。特に事件直前は、大きな絶望を体験している。
  • この原因として自分が悪いのではなく、別の何者かが悪いと考えている。この何者かは個人ではなく、学校や会社、集団などのカテゴリーとしての存在である。
  • 犯人は事前に襲撃を計画し、その計画を人に話したり、日記に書いたり、インターネットに公開したりする。
  • 犯人は犯行前に遺書や手記を書く。
  • 犯人は最終的に自殺するか、警官と無謀な撃ち合いをする。逮捕された場合には死刑を望む。反省はしない。
  • 犯人は過剰な武器を携帯する。
  • 犯人はできるだけ多くの被害者を殺傷することを目的に行動する。
  • 犯人は覆面をしたり、防犯カメラを避けるといった自分を隠す行為はしない。
  • 犯人は逃走を考えない。

これらがつい先日、6月8日に起きた秋葉原無差別殺傷事件の犯人像とぴたりと重なることは一目瞭然だろう。 無差別大量殺人者に共通する要素がこれほど明確なものだということに戦慄を覚えた。

この手の事件になると、自称「犯罪心理学者」をはじめとする様々なコメンテータがテレビで好き勝手に犯人の異常な行動を憶測で語るのが通例だし、今回の事件もそのような展開になっているようだ。 しかし、著者は次のように異を唱える。

これらはいずれもこの種の犯罪における典型的な要素です。個々の事件について、なんらかの理由や原因をこじつけて説明する前に、この種の犯罪に共通する動機や行動パターンをしっかり把握することが重要でしょう。(p.162)

著者は大阪教育大学附属池田小学校事件以来、公立私立学校でとられている防犯対策についても言及している。 現在とられている校門施錠、防犯カメラの設置、不審者の侵入を想定しての教員に対する格闘訓練の実施といった防犯対策が窃盗犯やわいせつ犯などの一般的な不審者には有効ではあるが、大量殺人犯にはほとんど意味がないことが指摘されている。 なぜなら、そのような犯人は上掲のように、簡単な障害はものともせず、自分が逮捕されることにはなんの興味も覚えず、殺傷能力の高い凶器を複数持っているからである。

だからといって、部外者を一切近付けないようにし、ガードマンを巡回させるなどして「学校を要塞化」すればいいのかといえば、結局のところ、そこまでしても在校生による事件は防げないことを著者は指摘する。 地域との連携強化やいじめ対策に予算をかける方がよほど犯罪抑止に繋がるかもしれない、という著者の主張には深く頷けた。

殺人事件やレイプ事件などの実例が感情をまじえない冷静な筆致で記されているため、陰鬱な気分に捉われそうになる本書であるが、各章の最後に載せられた映画を題材にした犯罪心理学に関するコラムが良い意味で息抜きになっている(著者紹介によれば、著者は重度の映画マニアのようである)。

映画好きなのでどのコラムも非常に面白かったのだが、その中でも意外だったのがサミュエル・L・ジャクソンとケビン・スペーシー主演の『交渉人』の中で登場する

人がなにか話した場合、目が右上に動いていたら、そこは脳のなかで想像を司る部分だから、その発言は嘘である。

というルールになんの科学的根拠もないという話だ。 実はずっと信じていたので、かなり恥ずかしくなってしまった。 なお、熟練した捜査員の嘘見破り能力(「俺は長年デカをやっているんだ。すぐに嘘は見抜けるさ」)についても、今のところの研究では実用的な水準にはほど遠い実験結果しか出ていないそうである。

防犯というと、どうしても目に見えるものに頼り価値になる。 秋葉原無差別殺傷事件以来、論議の的になっている掲示板の犯罪予告監視システムの開発(これに呼応して予告in - 犯行予告共有サービス予告.out - 予告ができる掲示板なんてサイトが立ち上げられたが)やサバイバルナイフの規制などが好例だろう。

しかし、犯罪を犯すのはいつであっても人である。

個々の犯罪の個別性によって説明されなければならないのは、共通点を取り除いたあとの部分であるはずです。今後はこのようなアプローチの研究をさまざまな罪種について徹底的に行っていくことが必要でしょう。(p.176)

と著者が語るように、プロファイリングをはじめとする犯罪心理学は、犯罪捜査という面はもちろんだが、将来的な犯罪抑止を考える上でも欠かせない学問である。

プロファイリングが決して映画や小説の小道具ではなく、罪のない市民を理不尽な犯罪から守るために存在しているということを改めて実感させてくれる好著だ。


犯罪捜査の心理学

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書評/心理・カウンセリング

参考として

戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)(デーヴ グロスマン) - [email protected] (2007-09-15)で紹介した『戦争における「人殺し」の心理学』では、殺人という行為に対してまったく躊躇を覚えない人間が一定の割り合いで存在することを指摘している。

未読の読者は本書とあわせて読むと興味深いのではないかと思う。

戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)
デーヴ グロスマン/Dave Grossman/安原 和見
筑摩書房
¥ 1,575

_ 今日の畑仕事

去年はカラスにやられて、とうもろこしがほぼ全滅したので、対策としてネットを張った。 これで防げればいいんだけど。

あと、トマトの支柱が短くなったので交換、雑草抜きなど。

Tags: 日常

2009-06-15(Mon) この日を編集

_ ナンシー、アリゾナに飛ぶ── シャドー牧場の秘密 ナンシー・ドルー・ミステリ5 (創元推理文庫)(キャロリン・キーン/渡辺 庸子)

ナンシーは休暇をとるため、アリゾナ州フェニックスを訪れた。休暇の間、親友のベスとジョージとともに、彼女たちの叔父夫婦が経営するシャドー牧場に滞在するのだ。 しかし、空港にナンシーを出迎えたベスとジョージによれば、牧場では施設が壊されるといった事件や、殺されたアウロトーの幽霊馬が走り回るという幽霊騒動など、奇妙な事件が続発しているらしい。謎の男からシャドー牧場に関わるなとの警告を受けたナンシーだが、逆にシャドー牧場の秘密を解くために闘志を燃やしはじめる──。

東京創元社様より本が好き!経由で献本御礼。

少女探偵ナンシー・ドルーが活躍する〈ナンシー・ドルー・ミステリー〉シリーズ第五弾が本書。 これまでナンシーの住むリバーハイツ周辺が舞台だったが、本書では一転、アリゾナ州フェニックスが舞台となる。 それにともなって脇役も一新。ナンシーの助手役も友人のヘレンから代わって、ベスとジョージの二人が加わる。 なにかとトラブルに巻き込まれやすいタチらしい(笑)ナンシーの父、カーソンはもちろんのこと、ドルー家の家政婦ハンナは名前のみ登場である。

ナンシーたち三人娘が挑むのは、シャドー牧場に数々の破壊工作をしかける犯人だ。 犯人の目的は、牧場に伝わる伝説のアウトロー、ダーク・バレンタインが残したという財宝なのか……という感じなのだが、本シリーズの特徴であるスピード展開なストーリーにより、あっという間に怪しい人物が分かってしまいます。

まぁ、そこらへんは目くじら立てずに「うんうん。アメリカの子供たちはこれを読んでミステリーファンになるんだろうな」と、まったりと読んでいくのが本作の楽しみ方だろう。

犯人探し以外の本書の読みどころは、ふたつある。

ひとつはダーク・バレンタインが遺した財宝探し。財宝の背景にバレンタインと保安官の娘の悲恋も織り込み、ストーリーに彩りを添えている。

もうひとつが牧場をはじめとして、カウボーイたちやロデオ大会、激烈な砂嵐、ゴールドラッシュ後の打ち捨てられたゴーストタウンなど、アメリカ西部特有の舞台設定を大量に盛り込んでいること。 児童向けであっても(または、だからこそ)、マンネリに陥ることを避けようとする強い精神を感じさせられる。

本書の解説は翻訳家の青木純子氏。 青木氏によれば、『E・S・ガードナーへの手紙』(スーザン・カンデル:著)につづく、〈伝記作家シシー・カルーソー〉シリーズ第2弾では、ナンシー・ドルー・シリーズを制作したストラテマイヤー工房が取り上げられるとのこと。 本作の続篇ともども楽しみだ。



シャドー牧場の秘密

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書評/ミステリ・サスペンス


2013-06-15(Sat) この日を編集

_ 『チューリングの大聖堂: コンピュータの創造とデジタル世界の到来』(ジョージ・ダイソン)

チューリングの大聖堂: コンピュータの創造とデジタル世界の到来(ジョージ・ダイソン/吉田 三知世)

「戦争は技術を加速する」。よく使われるフレーズだが、コンピュータはその最たるものだろう。理論上の存在でしかなかったチューリングマシンが現実の機械として生み出されることになったきっかけは第二次世界大戦だった。コンピュータが作られた目的は原爆開発。そして、コンピュータ開発チームを率いたのが自他ともに認める天才フォン・ノイマンである。本書はナチスと戦うため、プリンストン高等研究所に集結した天才たちのコンピュータ創成のドラマを描くとともに、これからのデジタル世界がどのように広がっていくかを予見するノンフィクションである。

著者はダイソン球をはじめとする数々のぶっ飛んだアイデアを提唱したことで有名な物理学者フリーマン・ダイソンの子息。本書を読むまで知らなったのだが、フリーマン・ダイソンは当時、当時、高等研究所に勤務しており、一家でプリンストンに住んでいたそうである。本書には幼少だった著者自身が経験したエピソードも盛り込まれている。

ナチスを憎悪し、反共主義者でもあったノイマンは、第二次世界大戦とそれにつづく冷戦で、核兵器の開発を積極的に進めた。核兵器の開発には高度な計算が不可欠である。核兵器開発はコンピュータを高速化させ、また高速化したコンピュータは核兵器開発を推進させる。絡み合った不可分の存在として核兵器とコンピュータは進化したことを本書は示す。

頭が良すぎるため、「火星人」と呼ばれるほどの天才だったノイマンだったが、しかし、何事もひとりで成すことができないのは当然のこと。コンピュータを生み出すことができたのは、高等研究所という人種や分野を超えた知の殿堂があったからこそだった。ノイマンが全米からスカウトした者、ノイマンと同じようにナチスの迫害を逃れアメリカに渡ってきた者。アインシュタインやオッペンハイマー、ゲーテル、ファインマンなど超一流の科学者から名もなき技術者まで、分野を超えた様々な頭脳が結集した結果生み出されたのがコンピュータだった。

ノイマンのコンピュータの最初のプログラマとなったのは、ノイマンの妻、クラリだったそうだ。当然のことながら、当時のコンピュータには、現在のようなプログラム言語が用意されている訳ではなく、すべて機械語で書かなければいけなかった。それに比べれば、ずっとずっと易しいはずのプログラム言語の修得でひいひい言っている身としては、なんとも落ち込んでしまう(笑)

当初あった科学者が技術者を軽視する傾向を抑え、コンピュータ開発を成功に導いたノイマンだったが、大戦が終わり、ノイマンが高等研究所に不在がちになると、科学者が技術者を軽視する姿勢が再び頭をもたげはじめる。ノイマンの死後、それまでの報復であるかのように、高等研究所はコンピュータに関するプロジェクトを凍結させてしまう。結局、人間はセクショナリズムとは無縁でいられないということだろうか。

コンピュータ開発のエンジニアリング面を担ったビゲローがノイマン亡き後、冷遇されたエピソードを読むと、もしビゲローが活躍していれば、現在のコンピュータはさらに進化したものだったのではないかと非常に残念な気持ちになる。

モンテカルロ法の発見、気象予測への挑戦、セルオートマトンからデジタル生命の研究など、ノイマンのコンピュータが分野を超え計算した様々な事例も本書は紹介している。著者が「水爆の父」として知られるエドワード・テラーにインタビューした時のエピソードが特に興味深かった。地球外生命体──いや、地球外知性体と呼ぶべきか*1──は既にインターネットのデジタル世界を訪れているのではないかというのである。肉体を伴なって地球を訪れるより、データだけの存在となって光速で送られる方がずっと効率的だからだ。その受け皿をしてコンピュータは生み出されたのではないか─そんな著者の問い掛けに、テイラーはしばらく沈黙し、声を潜め、こう言ったそうだ── 「これをテーマに君がSF小説を書いてはどうかね?」

正直なところ、きちっと理解できているか自信のない箇所も多々あったりするのだが、コンピュータの創成はもちろんのこと、チューリングと違って、あまり光の当てられることのないノイマンという人物を知ることができ収穫の多い一冊だった。

Tags: 書評

*1 《天冥の標》シリーズに倣って「展開体」でもいいかもしれない。

_ 蛇足:"Project Orion: : The True Story of the Atomic Spaceship"について

Project Orion: The True Story of the Atomic Spaceship(George Dyson)

『チューリングの大聖堂』の著者、ジョージ・ダイソンは、本書でも少し触れられている父フリーマン・ダイソンがプロジェクトリーダーを務めたオリオン計画についてのノンフィクションを書いている。

『降伏の儀式』を読んで以来、オリオンが大好きなので、実はこちらも持っているのだが、いかんせん洋書なので積ん読になってしまっている。いい機会なので訳されるといいなと思うんだけど、実本は絶版なので難しそう。せめてKindle版でもいいので、電子書籍になっていれば、辞書を活用してなんとか読めるかもしれないんだけど。

ググったところ、著者によるオリオン計画についてのTED講演を見つけた(ジョージ・ダイソン「オリオン計画について」 | Video on TED.com)。

_ 今週読んだ本

S-Fマガジン 2013年 03月号 [雑誌]

S-Fマガジン 2013年 04月号 [雑誌]

『チューリングの大聖堂』が大書だったので、残りは積ん読になっているSFマガジンを消化した。たくさん未読になっているんだけど、とりあえず、傑作選らしきものを2冊読んだ。

2号に渡った掲載されている「霧に橋を架けた男」(キジ・ジョンスン)は思ったほど面白くなかった。

他にチャイナ・ミエヴィルやパオロ・バチカルビなんかもあったけど、いまいちだったかも。長谷敏司の作品は舞台設定はいいんだけど、やたらと解説が多くて、作品としてのリズムを損ねている気がする。円城塔はどうも肌に合わないので未読。

気に入ったのは、SFというよりはファンタジーの「紙の動物園」(ケン・リュウ)とドタバタSF「ベティ・ノックスとディクショナリ・ジョーンズ、過ぎ去りしティーンエイジに立ち返っての奇跡」*1(ジャック・キャンベル)。自分でも気づいていなかったけど、さらっと読める小説が好きなんだなぁ。

Tags: 書評

*1 タイトルが長いw